「村井俊治氏の地震予測は本当に当たるのか」「MEGA地震予測の的中率は信頼できるのか」。こうした疑問を持つ人が注目したいのが、東京大学名誉教授の村井俊治氏と、同氏が監修する地震科学探査機構(JESEA)の予測活動です。2026年現在も、GPS・GNSSによる地殻変動の観測を中心に、地震発生の可能性を分析する情報が提供されています。
JESEAは2024年のピンポイント予測について、29件中23件が的中し、的中率79.3%だったと公表しています。さらに2026年には、熊本県熊本地方のM7.1地震や茨城県南部のM5.9地震について、事前に発出した予測との一致を発表しました。一方、気象庁や日本地震学会は、日時・場所・規模を正確に限定した地震予知は現在の科学では困難との立場を示しています。数字だけでは判断できない、予測の仕組みと検証基準に注目する必要があります。
【村井俊治とは何者?】2026年現在の活動とJESEAとの関係

村井俊治氏は、測量工学やリモートセンシング、空間情報工学を専門とする研究者である。一般的な地震学者とは専門分野が異なり、人工衛星を利用した測位技術や地表の変動を解析する測量工学の立場から地震予測に取り組んできた。
東京大学名誉教授としての経歴村井氏は1963年3月に東京大学工学部土木工学科を卒業。同年、日本工営株式会社に入社した。その後、1983年7月に東京大学生産技術研究所教授に就任している。
国際写真測量・リモートセンシング学会(ISPRS)では1992年から1996年まで会長を務めた。2000年には東京大学名誉教授となり、日本写真測量学会や日本測量協会でも会長職を歴任している。
こうした経歴から、村井氏が測量工学や衛星測位技術の専門家であることは明確だ。地震予測においても、地震そのものの発生メカニズムを研究するというより、地震前後に観測される地表の変化を捉えるアプローチを採用している。
JESEAとMEGA地震予測が生まれた経緯村井氏がGPSを利用した地震予測研究を始めたきっかけは2002年だった。JESEAの公式インタビューによると、荒木春視博士からGPSを使った地震予測の共同研究を持ちかけられたことが出発点となった。
2011年の東日本大震災も、その後の活動に大きな影響を与えた。村井氏は公式インタビューで、震災の約6か月前に東北地方の地表に異常変動を確認していたと説明している。当時はデータ提供企業との守秘義務契約があり、情報を発信できなかったという。
この経験を背景に、地震の前兆と考えられる情報を一般に発信することを目指し、JESEAによる地震予測サービスが展開されるようになった。
「あくまで『地震の予知』ではなく、『地震の予測』ですから、地震発生を断定することはできません」
これはJESEAの公式インタビューに掲載された村井氏の説明である。地震発生を断定するのではなく、異常な観測データをもとに注意喚起を行うという考え方が、同氏の活動の基本にある。
2026年現在の村井俊治氏の役職JESEA公式プロフィールによると、村井氏は2013年1月に同機構の顧問に就任。その後、2017年12月から2023年2月まで取締役会長を務め、2023年3月からはJESEA名誉会長となっている。
2026年11月現在も、JESEA名誉会長・東京大学名誉教授という肩書が公式プロフィールに掲載されている。MEGA地震予測は村井氏が監修するサービスとして継続しており、2026年9月25日にはサービスのリニューアル完了も告知された。
【MEGA地震予測の仕組み】GPS・電子基準点から地殻変動を分析する方法
MEGA地震予測の特徴は、地震計による揺れの観測だけに頼らず、人工衛星を利用した測位データから地表の動きを分析する点にある。
JESEAは、地震発生前に地殻に異常な変動が現れる可能性に着目し、複数の観測データを組み合わせて地震の発生リスクを評価している。
全国約1,300か所の電子基準点とは観測の基盤となるのが、国土地理院が全国に設置している電子基準点である。
電子基準点は、GPSや日本の準天頂衛星システム「みちびき」など、複数の衛星測位システムから信号を受信し、地上の正確な位置を測定する施設だ。全国約1,300か所に設置され、24時間365日の連続観測を行っている。
この観測網はGEONET(GNSS連続観測システム)と呼ばれる。国土地理院は、電子基準点の位置情報を解析することで、日本列島の地殻変動を継続的に監視している。
地震が発生すると、地下の岩盤やプレートの動きによって地表の位置が変わる。GNSSデータを分析すれば、こうした変化を数値として捉えられる。
ただし、地表が動いていることと、その地域で近いうちに大地震が発生することは同じ意味ではない。ここがMEGA地震予測を評価する際の要点となる。
隆起・沈降や水平移動を調べる5つの分析方法JESEAの公式説明によると、MEGA地震予測では主に次の5つの観点から地表の変動を分析している。
- 週間異常変動:直近1週間の地表の位置変化を調べ、通常とは異なる動きを検出する。
- 隆起・沈降:約2年間の高さの変化を分析し、地表が上昇しているのか、下降しているのかを確認する。
- 水平ベクトル異常変動:水平方向の移動を矢印で表し、方向や変動量の急激な変化を調べる。
- 累積変位:長期間にわたって蓄積する位置の変化を分析し、設定した閾値を超える動きを確認する。
- 東西・南北方向の異常変動:水平方向の移動を成分別に分け、地域ごとの変化を可視化する。
特に注目されるのが隆起・沈降の分析である。地面が上昇する隆起と、地面が下降する沈降は、プレート運動や地下の地殻変動と関係する現象だ。
JESEAは、隆起から沈降、あるいは沈降から隆起への変化や、急激な高さの変化などを分析対象としている。沈降が進んでいる地域についても、地震発生との関連を検討している。
GPSだけではない、10種類以上の観測・解析技術MEGA地震予測はGPSデータだけで判断する仕組みではない。JESEAは、10種類以上の前兆現象や解析手法を総合的に利用すると説明している。
具体的には、地殻の異常変動解析、ダイナミックAI解析、ミニプレート解析、搬送波位相解析、気温データの異常、インフラサウンドの擾乱、地磁気の変化、太陽活動の異変、衛星データの解析などが挙げられる。
こうした複数の情報を組み合わせ、地震発生の可能性が高いと判断した地域について予測情報を発信するのが、JESEAの基本的な仕組みである。
なお、電子基準点の観測には、降雨や降雪、季節変化、周辺の樹木や建物による電波受信環境の変化なども影響する。国土地理院も、地殻変動とは関係のない座標変化や観測ノイズが生じることを説明している。異常値を検出しただけで、それを地震の前兆と断定できない理由はここにある。
【村井俊治の地震予測は当たる?】MEGA地震予測の的中率と2026年の実績
検索する人が最も知りたいのは、実際に地震予測がどれくらい当たっているのかという点だろう。
JESEAは、独自の「ピンポイント予測」について、2022年から2024年までの年間実績を公表している。2026年の公式発表でも、この3年間の数値が実績として紹介されている。
JESEAが公表する過去の的中率| 対象年 | 予測件数 | 的中件数 | 公表的中率 |
|---|---|---|---|
| 2022年 | 21件 | 15件 | 71.4% |
| 2023年 | 18件 | 14件 | 77.8% |
| 2024年 | 29件 | 23件 | 79.3% |
この数字を見ると、JESEAが公表する的中率は3年間で上昇している。2024年には29件の予測を発出し、そのうち23件を的中と判定した。
ただし、これはJESEA自身が定めた条件で集計した数字であり、第三者機関が同一条件で独立検証した成績と同じではない。
79.3%という数字を読むときの注意点JESEAが公開しているピンポイント予測の的中判定には、一定の許容範囲が設定されている。
- 時期:予測期間終了後、1週間以内に発生した地震も的中扱いとする。
- 地域:予測対象エリアの外側30km以内で発生した場合も的中扱いとする。
- 規模:予測マグニチュードの下限から0.5までの下振れを許容し、予測を上回る規模の地震も的中扱いとする。
つまり、79.3%は、発生日時・震源・マグニチュードが完全に一致した割合ではない。一定の時間的・地理的・規模的な許容幅を設けたうえでの集計である。
この違いは小さくない。たとえば、予測期間を広く設定し、対象地域を大きく取れば、その範囲内で地震が発生する可能性も高くなる。したがって、的中率だけでなく、予測対象の広さや発出件数、外れた事例も確認しなければ、実力を正しく評価できない。
2026年7月の熊本地震でJESEAが発表した予測2026年7月28日、熊本県熊本地方でマグニチュード7.1、最大震度7の地震が発生した。気象庁の発表によると、宇城市と氷川町で震度7を観測した。
JESEAは、この地震について7月3日に九州地方周辺を対象とする予測を発出していたと発表した。公表された条件は、対象期間が8月5日まで、予測規模がM5.5±0.5だった。
実際の地震は予測期間内に発生しており、地域も九州地方周辺に含まれる。マグニチュードは予測値を大きく上回ったが、JESEAの判定ルールでは予測を上回る規模も的中扱いとなる。
この事例は、予測の発出が事前だったことを評価する材料になる一方、規模の一致を厳密に評価した場合とは意味が異なることも示している。
2026年8月の茨城県南部の地震も予測事例に2026年8月23日には、茨城県南部でM5.9、最大震度5弱の地震が発生した。
JESEAは、7月15日に関東地方・中部地方周辺を対象とする予測を発出していたと公表している。予測期間は9月16日まで、規模はM6.5±0.5だった。
地震は予測期間内に発生し、マグニチュードも予測の下限に近い値となった。JESEAは、自社の許容基準に基づいてこの地震を予測事例として紹介している。
また、2026年6月26日の山梨県東部・富士五湖の地震についても、JESEAは6月24日に配信した紀伊半島・中部地方周辺のM5.5±0.5という予測を公表している。
これらの事例から分かるのは、JESEAが2026年にも具体的な予測と発生後の照合を継続していることだ。ただし、発生後の的中事例だけでは、同じ期間に発出したすべての予測が適切だったかどうかまでは判断できない。
2026年11月時点で公式サイトに掲載されている年間的中率の最新集計は2024年の79.3%であり、2025年・2026年の年間成績は別途確認する必要がある。
【科学的根拠はある?】気象庁と日本地震学会の見解を比較
村井俊治氏の地震予測を考える際には、測量技術の正確性と、地震発生を事前に予測する能力を分けて考える必要がある。
気象庁は高精度な地震予知を困難と説明気象庁は、地震予知について「いつ」「どこで」「どのくらいの規模」という3要素を精度よく限定する必要があると説明している。
たとえば、1週間以内に東京直下でM6~7の地震が発生するというように、時期・場所・規模を具体的に示す必要がある。しかし、現在の科学的知見では、そのような確度の高い予測は難しいというのが気象庁の見解だ。
また、2026年版の気象庁資料でも、日時と場所を特定した地震予知情報について、現在の科学技術では実現できないことを積極的に周知する取り組みが紹介されている。
日本地震学会が示す「予知」と「予測」の違い日本地震学会は、地震予測と地震予知を区別している。
- 地震予測:発生時間・場所・マグニチュードの一部、またはすべてを事前に推定すること。
- 地震予知:地震予測のうち、特に確度が高く、警報につながるもの。
この定義に従えば、広い地域や数か月単位で地震発生の可能性を示す情報は、地震予測に該当する。必ずしも、日時まで特定する地震予知と同じものではない。
MEGA地震予測が「予知」ではなく「予測」という表現を重視するのも、この違いと関係している。
地震の前兆現象はどこまで科学的に確認されているのか日本地震学会は、前兆現象を利用した地震予知について、十分な数のデータによる確立と検証が必要だと説明している。
特にM7クラスの地震は日本周辺で平均して年間1回程度とされる。大規模地震は発生頻度が低いため、予測手法の有効性を統計的に確認するだけのデータを集めることが難しい。
加えて、地震と直接関係のない異常値が観測された後でも、日本のどこかでは地震が発生する。そのため、異常を検出した後に地震が起きたという事実だけでは、観測された異常が本当に地震の前兆だったとは証明できない。
重要なのは、地震が起きなかったケースも含めて、同じ方法で繰り返し検証することだ。
村井氏とJESEAの研究成果は査読論文にもなっているJESEAは2022年1月、村井氏と郭広猛博士による英文論文2編が、Asian Journal of Geoinformaticsの査読論文として受理されたと発表している。
論文のテーマは、過去の大地震の発生周期を利用する予測手法と、気象衛星画像を利用した地震予測である。
これは研究活動の実績として評価できる。ただし、査読論文が存在することと、現在提供されているMEGA地震予測の79.3%という運用実績が第三者によって再現・検証されたことは別問題だ。
論文の存在だけを根拠に、サービス全体の予測精度が科学的に確立していると判断することはできない。
【MEGA地震予測の評判と信頼性】利用する価値と注意すべきポイント
村井俊治氏の地震予測に対する評価は、どの部分を重視するかによって変わる。
測量工学の専門家が衛星データを使って地表の変化を分析するという研究アプローチには、技術的な合理性がある。一方、その変化から地震発生の時期や規模を推定する部分には、さらなる検証が必要だ。
評価できる3つのポイント1. 実際の観測データを利用している
電子基準点のGNSSデータは、国土地理院が地殻変動の監視に活用している実在の観測情報だ。根拠のない予言や個人の直感だけに依存する手法とは性質が異なる。
2. 複数のデータを組み合わせている
JESEAは、地殻変動だけでなく、衛星情報やその他の物理現象を組み合わせる手法を採用している。単一の観測値だけで結論を出さないという考え方には合理性がある。
3. 予測内容を具体的に公表している
2026年の熊本や茨城の事例のように、予測を発出した日付や対象地域、規模を公開している点は、事後検証を行うための材料になる。
信頼性を判断するうえで残る課題1. 的中率の第三者検証
JESEAが公表する的中率は独自の判定基準に基づく。すべての予測を対象に、外れたケースも含めて第三者が同じルールで再計算できる形の検証が重要になる。
2. 見逃した地震の評価
予測した地震が発生したかだけでなく、予測を出していなかった地域で大地震が発生したケースも調べなければならない。予測が成功した割合だけでは、見逃しの多さは分からない。
3. 異常変動と地震の因果関係
地殻変動が観測されたとしても、それが地震の前兆なのか、プレートの通常の運動なのか、観測上のノイズなのかを区別する必要がある。異常値の発生と地震の発生が偶然重なった可能性も検討しなければならない。
利用に向いている人・おすすめできない人MEGA地震予測は、地震発生の可能性に関する補助的な情報を知りたい人や、地殻変動の観測に興味がある人にとっては、参考情報の一つになり得る。
一方、特定の日に地震が起きるかどうかを確実に知りたい人や、予測情報だけを根拠に旅行・出張・避難の判断をしたい人には向かない。
また、予測地域が広い場合は、対象地域に住んでいるという理由だけで、直ちに大地震が迫っていると受け取らないことも大切だ。
防災の基本は、気象庁の地震情報、自治体のハザードマップ、地震調査研究推進本部の長期評価など、複数の公的情報を組み合わせることである。
【プロの結論】村井俊治の地震予測を正しく評価するための判断基準
村井俊治氏の活動を評価する際、最も重要なのは、測量技術と地震予測の精度を混同しないことだ。
全国約1,300か所の電子基準点を利用した地殻変動の観測は、国土地理院も実施している科学的な取り組みである。地表の上下・左右の動きを数値として把握すること自体は、十分に確立された測量技術に支えられている。
しかし、観測された異常変動が、どの地域で、いつ、どの規模の地震につながるのかを推定することは、さらに難しい課題だ。
JESEAが発表する2024年の的中率79.3%は、同機構の定義に基づく実績として確認できる。2026年の熊本や茨城の事例も、同機構が事前予測との一致を発表した具体的なケースである。
ただし、これらの数字や事例だけで、MEGA地震予測が一般的な地震予測より優れていると断定することはできない。
今後、信頼性をさらに高めるために求められるのは、次のような検証である。
- 予測を発出した時点の情報を改変できない形で保存する。
- 的中事例だけでなく、外れた予測もすべて公開する。
- 時間・地域・規模の許容条件を事前に明確化する。
- 独立した研究者が同じデータを用いて再検証する。
- 予測を発出しなかった地域で発生した地震も含めて評価する。
このような検証が継続されれば、MEGA地震予測が防災にどの程度役立つのか、より客観的に判断できるようになる。
【村井俊治の地震予測】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:村井俊治氏の地震予測は本当に当たるのですか?
A1:JESEAは2024年のピンポイント予測29件中23件が的中し、79.3%だったと発表しています。ただし、時間・地域・マグニチュードに独自の許容範囲を設けた集計です。第三者による独立検証済みの精度と同一視することはできません。
Q2:MEGA地震予測は2026年現在も続いていますか?
A2:はい。2026年もJESEAによる予測情報の発信が続いています。2026年9月25日にはサービスのリニューアル完了が告知されました。村井氏はJESEA名誉会長として公式プロフィールに掲載されています。
Q3:MEGA地震予測と気象庁の地震予知は何が違いますか?
A3:MEGA地震予測は、GNSSなどの観測データから地殻変動や異常現象を分析し、地震発生の可能性を予測する民間サービスです。一方、気象庁は、日時・場所・規模を高精度で限定する地震予知は現在の科学では難しいと説明しています。両者の情報を同じ確度の警報として扱わないことが重要です。
村井俊治氏は、測量工学や衛星測位技術を専門とし、2002年からGPSを利用した地震予測研究に取り組んできた研究者である。JESEAが提供するMEGA地震予測は、電子基準点のデータや複数の観測情報を利用して地殻変動を分析する独自のサービスだ。
2024年の公表的中率は79.3%であり、2026年にも熊本や茨城の地震について事前予測との一致が発表されている。ただし、その数字には独自の判定基準があり、予測手法の科学的な有効性が全面的に証明されたわけではない。
大切なのは、村井氏の専門的な経歴や観測技術を正当に評価しながら、地震予測の精度については別の視点から検証することだ。
MEGA地震予測は防災を考える際の補助情報として参考にできるが、地震発生を確実に言い当てるものではない。日頃から家具の固定、非常用品の準備、避難経路の確認を進め、気象庁や自治体などの公的情報を優先して行動することが、地震から命を守るための基本となる。
主な事実確認資料:JESEA公式発表・プロフィール、気象庁、日本地震学会、国土地理院の公開資料。