ホーム 芸能ニュース・ゴシップ なぜ夢を見るのか?2026年最新研究で解く脳の仕組みと記憶・感情の謎

なぜ夢を見るのか?2026年最新研究で解く脳の仕組みと記憶・感情の謎

黒田 宗一郎 黒田 宗一郎 • 更新: • 公開: • 読了約 26 分
目次

眠っているはずなのに、知らない場所を歩いていたり、昔の友人と話していたり、現実では起こりそうにない出来事を体験したりする。目が覚めた瞬間には鮮明だった夢が、数分後にはほとんど思い出せなくなることも珍しくない。そもそも、なぜ人間は眠っている間に夢を見るのだろうか。

2026年11月現在、睡眠研究によって分かってきたのは、夢が単なるレム睡眠中の脳の誤作動ではないということだ。ノンレム睡眠でも夢に相当する体験は生じ、脳は睡眠中も記憶の再活性化や情報の統合、感情に関係する処理を続けている。一方、夢を見ること自体にどのような生物学的機能があるのかは、まだ決着していない。2026年には、記憶を事前に呼び起こすことで夢の感情的な内容を変化させられることを示した実験も発表された。

夢の正体を理解するには、睡眠中の脳活動、レム睡眠とノンレム睡眠の違い、記憶の整理、感情調整という複数の視点が欠かせない。最新の研究成果を踏まえ、分かっている事実と科学的に検証されていない夢の解釈を整理する。

【なぜ夢を見るのか】脳が眠っている間も活動を続けているから

なぜ夢を見るのか

夢を見る理由を理解するうえで、最初に押さえておきたいのは、睡眠は脳の活動が停止する時間ではないという事実だ。

眠っている間、外部から入ってくる視覚や聴覚などの情報は覚醒時と比べて大きく制限される。しかし、脳内では神経細胞の活動が続き、記憶に関係する領域や感情を処理する領域などが、それぞれ異なる活動パターンを示す。

その結果、外の世界を直接認識していないにもかかわらず、脳内で映像や音、会話、身体感覚などを伴う主観的な体験が生じる。それが夢として認識される。

夢は脳が作り出す内的な体験

起きているとき、人間の脳は目や耳などから入ってくる情報をもとに周囲の状況を理解している。一方、睡眠中は外部からの感覚入力が弱まり、脳内に蓄積された情報や自発的な神経活動が体験の形成に関わる。

夢の中で、すでに亡くなった人に会ったり、行ったことのない場所を現実のように感じたりするのは、このような内的情報の再構成と関係していると考えられる。

夢の内容には、直近の出来事だけでなく、数年前の記憶、日常的な心配事、過去の人間関係などが混在することがある。実際の夢は、記憶をそのまま再生する映像というより、異なる経験の断片が組み合わさった体験に近い。

夢を見ることと夢に機能があることは別問題

ここで区別したいのが、「なぜ夢が発生するのか」と「夢を見ることには何の役割があるのか」という2つの問いだ。

前者については、睡眠中の脳活動や神経伝達物質の変化などから、かなり具体的な説明が進んでいる。しかし、後者については、記憶の整理、感情の調整、危険への備え、創造的な発想など複数の仮説が並立している。

つまり、夢が脳活動から生まれる仕組みと、夢を見ることが生存や学習に役立っているかどうかは、同じ問題ではない。夢が生じる生理学的な仕組みが明らかになっても、その目的まで自動的に説明できるわけではないのだ。

【レム睡眠とノンレム睡眠】夢を見る仕組みと脳活動の違い

夢を見る仕組みを理解するためには、睡眠周期を知る必要がある。

人間の睡眠は、大きく分けてレム睡眠とノンレム睡眠の2種類から構成される。ノンレム睡眠には浅い段階から深い段階までがあり、両者は一晩の間に何度も入れ替わる。

米国国立心肺血液研究所(NHLBI)の睡眠解説によると、1回の睡眠周期はおおむね80〜100分で、一般的には一晩に4〜6回繰り返される。睡眠の前半には深いノンレム睡眠が多く、後半になるにつれてレム睡眠の時間が長くなる傾向がある。

レム睡眠:脳が活発に活動し、鮮明な夢が生まれやすい

レム睡眠は、急速眼球運動(Rapid Eye Movement)を伴う睡眠段階だ。閉じたまぶたの下で眼球が素早く動き、脳波は覚醒時に近い活動パターンを示す。

この段階では、脳の活動が比較的活発で、感情や記憶に関係する領域も働いている。一方、身体の骨格筋は一時的に活動が抑制され、夢の内容に合わせて実際に大きく動いてしまうことを防いでいる。

レム睡眠中の夢は、場面が次々に変わる、強い感情を伴う、現実ではあり得ない出来事が自然に進行するといった特徴を持つことが多い。

ノンレム睡眠:深い眠りでも夢に似た体験は起こる

ノンレム睡眠は、一般に脳の活動が段階的に落ち着いていく睡眠だ。浅い睡眠から深い徐波睡眠までを含み、身体の回復や記憶の固定に関係する重要な時間でもある。

以前は、夢を見るのはレム睡眠中だけだと考えられていた。しかし、睡眠中に被験者を起こして直前の意識体験を報告してもらう研究が進み、ノンレム睡眠でも夢が生じることが分かってきた。

一般に、ノンレム睡眠の夢は短く、現実的で、出来事の説明や断片的な思考に近い場合がある。ただし、睡眠の段階や起こされるタイミングによっては、鮮明で複雑な夢も報告される。

睡眠段階と夢の関係を比較
比較項目 ノンレム睡眠 レム睡眠
脳の活動 段階に応じて活動が低下。深い睡眠では徐波が目立つ 覚醒時に近い脳波活動が見られる
身体の状態 心拍や呼吸が比較的ゆっくりになる 眼球運動が起こり、骨格筋の活動が強く抑制される
夢の特徴 短い思考や現実的な体験が比較的多い 鮮明で物語性があり、感情を伴う夢が多い
夢の報告率 レム睡眠より低いが、夢は十分に発生する 起こされた際に夢が報告される割合が高い
記憶との関係 徐波・睡眠紡錘波などが海馬と大脳皮質の情報交換に関係する 記憶の統合や感情に関係する処理への関与が研究されている

2025年に発表された夢の報告と脳活動に関する研究レビューでは、睡眠中に起こした際に夢の体験が報告される割合は、レム睡眠で約85%、ノンレム睡眠で約40〜60%と整理されている。ただし、これは研究条件や起床方法によって変動する数値であり、すべての人に当てはまる固定値ではない。

この比較から分かるのは、夢をレム睡眠だけの現象として説明することには限界があるという点だ。睡眠中の意識体験は、複数の睡眠段階にまたがって発生している。

【記憶の整理と感情調整】夢は脳の情報処理と関係しているのか

夢を見る理由を説明する有力な研究領域の一つが、記憶の整理と固定だ。

人間は日中、膨大な情報を受け取っている。会話、仕事、勉強、移動中に見た風景、他人の表情など、すべてを同じ重要度で保存することはできない。

睡眠中の脳は、こうした情報を再活性化し、既存の記憶と関連付けたり、長期的に保持する情報を安定させたりする。その過程が夢の内容と関係している可能性がある。

ノンレム睡眠では記憶の再活性化と情報の移動が進む

記憶の固定には、海馬と大脳皮質の連携が重要になる。

新しく経験した出来事に関する記憶は、最初から完全に長期保存されるわけではない。海馬を含む記憶ネットワークが関わりながら、時間をかけて既存の知識体系に組み込まれていく。

2025年10月に「BMB Reports」に掲載された記憶固定に関するレビューでは、ノンレム睡眠中の徐波、睡眠紡錘波、海馬の鋭波リップルという3つの神経活動の連携が、海馬と大脳皮質の間で記憶情報をやり取りする仕組みに関与すると説明されている。

この仕組みは、睡眠中に記憶が単純に保存されるだけではなく、情報の再編成や関連付けも行われることを示している。

レム睡眠では記憶の統合や感情との関連が研究されている

レム睡眠では、脳内の神経活動や神経伝達物質の状態がノンレム睡眠とは異なる。

同じ2025年のレビューでは、レム睡眠中のシータ波活動が、記憶の統合、抽象化、感情的な情報の付加などに関係する可能性が整理されている。

例えば、仕事で経験した出来事と、以前に似た経験をしたときの記憶が、睡眠中に関連付けられる可能性がある。夢の中で、まったく異なる時期に出会った人物や場所が一緒に登場する現象も、こうした記憶の断片的な結合と関連付けて研究されている。

ただし、記憶の整理が睡眠中に進むことと、夢を見ること自体がその処理を引き起こしていることは別だ。記憶固定は睡眠中の脳活動として研究されているが、夢という主観的な体験が欠かせないなのかは明らかになっていない。

夢と感情調整の関係は2026年も研究が続く

夢の中で強い恐怖や悲しみを感じることがあるのは、感情に関係する脳の活動が睡眠中も続いているためと考えられる。

夢と感情調整の仮説では、日中に経験したストレスや恐怖を睡眠中に再処理することで、翌日の感情的な反応を調整できる可能性が考えられている。

しかし、2026年の研究結果は単純ではない。

7月22日に学術誌「SLEEP」で公表された研究では、87人が7日間にわたって夢の記録を付け、その後、ネガティブな画像を見た際の脳活動などを測定した。

その結果、夢の中で恐怖を感じる傾向が強かった人は、ネガティブな画像に対する脳の生理的な反応も強い傾向を示した。一方、主観的な感情反応や、起きているときに感情を調整する能力との有意な関連は確認されなかった。

つまり、夢の感情と起きているときの脳の反応には関係が見られたものの、夢を見ることで恐怖やストレスが軽減されるとまでは証明されていない。

【2026年最新研究】夢を見る機能をめぐる3つの有力仮説

夢の発生メカニズムや機能を説明するため、神経科学や認知科学では複数の理論が提唱されてきた。2026年現在も、一つの理論ですべての夢を説明できる段階には至っていない。

1.活性化合成仮説:脳が神経活動から夢の物語を作る

活性化合成仮説は、1977年にハーバード大学のJ・アラン・ホブソンとロバート・マッカーリーが提唱した理論だ。

この理論では、レム睡眠中に脳幹から生じる神経活動が大脳を刺激し、脳がその活動に意味のあるまとまりを与えることで夢が形成されると考える。

例えば、脳内で異なる情報が活性化されたとき、それらを統合する過程で、現実には存在しない場面や出来事が一つの物語として構成されるという考え方だ。

この仮説は、夢の不思議な展開や現実離れした内容を説明するうえで重要な基礎となった。

ただし、現在では夢がノンレム睡眠でも生じることが確認されているため、レム睡眠中の脳幹活動だけで夢全体を説明することは難しい。

2.予測処理理論:脳が内側の世界モデルを動かしている

2026年に注目したいのが、予測処理理論(Predictive Processing)やアクティブ・インファレンスの枠組みから夢を理解する研究だ。

予測処理の考え方では、脳は外部から入ってくる情報を受け取るだけでなく、過去の経験をもとに世界の状態を予測し、内部モデルを更新している。

睡眠中は外部からの感覚情報が大幅に制限されるため、脳内の情報や既存の記憶を使った世界の再構成が起こる。その結果、現実の環境とは異なる夢の世界が生まれる可能性がある。

九州大学の本村裕之氏によるレビュー「Dreams in Relation to Memory, Emotion, and Creativity: An Integration from the Perspective of Predictive Processing」は、2025年12月31日に学術誌に掲載され、2026年1月29日にJ-STAGEで公開された。

同レビューでは、夢を外部入力がほとんど遮断された状態での内部モデルの再構成や、未来に向けたシミュレーションとして捉える統合的な考え方が提示されている。

この視点は、夢の中で過去の記憶が組み替えられたり、実際には経験していない状況を体験したりする現象を説明する手掛かりになる。

もっとも、予測処理理論は夢のすべての特徴を実験的に説明し終えた完成理論ではなく、今後の検証が必要な研究枠組みだ。

3.感情調整仮説:夢が感情的な経験の再処理に関係する

感情調整仮説では、夢が日中に経験した恐怖、不安、悲しみなどを再処理する過程に関係すると考える。

夢の中では、現実の出来事に似た場面が登場しても、人物や場所、結末が変化することがある。こうした再構成が感情に対する反応を変える可能性が研究されている。

ただし、2026年9月4日に「SLEEP Advances」で発表された研究は、この仮説に対して重要な検証結果を示した。

ファーマン大学のHenderson S. Holder氏とErin J. Wamsley氏による研究では、42人の参加者に、過去の感情的な記憶を思い出す課題を就寝前に3日間実施してもらった。その後、睡眠中の夢を記録し、感情的な内容との関係を調べた。

分析対象となった夢の報告は315件。睡眠前に呼び起こした記憶の感情的な性質が、その後の夢の感情に影響していた。

一方、夢にその記憶が登場したかどうかと、翌日の記憶に対する感情的な反応の変化には関連が認められなかった。また、ネガティブな記憶がポジティブな記憶より優先的に夢に取り込まれるという仮説も支持されなかった。

この研究が示したのは、夢の内容を実験的に変化させられる可能性だ。夢が感情を治療する、あるいは恐怖を消す働きを持つという証明ではない。

2026年の研究を総合すると、夢は記憶や感情の処理と密接に関係している可能性があるものの、その機能は単純なストレス解消では説明できないことが分かる。

【夢をすぐ忘れる理由】起きた瞬間に記憶が消えてしまうのはなぜ?

夢を見た直後は、登場人物の顔や会話、場所まで覚えているのに、朝食を食べるころには何も思い出せない。この現象には、睡眠中の脳活動と記憶形成の違いが関係している。

夢の体験と長期記憶への保存は同じではない

夢を体験しているときに意識が存在することと、その内容が起床後も記憶として残ることは別の現象だ。

夢を思い出すには、睡眠中の体験を覚醒後に記憶として保持し、言葉や映像として再構成する必要がある。ところが、睡眠から覚醒へ移行する過程では、脳の活動状態や神経伝達物質の環境が大きく変化する。

そのため、夢を体験したとしても、覚醒後に安定して思い出せる記憶として残らない場合がある。

2019年の研究で注目されたMCH神経細胞

夢を忘れる仕組みを考えるうえで興味深いのが、2019年9月20日に米国国立衛生研究所(NIH)が紹介した研究だ。

名古屋大学の山中章弘氏らを含む日米の研究チームは、マウスを対象に、レム睡眠中に活動するMCH(メラニン凝集ホルモン)神経細胞を調べた。

この研究では、MCH神経細胞の活動を操作すると、マウスの記憶保持能力が変化することが確認された。特に、レム睡眠中にこれらの細胞を活性化すると、特定の記憶課題の成績が低下する結果が得られた。

研究チームは、MCH神経細胞が海馬に抑制性の信号を送ることから、睡眠中に重要性の低い情報を忘れる仕組みに関係している可能性を示した。

ただし、これはマウスを使った基礎研究だ。人間が夢を忘れる仕組みをそのまま証明したものではない。夢の記憶が残りにくい理由の一つを考える手掛かりとして位置付ける必要がある。

起きるタイミングによって夢の記憶は変わる

2025年4月に発表された69件の睡眠中覚醒研究を対象とするレビューでは、夢の記憶が起床方法や個人差によって変化することが示されている。

例えば、目覚まし時計で起こされた場合と、研究者から名前を呼ばれて起こされた場合では、夢の報告率に違いが見られた。また、睡眠中に体験を報告できても、朝になってからは思い出せなくなるケースもある。

夢を覚えていないからといって、夢を見ていなかったとは限らない。夢の記憶は、体験した内容だけでなく、起床までの時間や覚醒時の注意の向け方にも左右される。

夢を記録したい場合は、起床直後にスマートフォンやノートへ覚えている断片を書き留める方法が現実的だ。無理にすべてを思い出そうとせず、印象に残った人物、場所、感情だけでも記録するとよい。

【夢の内容に意味はあるのか】悪夢を見る原因と夢の頻度を検証

夢について多くの人が気になるのが、夢の内容に特別な意味があるのかという問題だ。

例えば、歯が抜ける夢、誰かに追いかけられる夢、空を飛ぶ夢、亡くなった人に会う夢などには、昔からさまざまな解釈が与えられてきた。

しかし、科学的な視点では、夢の内容に万人共通の意味を割り当てることはできない。

夢占いの内容と科学的な夢研究は違う

夢の内容が、本人の生活や心理状態と関係している可能性はある。

仕事で大きなプレッシャーを感じている人が、仕事に関係する夢を見ることは不自然ではない。人間関係で悩んでいる場合、その人物や似た状況が夢に登場することも考えられる。

こうした考え方は、覚醒時の経験や関心が夢に反映されるという連続性仮説と関係している。

一方、「歯が抜ける夢は必ず不幸の前兆」「特定の人物が夢に出たら相手も自分を考えている」といった解釈には、信頼できる科学的根拠がない。

夢を振り返る際には、登場した物の意味を機械的に調べるよりも、その夢を見たときにどのような感情を抱いたのか、最近どんな経験をしたのかを考える方が合理的だ。

悪夢を見る原因はストレスだけではない

悪夢は、恐怖、不安、悲しみなどの強い不快感を伴い、目覚めた後にも内容を比較的はっきり覚えている夢を指す。

悪夢を見る原因として考えられているのは、主に次のような要因だ。

  • 仕事や家庭、人間関係などの日常的なストレス
  • 強い不安や精神的な緊張
  • 事故や災害などのトラウマ体験
  • 睡眠不足や不規則な睡眠スケジュール
  • 一部の抗うつ薬や血圧の薬などの影響
  • 睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害
  • 発熱や体調不良などの身体的要因

英国の国民保健サービス(NHS)も、疲労、病気、ストレス、不安、特定の薬、睡眠に関係する疾患などを悪夢や睡眠時の異常体験に関係する要因として挙げている。

また、悪夢と夜驚症は同じものではない。悪夢は目覚めた後に内容を覚えていることが多い一方、夜驚症は主に睡眠の前半に発生し、叫んだり暴れたりすることがあっても、本人が翌朝その出来事を覚えていない場合が多い。

悪夢が頻繁に続き、睡眠不足や日中の生活への支障につながっている場合は、睡眠外来や医療機関に相談することが望ましい。

夢を見る頻度はどのくらい?2026年の国際調査

夢を見る頻度については、夢を体験する頻度と、夢を思い出せる頻度を分けて考える必要がある。

2026年2月に「Journal of Sleep Research」に掲載された16か国の国際研究では、18〜99歳の15,854人を対象に、夢を週1回以上思い出す人や、週1回以上悪夢を見る人の割合を調査した。

調査結果は以下の通りだ。

  • 夢を週1回以上思い出す人:2021年は54.0%、2019年は51.1%
  • 悪夢を週1回以上見る人:2021年は11.0%、2019年は6.9%

ただし、この研究は2021年に16か国で実施された調査データを分析し、2019年については過去の状態を回答してもらったものだ。2026年現在の各国の実際の発生率を直接測定した調査ではない点には注意したい。

それでも、週に1回以上夢を思い出す人が半数を超えていることは、夢の想起が特別な現象ではないことを示している。

夢を毎朝覚えている人と、ほとんど覚えていない人がいるのは、睡眠段階、起床方法、個人の記憶や注意の向け方などが複合的に関係しているためだ。

【プロの結論】夢を見る理由について2026年時点で分かっていること・未解明のこと

ここまでの研究を整理すると、夢に関する科学的な理解は、確かな知見が積み上がっている領域と、今後の検証を待つ領域に分けられる。

現在、科学的に分かっていること
  • 夢はレム睡眠だけでなく、ノンレム睡眠でも発生する。
  • 睡眠中も脳は活動し、記憶に関係する神経ネットワークが働いている。
  • 睡眠中には記憶の再活性化、固定、統合などの処理が進む。
  • 夢の内容には、日中の経験や過去の記憶が反映されることがある。
  • 夢の想起率は、睡眠段階や起床方法、個人差によって変わる。
  • 睡眠前に特定の記憶を呼び起こすことで、その後の夢の感情的な内容に影響を与えられることが2026年の実験で示された。
まだ解明されていないこと
  • 人間が夢を見ること自体に、生物学的に必須の目的があるのか。
  • 夢が記憶の整理に直接必要なのか、それとも記憶処理に伴って生じる現象なのか。
  • 夢を見ることで、翌日の感情調整がどの程度改善するのか。
  • 夢の内容がどのように選択され、物語として構成されるのか。
  • 夢の内容を脳活動からどの程度正確に読み取れるようになるのか。

特に重要なのは、夢の研究では本人の報告に頼る部分が大きいことだ。夢を見ている最中の体験を直接観察することは難しく、起床後の記憶や言葉による説明を通じて研究する必要がある。

2024年に「Trends in Cognitive Sciences」に掲載された夢研究のレビューでは、夢の神経活動をより直接的に調べる方法、夢の内容を実験的に操作する方法、大規模な夢の報告データを計算科学で分析する方法が、新しい研究の方向性として整理されている。

2026年の記憶再活性化実験は、その方向性を具体的に示す成果の一つだ。夢をただ記録するだけでなく、どのような条件で内容が変化するのかを調べることで、夢と脳活動の関係をより細かく検証できるようになっている。

【プロの結論】

夢は、脳が眠っている間に停止していないことを示す興味深い現象だ。記憶や感情に関係する脳活動と結び付いていることは確かだが、夢そのものが記憶を整理したり、心の傷を癒やしたりするという説明は、まだ科学的な検証の途中にある。

夢を見たときに大切なのは、その内容を未来の予言や絶対的な心理診断として受け止めないことだ。気になる夢が繰り返されるなら、最近の生活やストレス、睡眠の質を振り返る手掛かりとして活用するのが現実的だろう。

【なぜ夢を見るのか】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:人間は毎日必ず夢を見ているのでしょうか?
A1:夢に相当する意識体験は、多くの人が睡眠中に経験していると考えられている。ただし、毎晩夢を思い出せるわけではない。レム睡眠だけでなくノンレム睡眠でも夢は生じるため、朝に何も覚えていなくても夢を見ていなかったとは限らない。

Q2:夢を見るのはレム睡眠中だけですか?
A2:いいえ。レム睡眠では鮮明で物語性のある夢が報告されやすいが、ノンレム睡眠でも夢に相当する体験が起こる。睡眠中の意識体験は、複数の睡眠段階で発生している。

Q3:夢には心理状態や未来を示す意味がありますか?
A3:夢の内容が本人の経験や関心、感情と関係している可能性はある。しかし、歯が抜ける夢や追いかけられる夢などに万人共通の意味があるという科学的証拠はない。また、夢が未来の出来事を予知するという信頼できる科学的根拠も確認されていない。

Q4:怖い夢や悪夢を何度も見るのはなぜですか?
A4:ストレス、不安、トラウマ、睡眠不足、薬の影響、睡眠障害などが関係する場合がある。頻繁な悪夢によって眠れなくなったり、日中の生活に支障が出たりする場合は、医療機関への相談を検討したい。

Q5:夢を覚えておく方法はありますか?
A5:目覚めた直後に、夢の内容や登場人物、感じた感情を記録する方法がある。起床後に時間が経つほど思い出しにくくなることがあるため、短いメモでも早めに残すとよい。ただし、夢を覚えるために睡眠を何度も中断することはおすすめできない。

なぜ夢を見るのか。その答えは、睡眠中も脳が活動を続け、記憶や感情に関係する情報を処理していることと深く関係している。

レム睡眠では脳が活発に活動し、鮮明で感情的な夢が生まれやすい。一方、ノンレム睡眠でも夢は発生し、記憶の固定や情報の再編成に関係する神経活動が進んでいる。

2026年の研究では、睡眠前に呼び起こした記憶が夢の感情に影響することが実験で確認された。一方、夢を見ること自体が感情を調整するという仮説については、まだ明確な因果関係が証明されていない。

夢を忘れることも、夢の意味を考えることも、脳の記憶や意識の仕組みを理解するうえで重要な研究テーマだ。

今後は、脳波測定、リアルタイムの夢の報告、AIによる夢の内容分析などによって、睡眠中の意識をより詳しく調べられるようになると期待される。

夢は単なる不思議な映像ではない。脳が眠っている間に何をしているのか、そして人間の意識がどのように生まれるのかを考えるための重要な手掛かりなのである。