みかんの皮をむいたとき、果肉にまとわりついている白い筋。きれいに取り除いてから食べる人もいれば、そのまま口にする人もいるでしょう。「みかんの白い筋は食べても大丈夫なのか」「体に悪いものではないのか」と疑問に思ったことはありませんか。
実は、この白い筋は植物の栄養や水分を運ぶための組織です。食物繊維やポリフェノールの一種であるヘスペリジンなど、注目したい成分も含まれています。2026年度更新の農林水産省の資料でも、その正体は維管束と説明されています。加えて、白い筋とアルベド、薄皮は植物学的には異なる部分です。それぞれの違いや栄養面での特徴を知ると、いつものみかんの食べ方も変わってくる可能性があります。
【結論】みかんの白い筋は食べても大丈夫?取り除く必要はある?

まず結論からいうと、みかんの白い筋は食べても問題ありません。通常の温州みかんについては、白い筋を取り除かなければならない理由はなく、果肉や薄皮と一緒に食べられます。
白い筋は、みかんが成長する過程で必要とする栄養分や水分を運ぶ組織です。農林水産省の「消費者の部屋」に掲載されている2026年度更新のQ&Aでも、白い筋を維管束と説明しています。
つまり、白い筋は農薬の残留物や食べられない異物ではありません。みかんの実を構成する自然な組織です。
白い筋を取らずに食べるメリット白い筋を残して食べるメリットは、果実に含まれる食物繊維やポリフェノールなどを、より無駄なく摂取できることです。
特に注目したいのが、次の3つの成分です。
- 食物繊維:腸内環境を整える働きに関係する栄養成分。
- ペクチン:水溶性食物繊維の一種で、腸内環境や便通に関係する。
- ヘスペリジン:柑橘類に含まれるポリフェノールの一種で、ビタミンPとも呼ばれてきた成分。
これらは白い筋だけに含まれるわけではありません。果肉や薄皮、果皮の白い部分にも存在します。
栄養面を考えるなら、白い筋を一本ずつ取り除くよりも、そのまま食べる方が合理的です。ただし、白い筋を食べなければ健康に悪影響が出るということではありません。
白い筋を取った方がよいケースは?基本的には取る必要はありませんが、食感が苦手な場合や、口当たりを重視したい場合は取り除いても構いません。
また、消化器の手術後などで医師から食物繊維の多い食品を控えるよう指示されている人は、一般的な食べ方よりも個別の食事指導を優先してください。
大切なのは、白い筋を食べること自体を健康上の義務にしないことです。みかんは果肉だけでも十分においしく楽しめます。
【正体を徹底解剖】白い筋・アルベド・薄皮は何が違う?
みかんの白い部分には、実はいくつかの異なる組織があります。普段はまとめて「白い筋」や「白いワタ」と呼びがちですが、植物の構造として見ると役割が異なります。
特に混同されやすいのが、維管束、アルベド、じょうのう膜の3つです。
1. 白い筋の正体は維管束果肉を包む房の外側に沿って走っている、葉脈のような白い糸状の部分。これが維管束(いかんそく)です。
農林水産省によると、維管束は植物の栄養分や水分を運ぶための管です。みかんの房の中には果汁を蓄えた小さな粒があり、それぞれが外側の白い維管束につながっています。
植物が成長するための水分や養分を運ぶという、重要な役割を担っているわけです。
白い筋が網目状に見えるのも、果実の内部に張り巡らされた輸送経路の一部だからです。
2. アルベドは外皮の内側にある白い部分アルベドとは、みかんの外皮を構成する中果皮のことです。オレンジ色の皮をむいたとき、その内側に付着している白くてスポンジ状の組織を指します。
外側のオレンジ色の部分はフラベドと呼ばれ、内側の白い部分がアルベドです。
東京大学大学院農学生命科学研究科の柑橘類に関する解説でも、フラベド、アルベド、じょうのうは、それぞれ異なる組織として整理されています。
アルベドにはペクチンやヘスペリジンなどの成分が含まれています。見た目や口当たりから取り除かれがちですが、食べられる部分です。
3. 薄皮の正体はじょうのう膜一房ずつ果肉を包んでいる薄い袋状の部分は、じょうのう膜と呼ばれます。
アルベドが外皮の内側にある組織なのに対し、じょうのう膜は房そのものを包む内果皮です。果肉を保護する役割を持っています。
この薄皮にも食物繊維やペクチンなどが含まれています。みかんを袋ごと食べることで、果汁の詰まった砂じょうだけでなく、周囲の膜に含まれる成分も摂取できます。
みかんの白い部分を構造別に比較| 部位 | 正式名称 | 特徴・役割 | 食べられる? |
|---|---|---|---|
| 房に付着する白い筋 | 維管束 | 水分や栄養分を運ぶ管 | 食べられる |
| 外皮の内側の白いワタ | アルベド(中果皮) | 外皮の内側を構成する白い組織 | 食べられる |
| 一房を包む薄い膜 | じょうのう膜 | 果肉を包んで保護する組織 | 食べられる |
| 果汁が詰まった粒 | 砂じょう | 果汁を蓄える果肉部分 | 食べられる |
このように、白い筋とアルベド、薄皮は厳密には別のものです。ただし、日常的な会話では、これらの白い組織をまとめて「みかんの白い筋」と呼ぶこともあります。
栄養面の情報を調べるときは、どの部位について説明しているのかを区別することが大切です。
【栄養を徹底検証】みかんの白い筋に含まれる食物繊維・ペクチン・ヘスペリジン
みかんの白い部分が注目される理由は、食物繊維やポリフェノールなどを含んでいることです。
和歌山県農林水産部がまとめた「和歌山県産食材機能性ガイド」では、温州みかんの薄皮部分(じょうのう)や白い綿状の部分(アルベド)に、ペクチンやヘスペリジンが多く含まれると紹介されています。
それぞれの成分の特徴を確認してみましょう。
食物繊維は白い筋や薄皮にも含まれる食物繊維は、人間の消化酵素では十分に分解されず、小腸を通過して大腸まで届く成分です。
厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、食物繊維について、便通を整える働きや腸内細菌に利用される性質などを解説しています。
みかんの白い部分や薄皮にも食物繊維が含まれているため、果肉だけを食べる場合と比べて、袋ごと食べる方が摂取できる食物繊維の量を増やせます。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版では、温州みかんの食物繊維について、次のような数値が掲載されています。
- じょうのう(普通・生):可食部100g当たり1.0g
- 砂じょう(普通・生):可食部100g当たり0.4g
ここで注意したいのは、これらは食品成分表における部位別の食品区分の数値であり、白い筋だけを取り出して測定した数値ではないことです。
それでも、果肉の粒だけでなく、房を包む部分も含めて食べることに栄養面で意味があると分かります。
ペクチンは水溶性食物繊維の一種ペクチンは、植物の細胞壁などに存在する多糖類で、水溶性食物繊維の一種です。
柑橘類では、薄皮やアルベドなどに含まれています。
ペクチンを含む水溶性食物繊維は、水に溶けると粘性を持ち、腸内環境を整える働きに関係します。食物繊維は便の状態や腸内細菌の活動にも関わるため、日々の食生活で意識したい成分です。
みかんを袋ごと食べる習慣は、こうした成分を自然な食品から摂取する方法の一つです。
ヘスペリジンは柑橘類に特徴的なポリフェノールもう一つ注目したいのが、ヘスペリジンです。
ヘスペリジンは柑橘類に含まれるフラボノイド系のポリフェノールです。果皮や白い部分、薄皮などに関係する成分として知られています。
和歌山県の機能性ガイドでも、温州みかんのアルベドやじょうのうに含まれる成分として紹介されています。
ヘスペリジンは植物由来の成分として研究されており、血管機能や血流などとの関連が調べられています。ただし、みかんの白い筋を食べるだけで、特定の病気を予防したり、血流の問題を治療したりできるという意味ではありません。
通常の食品として、さまざまな栄養成分を摂取するという視点で捉えるのが適切です。
【食べる理由と誤解】ビタミンPとは?白い筋は本当に体にいい?
みかんの白い筋について調べると、「ビタミンPが豊富」「血管を丈夫にする」「ビタミンCの働きを助ける」といった説明を目にすることがあります。
こうした説明の背景には、ヘスペリジンという成分があります。ただし、言葉の意味や健康効果については整理して理解する必要があります。
ビタミンPは一般的なビタミンとは異なるヘスペリジンは、かつてビタミンPと呼ばれていた成分の一つです。
日本ビタミン学会のビタミンQ&Aによると、ビタミンPという呼び名は、ヘスペリジンやルチンなどのフラボノイドに対して使われてきたものです。
しかし、現在の学術的な分類では、ヘスペリジンはビタミンの定義には当てはまりません。ポリフェノールの一種として理解するのが適切です。
そのため、「みかんの白い筋にはビタミンPが含まれる」という説明は、歴史的な呼び名としては理解できますが、ビタミンCやビタミンB群と同じ栄養素だと考えるのは正確ではありません。
白い筋を食べる理由は栄養を無駄にしないため白い筋を食べる理由は、特別な健康法だからではありません。みかんに本来含まれている栄養成分を、できるだけ無駄にしないためです。
みかんは果肉だけでもビタミンCやカリウムなどを摂取できる果物ですが、白い部分や薄皮にも食物繊維やポリフェノールなどが含まれています。
つまり、白い筋を残して食べることは、食べられる部分を余すことなく利用する自然な食べ方です。
白い筋を食べれば健康効果が劇的に高まるわけではないここで注意したいのが、成分が含まれていることと、実際に健康効果が得られることは同じではないという点です。
例えば、ヘスペリジンの研究で特定の作用が報告されていても、その研究で用いられた成分量や加工形態と、普段のみかんを1個食べる場合の摂取量は異なります。
機能性表示食品についても、消費者庁は事業者が科学的根拠などを届け出て機能性を表示する制度と説明しています。国が個々の商品について医薬品のような効能を審査・承認する仕組みではありません。
白い筋を食べることを、病気の治療や予防の代わりにするのは適切ではありません。果物の一部として、バランスのよい食生活に取り入れることが基本です。
【簡単な取り方】みかんの白い筋をきれいに取る方法と残すむき方
栄養面では白い筋を残すメリットがありますが、独特の食感が苦手な人もいるでしょう。
農林水産省の広報誌「aff」では、温州みかんのむき方が複数紹介されています。白い筋を取りやすい方法も掲載されているので、好みに合わせて使い分けられます。
白い筋をきれいに取りたいならヘタ側からむく白い筋をできるだけ取り除きたい場合は、ヘタ側から皮をむく方法がおすすめです。
- みかんのヘタが付いている側を上にする。
- ヘタの周辺から外皮に指を入れる。
- 外皮を少しずつ果肉からはがしていく。
- 残った白い筋を指先で優しく取り除く。
農林水産省の紹介でも、ヘタ側からむくと白い部分を取りやすいとされています。
ただし、筋をすべて取り除こうと強くこすると、薄皮や果肉まで傷つけてしまうことがあります。無理に完璧を目指す必要はありません。
4つ割りにしてからむく方法も便利一度にきれいに皮をむきたい場合は、みかんを4つ割りにする方法もあります。
- ヘタの反対側から、みかんを2つに割る。
- さらにそれぞれを半分に分け、4つ割りにする。
- ヘタ側から外皮をはがす。
- 房を分けて、残った白い部分を必要に応じて取る。
この方法は、皮を一気にむきやすく、食べる分を小分けにしたいときにも便利です。
白い筋を残して食べたいなら普通にむけばOK白い筋を残して食べたい場合は、特別なむき方をする必要はありません。
外皮をむいたら、房に付着している白い筋をそのままにして食べれば十分です。
筋が長く垂れ下がっている場合でも、気にならなければ取り除く必要はありません。薄皮ごと食べることで、ペクチンなどを含む部分も一緒に摂取できます。
薄皮が厚い柑橘類は無理に食べなくてもよい温州みかんと違い、文旦や八朔などは房を包む薄皮が厚く、食感がしっかりしています。
農林水産省も、文旦や八朔などの袋が厚い柑橘類については、房の袋をむいて果肉だけを取り出す食べ方を紹介しています。
品種によって食べやすさが違うため、すべての柑橘類を同じ方法で食べる必要はありません。
【消化への影響】みかんの白い筋は消化に悪い?胃腸への負担と注意点
白い筋を食べることに抵抗を感じる理由の一つが、消化への不安です。
「筋が残っていると胃に負担がかかるのでは」「消化されずにそのまま出てくるのでは」と考える人もいるでしょう。
ここでは、食物繊維の消化の仕組みから整理します。
食物繊維は小腸で消化されず大腸に届く食物繊維は、一般的な糖質やたんぱく質などとは異なり、人間の消化酵素では分解されにくい成分です。
厚生労働省の「e-ヘルスネット」では、食物繊維は小腸で消化されず、大腸まで届くと説明されています。
大腸では腸内細菌によって一部が分解・利用されます。つまり、食物繊維はすべてが消化されるわけでも、すべてがそのまま排出されるわけでもありません。
白い筋に含まれる食物繊維も、こうした性質を持っています。
健康な人なら通常の量を食べても問題ない一般的な食生活を送っている健康な成人であれば、みかんの白い筋を通常の量だけ食べることを過度に心配する必要はありません。
むしろ、食物繊維を含む果物を日常的に食べることは、食生活のバランスを整えるうえで役立ちます。
ただし、一度に大量の果物を食べればよいということではありません。食べ過ぎると、おなかの張りや胃腸の不快感につながる場合もあります。
胃腸が敏感な人は食べ方を調整する次のような場合は、白い筋や薄皮の量、食べ方を調整するとよいでしょう。
- 食物繊維の多い食品を食べるとおなかが張りやすい人
- 薄皮の食感が苦手で、よく噛まずに飲み込んでしまう人
- 胃腸の病気や手術後などで食事制限がある人
- 子どもや高齢者など、食べ物を噛む力や飲み込む力に配慮が必要な人
食べる場合は、小さく分けてよく噛むことを意識してください。子どもには年齢や咀嚼・嚥下の状態に合わせて食べやすい大きさに整え、食事中は見守ることも大切です。
また、白い筋とカビは別物です。果肉に自然に付着している細い白い筋は通常の組織ですが、外皮や果肉に綿状のカビが広がっている場合、異臭や腐敗がある場合は食べないでください。
【プロの結論】みかんの白い筋は取るべき?栄養と食べやすさで判断しよう
みかんの白い筋は、食べても問題のない自然な組織です。維管束として水分や栄養分を運び、周辺の白い部分や薄皮には食物繊維、ペクチン、ヘスペリジンなどの成分が含まれています。
そのため、栄養を無駄なく摂取したい人には、白い筋や薄皮を残して食べる方法がおすすめです。
一方、口当たりを優先したい人や薄皮が苦手な人は、取り除いても構いません。白い筋を取るかどうかで、みかんを食べる価値が大きく変わるわけではありません。
目的別に見るおすすめの食べ方- 食物繊維も意識したい人:白い筋と薄皮を残して食べる。
- 口当たりを重視したい人:ヘタ側からむいて、気になる部分だけ取り除く。
- 子どもに食べさせる人:食べやすい大きさに分け、噛む力や飲み込む力に合わせる。
- 胃腸が敏感な人:体調や医師の食事指導に合わせて量を調整する。
特に意識したいのは、白い筋を食べることだけにこだわらないことです。果物の栄養は、一つの成分だけを大量に摂取すればよいというものではありません。
普段の食事全体で、野菜や果物、穀類などをバランスよく取り入れることが大切です。
みかんの白い筋に関するよくある質問(FAQ)
Q1:みかんの白い筋は毎日食べても大丈夫ですか?
A1:通常の食事の範囲であれば、毎日食べても問題ありません。白い筋はみかん本来の組織で、食物繊維やポリフェノールなどを含んでいます。ただし、みかん自体の食べ過ぎには注意し、適量を楽しみましょう。
Q2:みかんの白い筋とアルベドは同じものですか?
A2:厳密には異なります。房に沿って付着する糸状の白い筋は維管束、外皮の内側にある白いスポンジ状の部分がアルベドです。どちらも白い組織ですが、植物の構造上は別の部分です。
Q3:みかんの白い筋を食べると便秘の改善につながりますか?
A3:白い筋や薄皮に含まれる食物繊維は、腸内環境や便通を整える働きに関係します。ただし、白い筋だけで便秘が治るわけではありません。水分やほかの食品からの食物繊維も含め、バランスのよい食生活を心がけましょう。
みかんの白い筋の正体は、植物の水分や栄養分を運ぶ維管束です。アルベドやじょうのう膜とは異なる組織ですが、いずれもみかんを構成する自然な部分であり、通常は食べられます。
白い筋や薄皮には食物繊維、ペクチン、ヘスペリジンなどが含まれており、取り除かずに食べることで、果実の栄養をより無駄なく摂取できます。
2026年現在、農林水産省の資料でも白い筋の正体や食べ方が紹介されています。健康面を考えても、白い筋を必ず取り除かなければならない理由はありません。
栄養を意識するならそのまま、食感を優先するなら気になる部分だけ取り除く。自分に合った食べ方で、旬のみかんを楽しんでみてください。
主な根拠資料・参考機関
- 農林水産省「みかんの皮をむくと白い筋があるが、これは何ですか」(令和8年度更新)
- 農林水産省「特集1 みかん(5)・みかんの選び方と食べ方」
- 東京大学大学院農学生命科学研究科「カンキツの果実構造に関する解説」
- 和歌山県農林水産部「和歌山県産食材機能性ガイド」
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- 厚生労働省「e-ヘルスネット・食物繊維の必要性と健康」
- 日本ビタミン学会「ビタミンQ&A」