第4局の2勝2敗から迎えた最終決戦は、2026年3月29日、鳥取県鳥取市の有隣荘で行われました。
藤井棋王にとっては4連覇を懸けた一戦。増田八段にとっては、棋士人生初のタイトル獲得を懸けた大一番でした。
最終局は藤井棋王が先手、一手損角換わりに振り駒の結果、先手は藤井棋王に決まりました。対する増田八段は一手損角換わりを採用し、藤井棋王を迎え撃ちます。
一手損角換わりは、後手が角交換を行う際に通常より一手を費やす構想です。その手損と引き換えに、駒組みや攻めのタイミングで独自の展開を目指します。
序盤から両者の研究と構想がぶつかる展開となり、藤井棋王が先手の利を生かしながら主導権を握りました。
最終局の主な結果は次のとおりです。
- 対局日:2026年3月29日
- 会場:鳥取県鳥取市・有隣荘
- 先手:藤井聡太棋王
- 後手:増田康宏八段
- 戦型:一手損角換わり
- 終局時刻:午後6時13分
- 手数:77手
- 勝者:藤井聡太棋王
日本将棋連盟の対局結果と棋王戦中継plusによると、藤井棋王が77手で勝利。消費時間は藤井棋王が3時間37分、増田八段が3時間52分でした。
藤井棋王が振り返った苦しいシリーズ防衛決定後の記者会見で、藤井棋王はシリーズについて率直に振り返っています。
途中まで1勝2敗でカド番にもなり、かなり苦しいシリーズでもあった。それだけに防衛できたことはうれしく思う。
また、第4局については、後手番で勝てたことが大きかったと説明しました。
藤井棋王は、第4局の中盤には苦しい局面もあったものの、相手に引き離されないように指し、終盤も踏み込めたことが印象に残っていると語っています。
第4局と第5局の連勝は、単に勝敗をひっくり返しただけではありません。シリーズを通して増田八段が見せた序盤の工夫に対応し、最終局では先手番を生かして勝ち切ったことが、防衛につながりました。
【増田康宏八段の挑戦】2期連続で藤井棋王に挑んだ実力

今回のシリーズを語るうえで、増田康宏八段の存在も欠かせません。
増田八段は藤井棋王にとって簡単な挑戦者ではありませんでした。第1局と第3局で勝利し、第4局終了時点までタイトル獲得に王手をかけていたからです。
前期に続く2度目の棋王挑戦増田八段は第50期棋王戦でも藤井棋王に挑戦しています。
2025年度の第50期五番勝負では藤井棋王に0勝3敗で敗れ、タイトル獲得には届きませんでした。
しかし、翌期の第51期でも挑戦者決定戦まで勝ち上がり、再び同じ藤井棋王との五番勝負を実現させました。2期連続の挑戦です。
第51期の挑戦者決定トーナメントでは、高見泰地七段、吉池隆寛四段、糸谷哲郎八段らを破り、勝者組決勝へ進出。さらに2025年12月16日の挑戦者決定戦では斎藤明日斗六段に80手で勝利し、挑戦権を獲得しました。
棋王戦独自の敗者復活制度も見どころ棋王戦には、ほかのタイトル戦とは異なる特徴があります。
それが、挑戦者決定トーナメントにおける敗者復活制度です。
本戦の勝者組と敗者復活組が挑戦者決定戦に進む仕組みで、勝者組の優勝者は1勝すれば挑戦権を獲得できます。一方、敗者復活組から勝ち上がった棋士は、変則二番勝負で2連勝する必要があります。
第51期では、増田八段が勝者組の優勝者として斎藤六段との決定戦に臨み、1局で挑戦権を獲得しました。
今回の五番勝負では、増田八段が2勝を挙げたこと自体が大きな成果でした。前年の0勝3敗から成績を伸ばし、タイトル獲得まであと1勝というところまで迫ったからです。
最終局後、増田八段はシリーズ全体を振り返り、藤井棋王との力の差を感じた部分が多かったと述べ、さらに改善してタイトルを目指す姿勢を示しました。
【棋王戦の仕組みと歴代棋王】永世棋王まであと1期の意味
棋王戦は、共同通信社主催の将棋タイトル戦です。現在はコナミグループが特別協賛を務めています。
歴史は古く、1974年に第1回棋王戦として発足。翌1975年に公式タイトル戦へ昇格し、第1期棋王戦が始まりました。
共同通信社の棋王戦公式特設情報によると、棋王戦は将棋界で初めて敗者復活戦を導入した棋戦としても知られています。
五番勝負の基本ルール棋王戦のタイトル戦は、1日制の五番勝負です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対局形式 | 五番勝負 |
| タイトル獲得条件 | 先に3勝 |
| 持ち時間 | 各4時間 |
| 対局日数 | 原則1日制 |
| 先後の決定 | 振り駒などによる |
| 昼食休憩 | 12時~13時 |
| 永世棋王の条件 | 連続5期獲得 |
日本将棋連盟の公式規定でも、棋王戦の持ち時間は各4時間、永世棋王の資格条件は連続5期とされています。
歴代棋王の獲得記録棋王戦の歴史を振り返ると、長期にわたってタイトルを保持した棋士がいます。
特に目立つのが羽生善治九段と渡辺明九段です。
| 棋士 | 棋王獲得回数 | 主な実績 |
|---|---|---|
| 羽生善治九段 | 13期 | 歴代最多。第16期から12年にわたり保持 |
| 渡辺明九段 | 10期 | 永世棋王資格を獲得。10連覇 |
| 米長邦雄九段 | 5期 | 4連覇を記録 |
| 藤井聡太九段 | 4期 | 第48期から第51期まで4連覇 |
羽生九段の13期は棋王戦の歴代最多記録です。渡辺九段は10連覇を達成し、2017年に永世棋王の資格を獲得しました。
藤井棋王は第51期終了時点で4期連続獲得となり、歴代記録に名を連ねる位置まで進んでいます。
永世棋王とは?藤井聡太が残り1期で到達する称号永世棋王は、棋王のタイトルを連続5期獲得した棋士に与えられる資格です。
第51期終了時点で藤井棋王は4連覇。次の第52期でも防衛に成功すれば、永世棋王の資格を獲得できます。
これまでに資格を得ているのは羽生善治九段と渡辺明九段の2人です。
藤井棋王がこの条件を満たせば、歴代3人目の永世棋王となります。
ただし、4連覇と永世棋王資格の獲得は別の記録です。第51期の時点では、まだ永世棋王ではありません。この違いは将棋ファン以外にも押さえておきたいポイントです。
【棋王戦第4局に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:棋王戦第4局はいつ、どこで開催されましたか?
A1:2026年3月15日、栃木県日光市の「日光きぬ川スパホテル三日月」で開催されました。第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負の第4局です。
Q2:第4局は何手で、どちらが勝ちましたか?
A2:藤井聡太棋王が後手番で126手まで指し、増田康宏八段に勝利しました。戦型は相掛かりで、終局時刻は午後7時15分です。
Q3:第4局終了後のシリーズ成績は何勝何敗でしたか?
A3:藤井棋王と増田八段が2勝2敗で並びました。第3局終了時点では増田八段が2勝1敗だったため、藤井棋王がカド番をしのいだことになります。
Q4:第5局はいつ、どこで行われましたか?
A4:2026年3月29日、鳥取県鳥取市の有隣荘で開催されました。藤井棋王が77手で勝利し、3勝2敗で防衛しました。
Q5:藤井聡太棋王は何連覇を達成しましたか?
A5:第51期棋王戦で4連覇を達成しました。永世棋王の資格獲得条件は連続5期のため、残り1期の防衛で資格を得られる状況です。
Q6:増田康宏八段は今回が初めてのタイトル挑戦ですか?
A6:いいえ。第50期に続く2期連続の棋王挑戦でした。第50期は藤井棋王に0勝3敗で敗れましたが、第51期では2勝を挙げ、最終局までタイトル争いを繰り広げました。
Q7:棋王戦第4局の棋譜や対局速報はどこで確認できますか?
A7:日本将棋連盟の棋王戦特設ページや、棋王戦中継サイト、棋王戦中継plusで確認できます。第4局の棋譜再生や終局後のインタビュー、局面ごとの解説も公開されています。
第51期棋王戦の第4局は、2026年3月15日に日光市で行われ、藤井聡太棋王が増田康宏八段に後手番で126手勝ちしました。
第3局終了時点で1勝2敗と追い込まれていた藤井棋王にとって、この勝利は防衛への道をつなぐ大きな一勝でした。
その後、3月29日の第5局でも藤井棋王が77手で勝利。シリーズを3勝2敗で終え、棋王4連覇を達成しています。
今回のシリーズで注目すべき要点は3つあります。
- 藤井棋王の粘り強さ: カド番から第4局、第5局を連勝して逆転防衛。
- 増田八段の成長: 2期連続で挑戦し、第3局まで2勝を挙げて初タイトルに迫った。
- 永世棋王への期待: 藤井棋王は連続5期の資格条件まで、あと1期に迫った。
第4局は単なる126手の勝利ではありません。藤井棋王が苦しいシリーズを立て直し、最終局でタイトルを守るための重要な分岐点でした。
次の第52期棋王戦では、藤井棋王が5連覇と永世棋王の資格を手にするのか、それとも新たな挑戦者がその記録を阻むのか。棋王戦の歴史に残る新たな節目として、引き続き注目されます。