2023年の日本生命セ・パ交流戦は、5月30日から6月18日まで開催され、全12球団が18試合ずつ、合計108試合を戦った。
最終的に首位に並んだのは、横浜DeNAベイスターズ、福岡ソフトバンクホークス、読売ジャイアンツ、オリックス・バファローズの4球団。いずれも11勝7敗、勝率.611という同一成績だった。
その中で優勝球団となったのがDeNAだ。NPBの公式順位表では、TQBなどの順位決定規定に基づき、DeNAが1位となっている。
2023年交流戦・12球団最終順位
出典:日本野球機構(NPB)2023年度交流戦公式勝敗表。順位は公式掲載順。
この順位表から読み取れる要点は3つある。
- 1位から4位までは、勝敗も勝率も完全に同じ。
- 日本ハムは10勝8敗で単独5位となった。
- 最下位は6勝12敗の埼玉西武ライオンズだった。
なお、勝率は勝利数を勝利数と敗戦数の合計で割って算出する。引き分けは計算に含めない。そのため、ロッテの7勝9敗2分は.438、中日と阪神の7勝10敗1分は.412となる。
特に注目したいのは、4球団が勝率.611で並んだという点だ。通常の勝敗表だけを見れば優勝球団を決められないため、NPBの特別な順位決定ルールが適用された。
【TQBとは?】DeNAがソフトバンク・巨人・オリックスを上回った理由

2023年交流戦の最大の特徴は、優勝決定にTQB(得失点率差)が使われたことだ。
TQBとは、英語のTotal Quality Balanceの略称で、攻撃イニング当たりの得点と守備イニング当たりの失点の差を表す指標である。
TQBの計算方法NPBが定めた計算式は次のとおり。
TQBの計算式
攻撃イニング当たりの得点率から、守備イニング当たりの失点率を引く。
TQBでは、単純な総得点や総失点だけではなく、実際に攻撃・守備を行ったイニング数を考慮する。
例えば、同じ21点の得失点差を記録したチームでも、攻撃・守備イニングの数が異なればTQBは変わる。
この仕組みが重要なのは、野球では試合展開によって攻撃イニング数が必ずしも一致しないからだ。ホームチームがリードした状態で9回裏を迎えれば、その回の攻撃を行わずに試合が終了する場合もある。
したがって、TQBは単なる得失点差の比較ではない。
2023年の順位決定で適用されたルールNPBの2023年交流戦開催要項では、同率球団が2球団の場合と3球団以上の場合で、順位決定の手順が分けられていた。
| 順位決定の順番 | 2球団が同率 | 3球団以上が同率 |
|---|---|---|
| 1 | 勝利数 | 勝利数 |
| 2 | 直接対戦成績 | TQB |
| 3 | TQB | ER-TQB |
| 4 | ER-TQB | チーム打率 |
| 5 | チーム打率 | 前年度交流戦順位 |
| 6 | 前年度交流戦順位 | ― |
ER-TQBは、相手の自責点による得点率から自責点率を差し引く指標だ。
2023年は4球団が同率だったため、3球団以上の場合の規定が適用された。
つまり、最初に勝利数を比較し、それでも差がつかなかったため、TQBによって順位を決めたのである。
ここで押さえておきたいのは、3球団以上が並んだ場合、2球団同率のときに使われる直接対戦成績は順位決定の項目に入らないという点だ。
NPBの公式開催要項では、TQBでも差がつかなければER-TQB、チーム打率、前年の交流戦順位へと判定を進める仕組みになっている。
なぜDeNAが優勝できたのかDeNAは11勝7敗という好成績を残しただけでなく、TQBの比較でも同率首位の3球団を上回った。
その結果、2005年に始まったセ・パ交流戦で、球団史上初めての優勝を達成した。
この2023年の決着は、TQBが実際の交流戦優勝決定に使われた初めてのケースとしても注目された。
勝利数だけでは決まらない接戦において、1イニング当たりの攻守の効率まで評価されたことが、2023年の大きな特徴だった。
【パ・リーグ勝ち越し】2023年交流戦のリーグ別対戦成績
球団別の順位とは別に確認したいのが、セ・リーグとパ・リーグ全体の対戦成績だ。
2023年はパ・リーグが54勝、セ・リーグが52勝、引き分けが2試合という結果だった。
2023年交流戦・リーグ別勝敗
セ・リーグ52勝
パ・リーグ54勝
引き分け
2試合
全108試合。NPB公式の年度別対戦成績による。
パ・リーグはセ・リーグに対して2勝多く、2023年の交流戦はパ・リーグの勝ち越しで終了した。
ただし、ここで混同してはいけないのが、リーグ全体の勝ち越しと交流戦優勝は別の記録だということ。
2023年の優勝球団はセ・リーグ所属のDeNAだった。つまり、リーグ全体ではパ・リーグが勝ち越しながら、個別球団の最高勝率ではDeNAがトップに立ったのである。
この2つは矛盾しない。リーグ別勝敗は18試合ずつの球団間対戦を合計した数字であり、交流戦優勝は12球団それぞれの勝率を比較して決定するからだ。
2023年の結果は長期的な交流戦の流れの中でどう位置づけられる?NPBの年度別記録を見ると、パ・リーグは2023年以外にも多くの年度でセ・リーグに勝ち越してきた。
一方、2022年はセ・リーグが55勝、パ・リーグが53勝で、セ・リーグが勝ち越している。
2023年はこの流れが再びパ・リーグ優勢に戻ったシーズンだった。
交流戦では、普段は対戦しないリーグの投手や打者と戦うことになる。DH制の有無も主催球団によって異なるため、各球団の選手起用や試合運びにも違いが生まれる。
こうした環境の違いが、リーグ別成績を比較する際の見どころになっている。
【表彰選手一覧】MVP岡本和真、牧秀悟、近藤健介の活躍
2023年6月22日、NPBは交流戦優勝球団と個人表彰選手を発表した。
注目すべきは、交流戦優勝球団のDeNAから牧秀悟がセ・リーグ優秀選手賞に選ばれた一方、12球団から最も活躍した選手に贈られる最優秀選手賞には巨人の岡本和真が選出されたことだ。
パ・リーグ優秀選手賞には、ソフトバンクの近藤健介が選ばれている。
岡本和真
読売ジャイアンツ
- 8本塁打:1位
- 19打点:1位
- 52塁打:1位
- 打率.383:2位
- 長打率.867:1位
牧秀悟
横浜DeNAベイスターズ
- 27安打:1位
- 8二塁打:1位
- 13打点
- 打率.380:3位
- 長打率.606
近藤健介
福岡ソフトバンクホークス
- 打率.413:1位
- 出塁率.519:1位
- 26安打:2位
- 5本塁打
- 15打点
岡本は18試合すべてに4番打者として先発出場し、8本塁打、19打点という打撃2冠を達成した。
特に評価されたのは、単にホームランを量産したことだけではない。
NPBの選考理由では、交流戦期間中に放った8本の殊勲安打が挙げられている。その内訳は次のとおりだ。
- 先制打:4本
- 勝ち越し打:2本
- 同点打:1本
- サヨナラ打:1本
チームの勝敗を左右する場面で結果を残したことが、MVP選出の大きな理由となった。
牧秀悟はDeNA初優勝を支えた牧は18試合すべてに4番・二塁手として先発出場し、27安打で交流戦最多安打を記録した。
特に注目されたのが、6月18日のロッテ戦だ。
初優勝に向けて重要な試合となったこの一戦で、牧は3本の長打を含む4安打を記録。優勝争いの最終局面で存在感を示した。
チームの優勝に直接貢献した選手として、セ・リーグ優秀選手賞に選ばれた。
近藤健介は交流戦首位打者を獲得近藤は打率.413、出塁率.519という優れた成績を残した。
特に出塁率.519は交流戦歴代2位に相当する記録だった。
26安打を放ち、5本塁打、15打点も記録。安定した出塁能力と長打力の両方を発揮した。
岡本、牧、近藤の3人は、それぞれ異なる形で2023年交流戦を代表する活躍を見せた。
なお、最優秀選手賞は12球団から1名、優秀選手賞はセ・パ両リーグから各1名が選ばれる制度だ。優勝球団の選手が必ずMVPになるわけではない。
【大会の基本情報】2023年交流戦の日程・試合数・賞金
順位や個人記録を振り返る際には、大会そのものの仕組みも押さえておきたい。
2023年の日本生命セ・パ交流戦は、5月30日に開幕し、6月18日に全日程を終えた。
| 項目 | 2023年の内容 |
|---|---|
| 大会名称 | 日本生命セ・パ交流戦2023 |
| 開催期間 | 5月30日~6月18日 |
| 参加球団 | セ・パ両リーグ12球団 |
| 各球団の試合数 | 18試合 |
| 総試合数 | 108試合 |
| 優勝球団 | 横浜DeNAベイスターズ |
| 優勝成績 | 11勝7敗 |
| 優勝賞金 | 3,000万円 |
| 最優秀選手賞 | 岡本和真 |
| 最優秀選手賞の賞金 | 200万円 |
| 優秀選手賞の賞金 | 各100万円 |
大会の開催要項では、勝率第1位の球団が交流戦優勝球団となることが定められている。
また、パ・リーグ球団の主催試合に限りDH制を採用するルールも設けられていた。
これは、普段からDH制を採用しているパ・リーグと、投手も打席に立つセ・リーグの違いを交流戦に持ち込む仕組みでもある。
賞金は優勝球団に3,000万円、最優秀選手賞に200万円、セ・パの優秀選手賞にそれぞれ100万円。チームと個人の両方に明確な評価が与えられる大会となっている。
【交流戦2023の順位】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2023年のセ・パ交流戦で優勝した球団はどこ?
横浜DeNAベイスターズだ。11勝7敗、勝率.611で全日程を終了し、TQBによる順位決定でソフトバンク、巨人、オリックスを上回った。球団史上初の交流戦優勝となった。
Q2:2023年交流戦の1位は4球団ではないの?
勝敗と勝率では4球団が同率首位だった。ただし、3球団以上が並んだ場合の順位決定規定によってTQBが比較され、DeNAが1位となった。公式の優勝球団はDeNAのみである。
Q3:2023年交流戦の勝率.611は何勝何敗?
18試合中11勝7敗だ。勝率は11÷(11+7)で計算され、小数第3位まで表示すると.611となる。
Q4:TQBと得失点差は同じ意味?
同じではない。得失点差は総得点から総失点を引いた数値だが、TQBは得点を攻撃イニングで割り、失点を守備イニングで割ったうえで、その差を求める。イニング数も考慮する点が異なる。
Q5:2023年交流戦のMVPはDeNAの選手?
最優秀選手賞を受賞したのは読売ジャイアンツの岡本和真だ。DeNAの牧秀悟はセ・リーグ優秀選手賞、ソフトバンクの近藤健介はパ・リーグ優秀選手賞を受賞した。
Q6:2023年の交流戦はセ・リーグとパ・リーグのどちらが勝ち越した?
パ・リーグだ。リーグ別の通算成績はパ・リーグ54勝、セ・リーグ52勝、引き分け2試合だった。
2023年のセ・パ交流戦は、12球団のうち4球団が11勝7敗、勝率.611で並ぶ大接戦となった。
その争いを制したのは横浜DeNAベイスターズ。TQB(得失点率差)によって順位が決まり、球団初の交流戦優勝を成し遂げた。
個人表彰では、巨人の岡本和真が最優秀選手賞、DeNAの牧秀悟がセ・リーグ優秀選手賞、ソフトバンクの近藤健介がパ・リーグ優秀選手賞を受賞。それぞれが打撃面で際立った記録を残した。
また、リーグ全体ではパ・リーグが54勝、セ・リーグが52勝で勝ち越している。リーグ別の勝敗と球団別の優勝は異なる評価軸であり、この点も2023年の結果を理解するうえで欠かせない。
2023年交流戦を振り返る際に覚えておきたい重要な数字は、次の4つだ。
- 優勝球団:横浜DeNAベイスターズ
- 優勝成績:11勝7敗、勝率.611
- 順位決定方法:TQB(得失点率差)
- 最優秀選手賞:岡本和真
2023年の交流戦は、勝利数が同じでも攻守の効率によって最終順位が変わることを示した大会だった。12球団の勝敗表だけでなく、順位決定規定や個人表彰まで合わせて確認することで、そのシーズンの本当の見どころがより鮮明になる。