2026年現在も、ラグビーワールドカップ2023は男子ラグビー史に残る名勝負が続いた大会として語り継がれている。フランスで開催された第10回大会は、2023年9月8日から10月28日まで行われ、最後にニュージーランドを12―11で破った南アフリカが、史上初となる通算4度目の優勝を達成した。
注目されたのは、準々決勝から決勝までの勝ち上がりだ。アイルランド対ニュージーランド、フランス対南アフリカなど、優勝候補同士が激突した準々決勝では4試合中3試合が5点差以内の接戦となった。さらに南アフリカは、フランス、イングランド、ニュージーランドという強豪を3試合連続で1点差で退けて世界王者に輝いている。
この記事では、ラグビーワールドカップ2023の決勝トーナメント表をもとに、準々決勝8チームの組み合わせ、全試合の日程と結果、準決勝、3位決定戦、決勝までの勝ち上がりを整理する。プールA・B・C・Dの最終順位や歴代優勝国も含め、2023年大会の全体像を振り返る。
【決勝トーナメント表】2023年大会の組み合わせと勝ち上がりを一覧で確認

ラグビーワールドカップ2023の決勝トーナメントには、全4プールの上位2チーム、合計8チームが進出した。
準々決勝の組み合わせは、各プールの1位と別プールの2位を対戦させる方式で決定された。
実際の組み合わせは次のとおり。
- プールC・1位ウェールズ vs プールD・2位アルゼンチン
- プールB・1位アイルランド vs プールA・2位ニュージーランド
- プールD・1位イングランド vs プールC・2位フィジー
- プールA・1位フランス vs プールB・2位南アフリカ
ここで見逃せないのは、プールBで2位だった南アフリカが、準々決勝でプールA首位の開催国フランスと対戦した点だ。
また、プールAを全勝で突破したフランスと、プールBを全勝で終えたアイルランドは、いずれも準々決勝で敗退した。プール戦の順位が、そのまま決勝トーナメントでの強さを保証するわけではなかった。
決勝トーナメントの全体像準々決勝から決勝までの勝ち上がりを整理すると、以下のようになる。
準決勝第1試合の山
- アルゼンチン 29―17 ウェールズ
- ニュージーランド 28―24 アイルランド
- 準決勝:ニュージーランド 44―6 アルゼンチン
準決勝第2試合の山
- イングランド 30―24 フィジー
- 南アフリカ 29―28 フランス
- 準決勝:南アフリカ 16―15 イングランド
最終順位を決める試合
- 3位決定戦:イングランド 26―23 アルゼンチン
- 決勝:南アフリカ 12―11 ニュージーランド
この結果、ニュージーランドと南アフリカが決勝に進出。南アフリカが1点差で勝利し、連覇を達成した。
【プールA・B・C・D順位表】決勝トーナメント進出8チームはどう決まった?
決勝トーナメントの組み合わせを理解するには、まずプール戦の最終順位を確認する必要がある。
2023年大会には20チームが参加し、5チームずつ4つのプールに分かれて総当たり戦を実施した。各プールの上位2チームが準々決勝に進出する仕組みだった。
プールA:フランスとニュージーランドが突破1位:フランス(18ポイント)
2位:ニュージーランド(15ポイント)
3位:イタリア(10ポイント)
4位:ウルグアイ(5ポイント)
5位:ナミビア(0ポイント)
開催国フランスは4戦全勝で首位通過。ニュージーランドは初戦でフランスに敗れたものの、その後3連勝して2位を確保した。
プールB:アイルランドと南アフリカが突破1位:アイルランド(19ポイント)
2位:南アフリカ(15ポイント)
3位:スコットランド(10ポイント)
4位:トンガ(5ポイント)
5位:ルーマニア(0ポイント)
アイルランドは4戦全勝で首位。南アフリカも3勝1敗と好成績を残した。
スコットランドも2勝を挙げていたが、上位2チームには届かなかった。強豪が集まったプールBは、予選段階から厳しい争いとなった。
プールC:ウェールズとフィジーが突破1位:ウェールズ(19ポイント)
2位:フィジー(11ポイント)
3位:オーストラリア(11ポイント)
4位:ポルトガル(6ポイント)
5位:ジョージア(3ポイント)
プールCでは、フィジーとオーストラリアがともに11ポイントで並んだ。
両チームの直接対決ではフィジーが勝利していたため、順位決定の直接対決ルールによってフィジーが2位となった。
オーストラリアはラグビーワールドカップ史上初めてプールステージで敗退。フィジーにとっては大きな躍進となった。
プールD:イングランドとアルゼンチンが突破1位:イングランド(18ポイント)
2位:アルゼンチン(14ポイント)
3位:日本(9ポイント)
4位:サモア(7ポイント)
5位:チリ(0ポイント)
イングランドは4戦全勝で首位通過。アルゼンチンは日本との直接対決を制し、2位で決勝トーナメントへの切符を手にした。
日本は2勝2敗で9ポイントを獲得したものの、アルゼンチンとイングランドを上回ることはできなかった。
決勝トーナメント進出条件とポイント制度プール戦では、勝敗だけでなくボーナスポイントも順位を左右した。
- 勝利:4ポイント
- 引き分け:2ポイント
- 1試合で4トライ以上:追加1ポイント
- 7点差以内で敗北:追加1ポイント
勝利したチームでも、4トライ以上を記録すれば最大5ポイントを獲得できる。逆に敗れたチームも、4トライ以上を挙げるか、7点差以内で敗れればボーナスポイントを得られた。
勝ち点が同じ場合は、直接対決の結果、得失点差、トライ数の差、総得点などの基準で順位が決まる。
フィジーとオーストラリアの順位が入れ替わった事例は、勝ち点だけで決勝トーナメント進出を判断できないことを示している。
【準々決勝・準決勝・3位決定戦・決勝】全試合の日程と結果
ここでは、ラグビーワールドカップ2023の決勝トーナメント全試合を時系列でまとめる。
以下の日付はフランス現地時間である。日本から見る場合、10月のフランスとの時差は7時間のため、夜の試合は日本時間では翌日未明の開催となる。
準々決勝:2023年10月14日・15日| 日程 | 対戦カード | 試合結果 | 勝ち上がり |
|---|---|---|---|
| 10月14日 | ウェールズ vs アルゼンチン | 17―29 | アルゼンチン |
| 10月14日 | アイルランド vs ニュージーランド | 24―28 | ニュージーランド |
| 10月15日 | イングランド vs フィジー | 30―24 | イングランド |
| 10月15日 | フランス vs 南アフリカ | 28―29 | 南アフリカ |
準々決勝で特に注目されたのが、アイルランド対ニュージーランドとフランス対南アフリカだった。
アイルランドはプールBを全勝で突破し、世界ランキングでも高い評価を受けていた。一方のニュージーランドは、3度の優勝経験を持つ伝統的な強豪。両者の試合は最後まで勝敗が分からない展開となり、ニュージーランドが28―24で勝利した。
フランス対南アフリカも、開催国の大声援の中で繰り広げられた激戦だった。フランスは一時リードを奪ったが、南アフリカが終盤に逆転。29―28というわずか1点差で準決勝進出を決めた。
準決勝:2023年10月20日・21日| 日程 | 対戦カード | 試合結果 | 決勝進出 |
|---|---|---|---|
| 10月20日 | アルゼンチン vs ニュージーランド | 6―44 | ニュージーランド |
| 10月21日 | イングランド vs 南アフリカ | 15―16 | 南アフリカ |
第1試合ではニュージーランドがアルゼンチンを44―6で圧倒した。
ニュージーランドのウィル・ジョーダンは3トライを記録。チーム全体でも7トライを奪い、決勝進出にふさわしい圧倒的な攻撃力を見せた。
第2試合は、準々決勝に続いて南アフリカが接戦を制した。
イングランドはオーウェン・ファレルのキックを中心に15―6とリード。しかし、南アフリカは後半にRG・スナイマンのトライなどで追い上げ、終盤のハンドレ・ポラードのペナルティゴールで16―15と逆転した。
これにより、決勝はニュージーランド対南アフリカという、男子ラグビーを代表する伝統的なライバル同士の対戦となった。
3位決定戦:2023年10月27日アルゼンチン 23―26 イングランド
決勝の前日に行われた3位決定戦では、イングランドがアルゼンチンを26―23で破った。
イングランドはベン・アールのトライなどで得点を重ね、アルゼンチンの反撃を抑えた。
アルゼンチンも後半に逆転を狙ったが、最終的にはイングランドが3点差で逃げ切った。
イングランドにとっては、2003年の優勝、2019年の準優勝に続き、2023年大会でも上位の成績を残す結果となった。
決勝:2023年10月28日南アフリカ 12―11 ニュージーランド
会場はフランスのサン=ドニにあるスタッド・ド・フランス。
決勝では、南アフリカがニュージーランドを1点差で下し、2大会連続の優勝を達成した。
南アフリカの得点は、ハンドレ・ポラードによる4本のペナルティゴール。ニュージーランドはリッチー・モウンガの2本のペナルティゴールと、ボーデン・バレットのトライで11点を獲得した。
前半を12―6で終えた南アフリカは、後半に得点を許しながらも最後までリードを守り切った。
この勝利によって、南アフリカは男子ラグビーワールドカップ史上初の通算4度目の優勝国となった。
【南アフリカ対ニュージーランド】12―11の決勝で何が起きたのか?
2023年大会の最大の見どころは、決勝のスコアだけではない。
南アフリカがどのような過程でニュージーランドを破ったのかを理解するには、試合中の反則や退場、キックによる得点の積み重ねにも注目する必要がある。
サム・ケインのレッドカードが試合を変えた前半27分、ニュージーランド主将のサム・ケインがジェシー・クリエルへの危険なタックルによってレッドカードを受けた。
男子ラグビーワールドカップの決勝で選手が退場処分を受けたのは史上初めてだった。
ニュージーランドは残りの時間を14人で戦うことになり、人数面で大きな不利を抱えた。
南アフリカは前半にポラードのペナルティゴール4本を成功させ、12点を獲得。ニュージーランドの6点を上回ってハーフタイムを迎えた。
後半はニュージーランドが猛反撃後半に入ると、ニュージーランドも粘り強く反撃した。
ボーデン・バレットがトライを決め、スコアは12―11まで縮まった。
南アフリカもシヤ・コリシがイエローカードを受けるなど、苦しい時間帯があった。さらにチェスリン・コルビも後半終盤にイエローカードを受け、両チームとも最後まで厳しい状況に置かれた。
ニュージーランドには逆転のチャンスもあったが、ジョーディー・バレットのロングレンジのペナルティゴールは成功しなかった。
そのまま12―11で試合終了。南アフリカが栄冠を手にした。
南アフリカの勝因は接戦で勝ち切る総合力南アフリカの決勝トーナメントで特筆すべきなのは、得点力だけではなく、試合終盤の対応力だった。
準々決勝ではフランスに29―28、準決勝ではイングランドに16―15、決勝ではニュージーランドに12―11と、3試合連続で1点差の勝利を収めた。
特に準決勝と決勝では、ハンドレ・ポラードのキックが勝敗を左右する重要な役割を果たした。
また、南アフリカは交代選手を効果的に投入し、試合後半のスクラムやフィジカル面で主導権を取り戻す戦い方を見せた。
強豪との連戦を勝ち抜くには、先発メンバーだけでなく、控え選手を含めたチーム全体の完成度が欠かせない。南アフリカの連覇は、その総合力を証明した結果だった。
【ラグビーワールドカップ歴代優勝国】2023年の南アフリカは何度目の世界一?
男子ラグビーワールドカップは1987年に第1回大会が開催された。
2023年大会までの優勝国を振り返ると、ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアの3か国が複数回の優勝を達成している。
歴代優勝国一覧| 開催年 | 優勝国 | 決勝の結果 |
|---|---|---|
| 1987年 | ニュージーランド | 29―9 フランス |
| 1991年 | オーストラリア | 12―6 イングランド |
| 1995年 | 南アフリカ | 15―12 ニュージーランド |
| 1999年 | オーストラリア | 35―12 フランス |
| 2003年 | イングランド | 20―17 オーストラリア |
| 2007年 | 南アフリカ | 15―6 イングランド |
| 2011年 | ニュージーランド | 8―7 フランス |
| 2015年 | ニュージーランド | 34―17 オーストラリア |
| 2019年 | 南アフリカ | 32―12 イングランド |
| 2023年 | 南アフリカ | 12―11 ニュージーランド |
※1995年と2003年は延長戦を含む結果。
優勝回数で南アフリカが単独トップに2023年大会終了時点での男子ラグビーワールドカップ優勝回数は次のとおり。
- 南アフリカ:4回
- ニュージーランド:3回
- オーストラリア:2回
- イングランド:1回
南アフリカは1995年、2007年、2019年、2023年に優勝している。
特に2019年と2023年は連続優勝であり、ニュージーランドに続いて史上2か国目となる連覇を達成した。
ニュージーランドも1987年、2011年、2015年の3度優勝しており、男子ラグビーを代表する強豪であることに変わりはない。
ただし、2023年大会の結果によって、通算優勝回数では南アフリカが単独首位に立った。
【プロの結論】2023年の決勝トーナメントから読み解く3つのポイント
ラグビーワールドカップ2023の決勝トーナメントを振り返ると、単に優勝国を覚えるだけでは見えてこない大会の特徴がある。
1. プール戦の順位だけで優勝候補は判断できないアイルランドはプールBを全勝で突破し、フランスもプールAを全勝で突破した。しかし、両チームとも準々決勝で姿を消した。
一方、南アフリカはプールBを2位で通過しながら、最終的に優勝している。
この結果は、プール戦の順位と決勝トーナメントの結果が必ずしも一致しないことを示している。
2. 接戦ではキックと反則への対応が勝敗を左右する準々決勝のフランス対南アフリカ、準決勝のイングランド対南アフリカ、そして決勝の南アフリカ対ニュージーランドは、いずれも僅差で決着した。
特に決勝では、ポラードの4本のペナルティゴールが12点を生み出した。
トライによる大量得点だけでなく、反則から得られる得点を確実に積み重ねる能力が、優勝を左右したのである。
3. 決勝トーナメントでは試合ごとの適応力が重要ニュージーランドはアルゼンチンとの準決勝で44点を獲得する攻撃力を見せた。一方、南アフリカはフランス、イングランド、ニュージーランドという異なるタイプの強豪に対して、試合ごとに戦い方を調整した。
特に南アフリカは、交代選手を投入した後のスクラムやフィジカル面で優位を築くことが多かった。
2023年大会は、単純な攻撃力やプール戦の成績だけでなく、相手に応じて戦術を変えられるチームが最後に勝ち残ることを示した大会だった。
【ラグビーワールドカップ2023の組み合わせ・決勝トーナメント】よくある質問(FAQ)
Q1:ラグビーワールドカップ2023の決勝トーナメントに進出した8チームは?
A1:フランス、ニュージーランド、アイルランド、南アフリカ、ウェールズ、フィジー、イングランド、アルゼンチンの8チーム。各プールの上位2チームが準々決勝に進出した。
Q2:ラグビーワールドカップ2023の準々決勝の結果は?
A2:アルゼンチンがウェールズに29―17、ニュージーランドがアイルランドに28―24、イングランドがフィジーに30―24、南アフリカがフランスに29―28で勝利した。
Q3:ラグビーワールドカップ2023の決勝は何対何で、優勝国はどこ?
A3:2023年10月28日に行われた決勝は、南アフリカがニュージーランドを12―11で破って優勝した。南アフリカはこれで男子大会通算4度目の優勝となり、歴代最多記録を更新した。
Q4:3位決定戦で勝った国はどこ?
A4:イングランド。2023年10月27日に行われた3位決定戦でアルゼンチンを26―23で破り、3位を獲得した。
Q5:南アフリカはどのような組み合わせで決勝まで勝ち上がった?
A5:プールBを2位で突破し、準々決勝でフランスに29―28、準決勝でイングランドに16―15、決勝でニュージーランドに12―11で勝利した。3試合連続の1点差勝利で優勝を決めた。
Q6:男子ラグビーワールドカップの歴代最多優勝国は?
A6:2023年大会終了時点では南アフリカが4回で単独最多。ニュージーランドが3回、オーストラリアが2回、イングランドが1回となっている。
ラグビーワールドカップ2023の決勝トーナメントは、準々決勝から決勝まで強豪国同士の激戦が続いた。
アイルランドとフランスという優勝候補が準々決勝で敗退し、ニュージーランドと南アフリカが決勝へ進出。最後は南アフリカが12―11で勝利し、史上初の男子大会通算4度目の優勝を達成した。
特に印象的なのは、南アフリカがフランス、イングランド、ニュージーランドを相手に3試合連続で1点差の勝利を収めたことだ。ポラードの正確なキック、交代選手の働き、試合終盤の守備が、連覇を実現する大きな要因となった。
2026年に2023年大会を振り返る際は、単に優勝国や決勝スコアだけを見るのではなく、プール戦の順位、準々決勝の組み合わせ、準決勝の勝ち上がり、3位決定戦までを一連の流れとして確認すると、大会の面白さがより鮮明になる。
男子ラグビーワールドカップの歴史において、2023年は南アフリカが世界最多となる4度目の頂点に立った、記憶に残る大会となった。
主な事実確認資料: World Rugby公式大会記録・大会規則、Rugby World Cup公式試合レポート、BBC Sportの2023年大会結果記録。