MLB(メジャーリーグ)の得点記録を振り返ると、長い歴史のなかで数々の名選手が驚異的な数字を残してきました。通算得点の歴代1位は、盗塁と出塁能力で知られるリッキー・ヘンダーソンの2,295得点です。タイ・カッブ、バリー・ボンズ、ベーブ・ルース、ハンク・アーロンらも歴代ランキングの上位に名を連ねています。
2026年シーズンでは、シカゴ・カブスのピート・クロウ=アームストロングが119得点を記録し、メジャー全体のトップに立ちました。歴代の通算記録やシーズン最多記録と比較すると、得点という数字から選手の特徴や時代ごとの野球の変化も見えてきます。
【MLB通算得点ランキング】歴代トップ10とリッキー・ヘンダーソンの偉大な記録

MLBの通算得点ランキングで頂点に立つのは、リッキー・ヘンダーソンです。1979年から2003年までプレーし、25シーズンにわたって積み上げた2,295得点は、長いメジャーリーグの歴史でも突出した数字です。
MLB公式の通算打撃成績では、2位にタイ・カッブ、3位にバリー・ボンズが続きます。加えて、ベーブ・ルースとハンク・アーロンが2,174得点で同率4位に並んでいます。
以下は、MLB公式の通算得点ランキングを基準にした歴代10位までの一覧です。同率順位があるため、掲載選手は11人になります。
MLB歴代通算得点トップ10(同率4位を含む)
出典:MLB公式オールタイム打撃成績。レギュラーシーズンの通算得点。
は、MLB史上最高のリードオフマンの一人です。
通算2,295得点に加え、通算1,406盗塁という歴代最多記録を持っています。通算3,055安打、297本塁打、2,190四球という数字も残しました。
彼の強みは、単に俊足だったことではありません。四球を選んで出塁し、盗塁で得点圏へ進み、後続打者の安打や犠牲フライでホームに戻る。この一連の流れを長期間にわたって高い水準で実行できた点にあります。
1980年には158試合で111得点、100盗塁を記録しました。長期間にわたって出塁と走塁を両立させたことが、2,295得点という大記録につながっています。
2位:タイ・カッブ|通算2,246得点は、20世紀初頭の野球を代表する名選手です。
通算2,246得点に加え、通算4,191安打、打率.367という歴史的な成績を残しました。打率.367はMLB歴代でも最高水準の記録です。
本塁打が現在ほど重視されていなかった時代に、安打を重ねて出塁し、積極的な走塁で得点を生み出しました。ヘンダーソンとは異なる時代の選手ですが、出塁から得点までの能力に優れていた点は共通しています。
3位:バリー・ボンズ|通算2,227得点は、通算762本塁打というMLB歴代最多記録を持つ強打者です。
通算2,227得点、2,558四球、1,996打点という数字も残しています。特に四球の多さは、相手投手が勝負を避けるほどの打撃力を持っていたことを示しています。
ヘンダーソンのような盗塁型の選手とは違い、長打と四球によって出塁・得点を積み重ねたタイプです。得点という同じ記録でも、選手によって達成までの道筋が大きく異なることが分かります。
4位:ベーブ・ルースとハンク・アーロン|ともに2,174得点とは、通算2,174得点で並んでいます。
ルースは通算714本塁打、打率.342、出塁率.474という圧倒的な打撃成績を残しました。一方、アーロンは通算755本塁打、3,771安打という長期間にわたる安定した活躍が特徴です。
同じ得点数でも、ルースは出塁率と長打力、アーロンは安定した打撃と継続性という異なる強みを持っていました。
【MLBシーズン最多得点記録】ビリー・ハミルトンとベーブ・ルースの歴史的快挙
通算記録と並んで興味深いのが、1シーズンに何回ホームを踏んだかを競うシーズン最多得点記録です。
MLBの歴代シーズン記録で最も有名なのが、1894年のビリー・ハミルトンによる記録です。ただし、この数字には歴史的な統計資料の違いが存在します。
ビリー・ハミルトンの1894年|196得点と198得点の違いは、1894年にフィラデルフィア・フィリーズでプレーし、歴史的な得点記録を残しました。
MLB公式の2026年掲載記事では、イライアス・スポーツ・ビューローの記録に基づき、1894年の得点数を196得点と紹介しています。一方、Baseball-Referenceでは198得点と掲載されています。
この違いを詳しく調査した野球研究団体SABRの論文によると、1894年のフィリーズが行った132試合の記録を新聞記事やスコアブックから再調査した結果、196得点が妥当だと結論づけられました。
198得点との差は、特定の2試合で誰が得点したかという記録の食い違いに由来します。また、MLB.comの旧来の統計データには、抗議試合として扱われた3試合が収録されず、192得点と表示される問題もありました。
したがって、歴代記録を調べる際は、イライアスおよびSABRの調査に基づく196得点と、Baseball-Referenceの198得点を区別する必要があります。
当時のフィリーズは132試合でチーム合計1,179得点を記録し、チーム打率も.350に達していました。現代とは得点環境が大きく異なる時代だったことも、記録を読み解くうえで欠かせない背景です。
ベーブ・ルースの1921年|177得点近代野球の記録として重要なのが、ベーブ・ルースの1921年177得点です。
MLB公式は1900年以降のモダンエラにおけるシーズン最多記録を177得点としており、ルースが1921年にニューヨーク・ヤンキースで達成した数字です。
ルースは本塁打を量産するだけでなく、高い出塁率と長打力によってチームの攻撃を牽引しました。1921年の記録は、現在の野球と比較しても非常に高い水準です。
なお、1900年以降の歴代上位には、1936年のルー・ゲーリッグによる167得点、1931年の163得点、1928年のルースによる163得点などが並びます。
150得点という大台も簡単には到達できません。1950年以降では、2000年のジェフ・バグウェルによる152得点が唯一の150得点超えとしてMLB公式記事で紹介されています。
【MLB 2026年最新得点ランキング】ピート・クロウ=アームストロングが119得点で1位
2026年のMLBレギュラーシーズンでは、シカゴ・カブスのピート・クロウ=アームストロングが得点ランキングの頂点に立ちました。
2026年のレギュラーシーズン最終成績は119得点。162試合に出場し、打率.280、出塁率.372、45本塁打、107打点、41盗塁を記録しています。
119得点
シカゴ・カブス/162試合出場
注目したいのは、クロウ=アームストロングが俊足だけの選手ではないことです。45本塁打という長打力に加え、41盗塁を記録しており、長打と走塁の両方から得点機会を作り出しました。
2026年MLB得点ランキング上位10人2026年の得点ランキングは、ピート・クロウ=アームストロングが119得点でトップ。2位のランディ・アロザレーナとは6得点差でした。
- 1位:ピート・クロウ=アームストロング(カブス)119得点
- 2位:ランディ・アロザレーナ(マリナーズ)113得点
- 3位:ミゲル・バルガス(ホワイトソックス)106得点
- 3位:ジェームズ・ウッド(ナショナルズ)106得点
- 5位:ヨルダン・アルバレス(アストロズ)105得点
- 5位:ベン・ライス(ヤンキース)105得点
- 7位:ザック・ネト(エンゼルス)102得点
- 7位:ブライス・トゥラング(ブルワーズ)102得点
- 7位:ブライアン・レイノルズ(パイレーツ)102得点
- 10位:トレイ・ターナー(フィリーズ)101得点
直近4シーズンを比較すると、得点王の数字はシーズンごとに変化しています。
- 2023年:ロナルド・アクーニャJr.が149得点
- 2024年:大谷翔平が134得点
- 2025年:大谷翔平が146得点
- 2026年:ピート・クロウ=アームストロングが119得点
2026年の119得点は、直近3シーズンのリーグ最多得点と比較すると低い数字です。それでも162試合を通じて得点を積み重ね、メジャー全体の1位になった点は高く評価できます。
2025年の大谷翔平は146得点を記録しましたが、150得点には届きませんでした。2026年も119得点にとどまっており、現代MLBで150得点に到達することがいかに難しいかが分かります。
【MLBの得点と打点の違い】RとRBIを正しく理解する
MLBの記録を調べる際に混同しやすいのが、得点(R)と打点(RBI)です。どちらもチームの得点に関係しますが、記録される対象と意味は異なります。
得点(R)はホームを踏んだ選手に記録される得点(Runs Scored)は、選手自身がホームベースを踏んでチームに1点が入ったときに記録される数字です。
例えば、打者が二塁打で出塁し、後続打者のヒットでホームに戻れば、その選手に1得点が加算されます。
自分がヒットで出塁したか、四球で出塁したか、エラーで出塁したかは関係ありません。最終的にホームを踏めば得点が記録されます。
打点(RBI)は得点につながる打撃をした選手に記録される打点(Runs Batted In)は、打者の打席結果によって走者がホームに戻った場合などに記録されます。
例えば、満塁の場面で適時打を打ち、三塁走者がホームに戻れば、打者に1打点が記録されます。ホームランの場合は、自分自身の得点に加えて、走者がいればその人数分の打点も加わります。
ただし、失策や併殺打によって得点した場合など、打点が認められないケースもあります。
得点と打点の比較
R
得点(Runs)
ホームを踏んだ走者に記録される。
出塁能力・走塁・後続打者との連携が関係する。RBI
打点(Runs Batted In)
得点を生み出した打者に記録される。
安打・犠牲フライ・押し出し四球などが関係する。
つまり、得点ランキング上位の選手が必ずしも打点ランキングでも上位になるわけではありません。得点は自分がホームに戻る能力、打点は他の走者をホームに返す能力を表す指標です。
MLB公式の統計用語集でも、得点と打点は別々の指標として定義されています。
【MLB1試合最多得点記録】ギー・ヘッカーが残した7得点の歴史
シーズンや通算記録だけでなく、1試合で何得点を記録したかにも歴史的な記録があります。
プロ野球の歴史を含むMLB記録として知られるのが、1886年8月15日にルイビル・カーネルズのギー・ヘッカーが達成した1試合7得点です。
は、1886年8月15日のダブルヘッダー第2試合で7得点を記録しました。
この試合では投手として登板しながら、3本塁打と3本の単打を放つ活躍も見せています。投手としての勝利と打者としての歴史的な記録を同じ試合で達成した、非常に珍しいケースです。
ただし、リーグ別に見ると記録の整理が必要です。アメリカン・リーグとナショナル・リーグの9イニング制の試合では、1試合6得点が記録されています。2025年7月25日にはニック・カーツも6得点を記録しました。
ヘッカーの7得点は、当時メジャーリーグの一つだったアメリカン・アソシエーションの記録を含む歴史的な数字です。
MLB得点記録の歴代推移から分かることMLBの得点記録は、選手個人の能力だけでなく、野球そのものの変化にも影響を受けてきました。
19世紀後半は、現在と比較してチームの打率や1試合あたりの得点が非常に高いシーズンがありました。ビリー・ハミルトンが1894年に驚異的な得点を残した背景にも、当時の攻撃的な野球環境があります。
1920年代から1930年代には、ベーブ・ルースやルー・ゲーリッグが高い得点を記録しました。長打力を重視した攻撃が広がり、強力な打線の中心にいる選手が得点を重ねる時代でもありました。
一方、現代のMLBでは、投手の球速や変化球の質、守備戦術などが進化しています。打者にとって出塁を続けることは容易ではなく、150得点という数字は非常に高い壁になっています。
2023年のアクーニャJr.が149得点、2025年の大谷翔平が146得点、2026年のクロウ=アームストロングが119得点という推移も、時代ごとの得点環境を比較する材料になります。
【プロの結論】MLBの得点記録は出塁能力とチーム環境を合わせて評価する
MLBの得点記録を分析するうえで最も重要なのは、得点数だけを見て選手の実力を判断しないことです。
通算2,295得点を記録したリッキー・ヘンダーソンは、出塁能力と盗塁能力を兼ね備えていました。バリー・ボンズは長打力と四球によって出塁機会を増やし、ベーブ・ルースは圧倒的な長打力と出塁率で得点を重ねました。
2026年のクロウ=アームストロングも、119得点という結果だけではなく、45本塁打、41盗塁、出塁率.372という複数の数字を組み合わせることで、プレーの特徴が見えてきます。
得点ランキングを見るときの3つの判断基準1. 出塁率(OBP)を確認する
得点を増やすためには、まず塁に出る必要があります。打率が高くても四球が少なければ、出塁率では別の選手に劣る場合があります。得点ランキング上位の選手を評価する際は、出塁率も確認するのが効果的です。
2. 打順とチームの攻撃力を考慮する
リードオフマンは打席数が多く、後続打者の前に出塁する機会も多くなります。一方、強力な打線の中心にいる選手は、前の打者が出塁している状況で打席を迎える機会が増えます。
そのため、同じ119得点でも、どのような打順やチーム環境で記録したのかを確認することが大切です。
3. 時代ごとの得点環境を比較する
1894年のビリー・ハミルトンと2026年のクロウ=アームストロングを、得点数だけで単純比較することはできません。試合数、チーム打率、リーグ全体の得点環境などが大きく異なるためです。
歴代選手を比較する場合は、出場試合数や出塁率、リーグ環境なども合わせて見ると、記録の価値をより正確に理解できます。
通算記録では継続性、シーズン記録では突出した活躍、1試合記録では瞬間的な爆発力が表れます。得点という一つの指標でも、比較する期間によって評価の意味は変わります。
【MLB得点記録】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:MLBで通算最多得点を記録した選手は誰ですか?
A1:リッキー・ヘンダーソンです。通算2,295得点を記録しており、MLB公式の歴代通算得点ランキングで1位です。2位はタイ・カッブの2,246得点、3位はバリー・ボンズの2,227得点です。
Q2:MLBのシーズン最多得点記録は何得点ですか?
A2:ビリー・ハミルトンが1894年に記録した得点が歴代最多として知られています。イライアスおよびSABRの調査では196得点、Baseball-Referenceでは198得点とされており、歴史的な集計上の違いがあります。1900年以降のモダンエラでは、ベーブ・ルースの1921年177得点が最多です。
Q3:2026年のMLB得点ランキング1位は誰ですか?
A3:シカゴ・カブスのピート・クロウ=アームストロングです。2026年のレギュラーシーズンに119得点を記録しました。162試合出場、45本塁打、41盗塁という成績も残しています。
Q4:MLBの得点と打点は何が違いますか?
A4:得点(R)はホームベースを踏んだ選手に記録され、打点(RBI)は打者の打席によって得点が生まれた場合に、その打者に記録されます。自分がホームに戻る能力と、他の走者をホームに返す能力の違いです。
MLBの得点記録を振り返ると、通算最多はリッキー・ヘンダーソンの2,295得点です。タイ・カッブ、バリー・ボンズ、ベーブ・ルース、ハンク・アーロンらも歴代上位に名を連ねています。
シーズン最多記録では、1894年のビリー・ハミルトンが歴史的な数字を残しました。集計方法による196得点と198得点の違いは、古い野球記録を調べる際の興味深い論点です。近代野球では、ベーブ・ルースの1921年177得点が最高記録として残っています。
そして2026年は、ピート・クロウ=アームストロングが119得点でメジャー全体のトップに立ちました。45本塁打と41盗塁を組み合わせたプレーは、現代野球における多面的な得点能力を象徴しています。
今後、歴代記録を比較するときは、通算得点だけでなく、出塁率、打順、チーム環境、時代背景も確認してみてください。数字の裏側にある選手の個性や野球の進化まで理解できるようになります。