みかんの白い筋が維管束と呼ばれる理由は、その働きにあります。
植物は根から吸収した水分や無機養分、葉で作られた糖などの有機養分を、体内の通路を使って各部分へ運んでいます。その通路を構成するのが維管束です。
維管束を構成する導管と師管維管束は、大きく分けると木部と師部から構成されています。
- 木部(もくぶ): 導管などを含み、根から吸収した水分や無機養分を運ぶ。
- 師部(しぶ): 師管などを含み、葉で作られた糖などの有機養分を運ぶ。
この2つが連携することで、植物は成長に必要な物質を全身に届けられます。
みかんの果肉の粒まで栄養が届く仕組みみかんの場合、維管束は単に房の表面を飾る筋ではありません。
農林水産省の説明では、果実の中心にある果心から房が円状に並び、その周囲を維管束が囲んでいます。
加えて、砂じょうの粒は維管束とつながっています。
この構造によって、果実の内部にある砂じょうへ水分や養分を届けられるのです。果汁を蓄えた粒が一つひとつ成長するためには、こうした物質の供給経路が欠かせません。
人間の体に例えるなら、維管束は血管のような存在です。ただし、植物の維管束と動物の血管は構造も働きも異なります。あくまで物質を運ぶ通路という共通点からの比喩です。
【栄養を検証】みかんの白い筋にはヘスペリジンや食物繊維が豊富

白い筋を取り除くか迷う理由の一つが、栄養面でしょう。
実は、この部分には食物繊維やヘスペリジンが含まれています。
農林水産省の相談事例でも、維管束には食物繊維とヘスペリジン(ビタミンP)が豊富に含まれていると説明されています。
ヘスペリジンとは何か?ヘスペリジンは、柑橘類に含まれるポリフェノールの一種で、フラボノイドに分類される成分です。
ビタミンPという別名で紹介されることもありますが、一般的なビタミンCやビタミンB群とは異なる成分です。
みかんの白い筋や薄皮にも含まれており、果肉だけを食べる場合と比べて、これらの部分も一緒に食べることで摂取できる成分の幅が広がります。
白い筋に含まれる主な栄養成分| 成分 | 特徴 |
|---|---|
| 食物繊維 | 食品中の消化されにくい成分。白い筋や薄皮にも含まれる |
| ヘスペリジン | 柑橘類に特徴的なポリフェノール |
| ビタミンP | ヘスペリジンなどの柑橘系フラボノイドに関連して使われる呼び名 |
なお、ヘスペリジンを食べれば特定の病気が治る、血管の病気を予防できるといった効果を、白い筋だけに結び付けることはできません。食品としての栄養価と、医学的な治療効果は分けて考える必要があります。
白い筋を取ると栄養も減ってしまう?白い筋を取り除けば、その部分に含まれる食物繊維やヘスペリジンを食べる機会も減ります。
農林水産省の広報誌『aff』でも、白い筋には食物繊維やビタミンPなどの栄養素が多く含まれると紹介されています。
ただし、白い筋を残すことだけが健康的な食べ方というわけではありません。果肉にもビタミンCやカリウムなどの栄養素があります。
みかん全体をバランスよく食べることが大切です。
【食べても大丈夫?】白い筋は取るべきか、そのまま食べるべきか
答えはシンプルです。
みかんの白い筋は、通常そのまま食べて問題ありません。
白い筋は植物にもともと備わっている組織であり、毒性のある部分でも、食べるために必ず除去しなければならない部分でもありません。
農林水産省も、白い筋を含む部分の栄養について紹介しており、食べ方の選択肢として筋を残すことができます。
白い筋を残して食べるメリットそのまま食べるメリットは、主に3つあります。
1. 食物繊維を摂取できる: 白い筋に含まれる食物繊維も一緒に食べられる。
2. ヘスペリジンを摂取できる: 柑橘類に含まれるポリフェノールを無理なく取り入れられる。
3. 食べる準備が簡単: 筋を一本ずつ取り除く手間がかからない。
特に、日常的にみかんを食べる人にとっては、白い筋を取る作業を省けることも実用的なメリットです。
白い筋を取り除いてもよいケース一方で、白い筋を必ず食べなければならないわけではありません。
次のような場合には、取り除いても問題ありません。
- 白い筋の繊維っぽい食感が苦手な人
- 子どもや高齢者など、口当たりを重視したい場合
- 料理やデザートで果肉だけを使いたい場合
- 来客用に見た目を整えたい場合
栄養を考えるなら残す選択もありますが、食べやすさを優先して取り除くことも自然な判断です。
白い筋を少なくするみかんのむき方農林水産省が紹介している方法の一つが、ヘタ側から皮をむく方法です。
ヘタ側からむくと、白い筋を比較的取りやすくなります。
また、房をきれいに仕上げたい場合は、ナイフを使って薄皮に沿って果肉を取り出す方法もあります。
ただし、栄養をできるだけ無駄にしたくない場合は、普通に皮をむいて白い筋ごと食べるだけでも十分です。
【プロの結論】みかんの白い筋は名前よりも部位の違いを知ることが大切
みかんの白い筋については、「維管束なのか、アルベドなのか」という疑問が生まれやすいものです。
ここで重要なのは、見た目が白いという理由だけで、異なる組織を同じ名称で扱わないことです。
2026年現在、農林水産省の説明を踏まえて整理すると、次の3点が判断の軸になります。
1. 房に付いている網目状の筋は維管束
水分や養分を運ぶ通路であり、果肉を構成する砂じょうともつながっています。
2. アルベドは中果皮の名称
オレンジ色のフラベドの内側にある白い部分を指します。維管束と関係する白い組織ですが、厳密には別の構造です。
3. 食べるときは無理に取り除かなくてよい
食物繊維やヘスペリジンを含んでいるため、食べられるのであれば一緒に食べるのもよい選択です。
みかんの白い筋は、果実が成長するために働いてきた組織です。普段何気なく取り除いている部分にも、植物の成長を支える仕組みが詰まっています。
【みかんの白い筋の名前】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:みかんの白い筋の正式名称は何ですか?
A1:房の表面に網目状に付いている白い筋は「維管束(いかんそく)」です。植物の水分や養分を運ぶ通路として働きます。
Q2:みかんの白い筋はアルベドと呼んでも間違いではありませんか?
A2:一般向けにはアルベドと呼ばれることもあります。ただし、厳密にはアルベドは果皮の内側にある白い中果皮を指し、房の表面にある網目状の筋は維管束です。
Q3:みかんの白い筋は取らずに食べたほうがよいですか?
A3:白い筋には食物繊維やヘスペリジンが含まれるため、そのまま食べるのもおすすめです。ただし、食感が苦手なら取り除いても問題ありません。
みかんの白い筋の名前は、正確には「維管束(いかんそく)」です。
アルベドは中果皮、フラベドは外側のオレンジ色の果皮を指します。加えて、果肉を包むじょうのうと、果汁を蓄える砂じょうにも、それぞれ異なる役割があります。
白い筋は単なる食べ残しではなく、果実の成長を支える大切な組織です。食物繊維やヘスペリジンも含まれているため、食べられるなら無理に取り除く必要はありません。
次にみかんを食べるときは、白い筋を少し観察してみてください。何気ない一房にも、植物が水分と養分を届けるための精巧な仕組みが見えてきます。
主な参考資料:農林水産省「みかんの皮をむくと白い筋があるが、これは何ですか」「特集1 みかん(5)」、東京大学大学院農学生命科学研究科、公益社団法人日本植物生理学会。