水中型ガンダムの歴史を理解するには、最初に設定されたM-MSVと、後年に展開されたTHE ORIGIN MSDを区別する必要がある。
同じRAG-79-G1でも、デザインや設定の説明にはそれぞれの企画に応じた違いがある。
M-MSVで誕生した水中型ガンダム水中型ガンダムの出発点は、大河原邦男がデザインを手掛けたM-MSVにある。
M-MSVは「ミッシングモビルスーツバリエーション」の略称で、バンダイ発行の雑誌『SD CLUB』において、1990年1月から7月にかけて展開された企画だ。
既存のガンダム作品では詳しく語られていなかったモビルスーツの存在や開発系譜を補完するという性格を持っていた。
水中型ガンダムも、そうした設定拡張の中で生まれた機体の一つである。
THE ORIGIN MSDで再構成された設定2016年には『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の世界観で展開するMSD(Mobile Suit Discovery)に水中型ガンダムが登場した。
MSDは、モビルスーツの開発秘話や、これまで詳しく描かれなかった機体の存在を考証する企画だ。
公式説明では、宇宙世紀0082年にアナハイム・エレクトロニクス社が過去の資料や文献を調査し、未確認だったMSの存在や戦果を明らかにしていくという設定が採用されている。
このMSD版では、カトキハジメによる再デザインが行われ、局地型ガンダムの設計データを取り入れたという開発背景も明確になった。
『ククルス・ドアンの島』での登場場面MSD版の水中型ガンダムが活躍するのが、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』のエピソードだ。
公式ストーリーでは、第3話「黒海の堰」から第5話「囮」にかけて、水中型ガンダムとジオン公国軍の水陸両用MSとの戦闘が描かれている。
舞台は宇宙世紀0079年10月中旬のボスポラス海峡。
オデッサへの侵攻を阻止しようとするジオン公国軍に対し、地球連邦軍の水中型ガンダムが海中から襲撃する。
第4話「見えざる敵」では、ゴッグに搭乗するヤル・マルが水中型ガンダムと遭遇。その後、海中のジオン軍機が次々と撃破され、戦闘はさらに激しさを増していく。
第5話「囮」では、ヤル・マルのゴッグと水中型ガンダムが交戦。最終的に水中型ガンダムは損傷して撤退する展開となる。
ここで注意したいのは、MSDの『ククルス・ドアンの島』という外伝企画と、2022年公開の劇場アニメ『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』を混同しないことだ。
水中型ガンダムの登場を確認する際は、MSD側の漫画・メカニカル設定を参照する必要がある。
主な登場作品と関係資料- M-MSV:水中型ガンダムの原点となる設定。
- モビルスーツコレクション・ノベルズ:キースの搭乗機として登場。
- 『機動戦士ガンダム アッガイ北米横断2250マイル』:漫画作品での登場。
- 『機動戦士ガンダム カタナ』:ティターンズ所属機として登場。
- 『機動戦士ガンダムUC』関連作品『袖付き』の機付長は詩詠う:ダカールの防衛部隊として登場。
- 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』:カトキハジメによる再デザイン版が登場。
このように、単独のMSV機体でありながら、漫画やゲームなど複数の媒体で存在感を示してきた。
【ガンプラ・ゲーム】HG 1/144とバトオペ2での評価

水中型ガンダムは設定資料だけでなく、ガンプラやゲームでも商品・プレイアブル機体として展開されている。
特に注目したいのは、2016年のHGキットと、2020年に参戦した『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』だ。
HG 1/144 水中型ガンダムの特徴BANDAI SPIRITSから発売された「HG 1/144 水中型ガンダム」は、MSD版のデザインを立体化したガンプラだ。
| 項目 | 商品情報 |
|---|---|
| 商品名 | HG 1/144 水中型ガンダム |
| 発売時期 | 2016年10月 |
| 発売時価格 | 2,200円(税込) |
| スケール | 1/144 |
| ブランド | HG |
| 販売形態 | プレミアムバンダイ限定 |
公式商品説明では、頭部、外装、バックパックなどを新規造形で再現。バイザー部分にはクリアパーツを使用し、内部のツインアイや後頭部の潜望鏡まで作り込まれている。
武装についても、次のような特徴がある。
- 偏向ビーム・ライフル:着脱可能なライフルカバー付き。
- ハープーン・ガン:左腕から取り外して手持ち可能。
- ハンドアンカー:リード線で射出状態を再現。
- ビーム・ピック:2本付属し、収納ラックも再現。
特にバイザーの内部にツインアイがある構造は、ガンダムらしさと水中戦用MSらしさを両立したデザインの見どころだ。
2023年には再販も報じられており、発売当時だけでなく、その後も需要が続いていることが分かる。
ただし、2026年11月現在の在庫状況や販売価格は、再販時期や販売店によって異なる。2016年の発売時価格を現在の購入価格と混同しないようにしたい。
ガンダムバトルオペレーション2での参戦『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』では、2020年11月19日に水中型ガンダムが実装された。
公式発表によると、実装時の機体情報は次のとおり。
- レアリティ:
- 初期実装レベル:LV1~2
- コスト:350~
- 機体タイプ:汎用機
- 出撃区分:地上専用機体
公式紹介では、アクア・ジムをエースパイロット仕様に再設計した機体として説明されている。
ゲーム内では多様な射撃兵装を活用した中距離戦闘が特徴で、水陸両用機体としての地形適正も強みとして紹介された。
ここで面白いのは、ゲームの機体解説も原作設定の開発経緯と一致している点だ。
単に水中で動けるガンダムという扱いではなく、アクア・ジムの問題点を改善したエース向け機体という位置づけが維持されている。
なお、ゲーム内の性能数値や武装の威力、コストはゲームバランスに基づくものだ。アニメ・漫画の設定上のスペックと直接比較することはできない。
【2026年最新】水中型ガンダムの現在と設定の注目点
2026年11月時点で水中型ガンダムを調べる際に重要なのは、M-MSV版とMSD版の設定を整理して理解することだ。
現在確認できる公式の機体紹介では、基本的な位置づけは一貫している。
- 型式番号はRAG-79-G1。
- 原型機はRAG-79アクア・ジム。
- エースパイロット向けに再設計された水陸両用MS。
- MSD版では局地型ガンダムの設計データも反映。
- 水中用のビーム兵器や実弾兵器を組み合わせた武装構成。
2026年に新たな機体型式や大幅な基本設定変更が発表されたとする情報は、今回参照した公式資料からは確認できない。したがって、現時点では従来の設定を基準に理解するのが妥当だ。
今後注目したい3つのポイント1. MSDによる設定の補完
MSDは、既存の宇宙世紀設定を別の角度から掘り下げる企画だ。水中型ガンダムのような既存MSV機体が、どのように新しい作品世界へ組み込まれるのかは注目点になる。
2. ガンプラの再販・商品展開
2016年のHG発売、2023年の再販実績がある。旧作MSV機体の立体化は、設定を知らなかった新しいファンが機体に触れるきっかけにもなる。
3. ゲームにおける水中戦用MSの役割
バトオペ2では水中型ガンダムが実装済みだ。今後のゲームバランス調整や機体環境を考える際も、水中適性や武装の組み合わせが評価のポイントになる。
【よくある質問】水中型ガンダムに関するFAQ
Q1:水中型ガンダムは本当にガンダムなのですか?
A1:厳密にはRX-78系のガンダムではなく、アクア・ジムを再設計したジム系の水陸両用MSです。ガンダムに似た頭部形状や局地型ガンダムの設計データを取り入れたことから、水中型ガンダムと呼ばれています。
Q2:水中型ガンダムの型式番号は何ですか?
A2:型式番号はRAG-79-G1です。原型機はRAG-79アクア・ジムで、エースパイロット向けに性能を強化した機体です。
Q3:水中型ガンダムとガンダイバーは同じ機体ですか?
A3:一部のゲームや関連メディアでは、水中型ガンダムをガンダイバーと呼んでいます。ただし、SDコマンド戦記にも同名の別キャラクターが存在します。混同を避けるにはRAG-79-G1という型式番号で区別するのがおすすめです。
Q4:水中型ガンダムの代表的な武装は何ですか?
A4:偏向ビーム・ライフル、炸裂式ハープーン・ガン、ハンドアンカー、ビーム・ピック、魚雷ポッドなどです。特に水中でのビーム減衰を抑えるために集束率を高めた専用ライフルが特徴です。
Q5:水中型ガンダムは『ククルス・ドアンの島』に登場しますか?
A5:はい。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』の第3話から第5話にかけて登場します。ボスポラス海峡を舞台に、ジオン公国軍のゴッグなどと交戦する姿が描かれています。
Q6:HG 1/144 水中型ガンダムはいつ発売されましたか?
A6:2016年10月発売です。発売時価格は2,200円(税込)で、プレミアムバンダイ限定商品として展開されました。2023年にも再販が報じられています。2026年現在の購入可否は在庫や再販状況によって異なります。
水中型ガンダムは、名前だけを見るとガンダムタイプの特殊機体に思える。しかし、その正体をたどると、アクア・ジムをベースにしたジム系MSという意外な事実に行き着く。
重要なのは、ガンダムらしい外観と、実際の開発系譜を切り分けて考えることだ。
RAG-79-G1という型式番号は、その関係を理解するための手掛かりになる。アクア・ジムの機動性や近接戦闘への偏りを改善し、偏向ビーム・ライフルなどの専用武装を導入したことで、エースパイロット向けの水中戦用MSとして個性を確立した。
加えて、M-MSVで生まれた機体が、THE ORIGIN MSDでカトキハジメによって再デザインされ、『ククルス・ドアンの島』の外伝ストーリーにも登場したことは、長く続くガンダムシリーズの設定拡張を象徴している。
水中型ガンダムを楽しむなら、次の3点を押さえておきたい。
- 設定重視なら、アクア・ジムとの開発系譜とRAG-79-G1の意味を理解する。
- 作品重視なら、M-MSV版とTHE ORIGIN MSD版の違いを確認する。
- ガンプラ重視なら、特徴的なバイザー、バックパック、偏向ビーム・ライフルの造形に注目する。
水中型ガンダムは、RX-78のような正統派ガンダムとは違う魅力を持つ機体だ。ジム系MSの発展史、水中戦の技術的な工夫、MSVから現代の作品へと続く設定の広がり。その3つが交差するところに、RAG-79-G1ならではの面白さがある。