金蘭会の強さを支えているのは、単純な身体能力や選手の知名度ではない。指導方針、育成環境、戦術、コンディショニング、試合経験が組み合わさっている。
1.中学校から高校へ続く育成環境金蘭会の特徴として挙げられるのが、中学校と高校のバレーボール部が同じ学校法人のもとにあることだ。
金蘭会中学校の女子バレー部は、2025年8月の第55回全日本中学校バレーボール選手権大会で東京立正中学校を2-0(25-17、25-23)で破り、優勝した。
この優勝で、全国大会6連覇、通算9度目の優勝を達成。中学カテゴリーでも全国屈指の実績を残した。
ただし、2026年の第56回全日本中学校選手権大会には金蘭会中学校は出場していない。同大会の女子は広島市立祇園東中学校が優勝した。
中学部の連覇実績と高校部の全国制覇は、別々の大会の結果として見る必要がある。
それでも、中高の競技環境が存在することには大きな意味がある。
- 基礎技術を早い段階から身につけられる
- 高校で必要になるプレーを段階的に学べる
- 全国大会を経験した指導環境に触れられる
- 上級生のプレーから学ぶ機会がある
実際、2026年春高の登録選手14人のうち、月刊バレーボール掲載の出身中学情報では10人が金蘭会中学校出身だった。
一方、馬場柚希は安倉中、西村里音は生野未来学園出身。外部からも選手を受け入れている。つまり、中高の連携と外部からの選手獲得を組み合わせたチーム編成になっている。
2.池条監督が重視する「拾ってつなぐ」戦術金蘭会の戦術を語るうえで重要なのが、池条義則監督の指導哲学だ。
池条監督は、長身選手が集まりやすい私立高校との体格差を埋めるため、以前から守備を重視してきた。
2026年1月の月刊バレーボールのインタビューでは、攻撃面についても具体的な考えを明かしている。
特に重視しているのが、二段トスを確実に打ち切る能力だ。
レシーブが乱れたときでも、攻撃につなげられる選手を育てる。そのために、高いトスを打ち込む技術や、十分な助走を取って攻撃することを重視している。
速い攻撃だけに頼らず、高いトスにも対応できる選手を育てることは、相手のブロックに対応するうえでも有効だ。
また、セッターの丹山花椿が速い攻撃を志向していることについても、監督は選手自身が考えて取り組む姿勢を尊重していた。
3.サーブレシーブとブロックの連動2026年春高で見せた金蘭会の強さは、守備から攻撃への切り替えにも表れていた。
池条監督は、春高前のインタビューで、サーブレシーブを徳元菜々美、岡日和、馬場柚希の3人を中心に担当させていたことを説明している。
この3人の安定したレシーブが、セッターの攻撃選択を広げる。
また、守備は単にボールを拾うだけではない。ブロックとの関係を高め、相手の攻撃コースを限定することも必要だ。
決勝の就実戦では、最終セットで21-24から追いつき、最後はブロックで優勝を決めた。
守備を攻撃につなげるというチームの基本方針が、試合終盤の勝負どころで機能したと考えられる。
4.林寛二コーチによる体づくりと栄養管理技術や戦術だけでなく、日々の生活管理も見逃せない。
味の素の「アミノバイタル」アカデミーに掲載された金蘭会高校の紹介記事では、林寛二コーチがコンディショニングの考え方を説明している。
同記事で紹介された具体的な取り組みは次のとおりだ。
- ウエイトトレーニングを週3回実施
- 管理栄養士の助言を取り入れた栄養管理
- 3食を基本とする食生活
- 入浴後のストレッチや筋肉のケア
- 睡眠時間の確保
- ケガの予防を意識した身体づくり
当時の部員数は31人で、その約7割が自宅から通学していた。
記事で紹介された選手の生活例では、朝6時30分に起床し、夜21時にはベッドに入る9時間睡眠を確保していた。
また、180cmの西村里音は、入浴後に筋膜ローラーを使って筋肉をほぐすセルフケアを実践していた。
ここで注目したいのは、林コーチが掲げるコンディショニングの目的だ。
単に筋力を増やすのではなく、選手が安心して学校生活と競技活動を続けられる状態をつくること。長期間にわたって高い競技レベルを維持するには、ケガを防ぐ仕組みが欠かせない。
5.全国大会の経験を次の世代へ引き継ぐ文化金蘭会は、優勝した選手だけでなく、次の世代が全国大会を経験できる環境も持っている。
2026年春高では3年生の馬場、徳元、丹山らが中心となったが、夏のインターハイでは1年生や2年生も登録メンバーに入った。
このように、全国大会の経験を積んだ選手が卒業し、後輩がその経験を引き継ぐ。
2015年の3冠、2018年・2019年の春高連覇、2026年の春高優勝という実績は、チームの歴史として積み重なっている。
ただし、過去の優勝回数だけで次の大会の勝利が保証されるわけではない。毎年選手が入れ替わる高校スポーツだからこそ、技術や戦術を次の世代へ伝える指導体制が重要になる。
【インターハイ2026】金蘭会は3位!2冠の意味と現在の実力を検証

ここは2026年の金蘭会を理解するうえで、特に要点だ。
2026年1月の春高優勝時には、インターハイとの2冠達成が報じられた。しかし、2026年8月に開催されたインターハイでは、金蘭会は優勝していない。
2026年のインターハイは横浜隼人に敗れる2026年8月3日から7日まで滋賀県で開催された令和8年度全国高等学校総合体育大会。
金蘭会は順調に勝ち進み、準々決勝では長崎県の西彼杵高校を2-0で下した。
しかし、8月7日の準決勝で横浜隼人高校と対戦し、セットカウント1-2で敗退した。
試合のスコアは次のとおり。
| 試合 | 結果 |
|---|---|
| 3回戦 | 金蘭会 2-0 福工大城東 |
| 準々決勝 | 金蘭会 2-0 西彼杵 |
| 準決勝 | 金蘭会 1-2 横浜隼人 |
横浜隼人は決勝で東九州龍谷を3-1で破り、初優勝を達成した。
金蘭会は3位。ベスト6には中山沙也が選出され、優秀選手には中山、吉田桜香、西村里音の3人が名を連ねた。
「2冠」はどの大会を指すのか?時系列を整理すると、誤解しやすいポイントが見えてくる。
- 2025年8月: 令和7年度インターハイで金蘭会が優勝。2連覇、通算4度目の優勝。
- 2026年1月: 第78回春高バレーで金蘭会が優勝。前夏のインターハイ優勝と合わせて2冠。
- 2026年8月: 令和8年度インターハイでは準決勝敗退。最終順位は3位。
2026年1月の2冠は、2025年夏のインターハイと2026年1月の春高を指している。
学校の優勝報告や当時の報道でも、この組み合わせで2冠達成と説明されている。2026年夏のインターハイまで優勝したという意味ではない。
現在の実力と全国での評価2026年11月時点の金蘭会は、春高の全国優勝校であり、夏のインターハイでもベスト4に進出したチームだ。
全国大会の結果を並べると、次のようになる。
| 大会 | 年 | 結果 |
|---|---|---|
| インターハイ | 2025年 | 優勝 |
| 春高バレー | 2026年1月 | 優勝 |
| インターハイ | 2026年8月 | 3位 |
優勝と3位という結果は、どちらも全国トップクラスの実力を示す。
一方で、横浜隼人に敗れた事実は、全国のライバル校との競争が厳しいことも示している。
金蘭会を「絶対に負けないチーム」と評価するより、世代交代を経験しながらも全国の上位争いに残り続ける強豪校と捉えるほうが、実態に近い。
【2027年春高】大阪予選を突破!16年連続の全国出場へ
2027年春高バレーに向けた大阪府予選は、2026年10月25日と11月1日を中心に開催された。
金蘭会は11月1日の代表決定戦で大阪学芸高校と対戦し、2-0で勝利した。
この結果、女子第1代表として第79回全日本バレーボール高等学校選手権大会への出場権を獲得。16年連続16回目の出場となる。
2027年春高に向けた大阪予選の結果| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 大会 | 第79回全日本バレーボール高等学校選手権大会・大阪府予選 |
| 代表決定日 | 2026年11月1日 |
| 対戦相手 | 大阪学芸高校 |
| 試合結果 | 金蘭会 2-0 大阪学芸 |
| 大阪府女子第1代表 | 金蘭会 |
| 出場回数 | 16年連続16回目 |
大阪府からは金蘭会と大阪国際の2校が出場する。
2027年春高の開催日程第79回全日本バレーボール高等学校選手権大会の本戦は、2027年1月4日から10日まで東京体育館で開催される予定だ。
金蘭会にとっては、2026年大会に続く連覇への挑戦となる。
注目したいのは、馬場柚希や徳元菜々美、丹山花椿が卒業した後のチームづくりだ。
2026年夏のインターハイでは中山沙也、西村里音らが個人賞を受賞しており、新しい中心選手の存在感も増している。
2027年大会では、次の3点が特に注目される。
1. 攻撃力の維持: 馬場らが担っていた得点力を、誰がどのように引き継ぐか。
2. セッターの成長: 中村愛実や松浪来実らが攻撃をどう組み立てるか。
3. 守備の安定: サーブレシーブとブロックの連動をどこまで高められるか。
春高連覇を実現するには、過去の優勝経験だけでなく、新チームとしての完成度が問われる。
【金蘭会バレー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:金蘭会高校は2026年の春高バレーで優勝した?
A1:優勝した。2026年1月11日の女子決勝で就実高校を3-0(25-20、29-27、28-26)で破り、7大会ぶり4度目の優勝を達成した。
Q2:馬場柚希はどのような選手?
A2:2026年春高で主将を務めた180cmのミドルブロッカー。大会最優秀選手賞を受賞し、攻守両面でチームを支えた。
Q3:池条義則監督と林寛二コーチの役割は?
A3:池条監督はチーム全体の戦術と技術指導を担い、守備や二段トスを打ち切る攻撃力を重視している。林コーチは栄養管理やコンディショニング、身体づくりにも取り組んでいる。
Q4:2026年のインターハイでも金蘭会は優勝した?
A4:2026年8月のインターハイでは準決勝で横浜隼人に1-2で敗れ、3位だった。春高との2冠は、2025年夏のインターハイと2026年1月の春高を指す。
Q5:金蘭会は2027年の春高にも出場する?
A5:出場する。2026年11月1日の大阪府代表決定戦で大阪学芸を2-0で破り、16年連続16回目の全国大会出場を決めた。
Q6:金蘭会高校バレー部の歴代卒業生には誰がいる?
A6:林琴奈、宮部藍梨、中川つかさなどがいる。林琴奈と宮部藍梨はオリンピック出場経験を持ち、中川つかさはセッターとして国内トップレベルで活躍している。
Q7:金蘭会中学校も全国大会で優勝している?
A7:優勝実績がある。2025年の第55回全日本中学校選手権大会では女子6連覇、通算9度目の優勝を達成した。なお、2026年大会には出場していない。
2026年の金蘭会高校女子バレーボール部は、春高で7大会ぶり4度目の優勝を果たし、夏のインターハイでも3位に入った。
馬場柚希を中心とした2026年春高の優勝は、個人の能力だけでなく、徳元菜々美、丹山花椿、岡日和らがそれぞれの役割を果たした結果だった。
その背景には、池条義則監督が築いた守備を重視する指導方針、林寛二コーチによるコンディショニング、金蘭会中学校から続く育成環境がある。
そして、林琴奈、宮部藍梨、中川つかさといった卒業生の活躍は、同校が長期的に優秀な選手を育ててきたことを示している。
一方、2026年夏のインターハイでは3位に終わり、全国のライバルとの差を改めて突きつけられた。2027年春高では、優勝経験のある旧チームから新世代への移行が大きなテーマになる。
金蘭会の本当の強さを判断するなら、優勝回数だけでなく、世代交代後も全国上位に残れるか、選手を育て続けられるかに注目したい。
2027年1月の春高で連覇を達成できるか。金蘭会の次世代がどのようなバレーボールを見せるのか、引き続き注目したい。