世界のランキングで日本はどの位置にいるのか。日本人の平均身長を確認すると、男性・女性ともに世界トップクラスの国々とは一定の差がある。
日本人男性の平均身長と世界順位2019年の19歳男性の平均身長は、172.1cm。
NCD-RisCの200か国・地域を対象とするランキングでは、日本人男性は114位に位置する。
オランダの183.8cmと比較すると11.7cmの差がある。モンテネグロとの差も11.2cmだ。
日本人女性の平均身長と世界順位2019年の19歳女性の平均身長は、158.5cm。
世界ランキングでは146位となっている。
オランダの170.4cmとの差は11.9cm。女性についても、日本と世界トップの国との間には約12cmの開きがある。
日本人の身長は昔より低くなっている?ここで注目したいのは、日本人の平均身長そのものが低下したわけではないという点だ。
NCD-RisCの推計によると、1985年と2019年を比較した日本の19歳の平均身長は次のように変化している。
- 男性:1985年から約1.7cm増加
- 女性:1985年から約1.2cm増加
つまり、男女とも平均身長は伸びている。
それにもかかわらず世界順位が下がったのは、ほかの国々の伸びが日本を上回ったためだ。
分かりやすい例が中国である。中国の19歳男性の平均身長は、1985年から2019年までに約8cm増加し、世界順位も150位から65位へ上昇した。
日本の身長が縮んだというより、国際的な順位争いの中で、ほかの国の成長が速かったという構図だ。
日本・中国・韓国の平均身長を比較東アジアの3か国を比較すると、次のようになる。
- 日本男性:172.1cm
- 中国男性:175.7cm
- 韓国男性:175.5cm
女性は以下の通りだ。
- 日本女性:158.5cm
- 中国女性:163.5cm
- 韓国女性:163.2cm
19歳の比較では、中国と韓国が男女とも日本を上回っている。
ただし、この数字だけで各国の遺伝的な特徴や将来の身長を断定することはできない。成長期の栄養状態や生活環境、出生世代の違いも考慮する必要がある。
【平均身長が低い国ランキング】男女別の最下位グループ

高身長国と反対に、平均身長が低い国々にも特徴的な傾向がある。
NCD-RisCの2019年推計では、南アジア、東南アジア、中南米、東アフリカなどの国々が下位に位置している。
男性の平均身長が低い国男性の下位10か国は以下の通り。
1. 東ティモール:160.1cm
2. ラオス:162.8cm
3. ソロモン諸島:163.1cm
4. パプアニューギニア:163.1cm
5. モザンビーク:164.3cm
6. グアテマラ:164.4cm
7. ネパール:164.4cm
8. イエメン:164.4cm
9. バングラデシュ:165.1cm
10. マダガスカル:165.2cm
最も平均身長が低かったのは東ティモールで、160.1cmだった。
オランダ男性の183.8cmと比較すると、実に23.7cmの差が生じている。
女性の平均身長が低い国女性の下位10か国は以下の通り。
1. グアテマラ:150.9cm
2. バングラデシュ:152.4cm
3. ネパール:152.4cm
4. 東ティモール:152.7cm
5. マダガスカル:153.1cm
6. ラオス:153.1cm
7. フィリピン:154.1cm
8. モルディブ:154.3cm
9. インドネシア:154.4cm
10. ペルー:154.4cm
女性の最下位はグアテマラで150.9cm。
オランダ女性の170.4cmと比較すると19.5cmの差になる。
高身長国と低身長国の差は成長年齢に換算できるこの研究で特に注目されるのは、国による平均身長の差を、単純なセンチメートルの違いだけでなく、成長年齢の差として分析していることだ。
研究によると、最も平均身長が高い国と低い国の間にある約20cmの差は、女子では約8年、男子では約6年分の成長差に相当する。
例えば、グアテマラやバングラデシュの19歳女性の平均身長は、オランダの11歳女性の平均身長と同程度だった。
これは、単純に生まれつきの体格が違うという説明だけでは捉えきれない問題である。成長期にどのような栄養や健康環境を得られたかが、国全体の平均値に反映されている。
【身長差の理由】遺伝・栄養・生活環境はどこまで影響する?
国によって平均身長が異なる理由は、一つではない。
大きく分けると、遺伝的要因と環境的要因が関係しており、両者は独立して働くわけではない。
2024年に『Annual Review of Nutrition』で発表された身長形成に関する総説でも、遺伝、栄養、環境、出生前後の健康状態が成人身長に影響することが整理されている。
1. 遺伝|親から受け継ぐ体格の特徴身長には遺伝的な影響がある。
両親の身長は、子どもの身長を考える際の参考情報になる。骨格や成長のパターンなどにも遺伝的な要素が関係している。
しかし、遺伝だけで最終的な身長が決まるわけではない。
同じような遺伝的な成長の可能性を持っていても、栄養不足や慢性的な病気などによって、その可能性を十分に発揮できない場合がある。
また、ある集団の中で遺伝が身長の個人差をどの程度説明するかという問題と、国同士の平均身長の違いを遺伝だけで説明できるかという問題は別である。
ここを混同しないことが重要だ。
2. 栄養|成長期の食事が身長形成を左右する身長の形成において、栄養は重要な環境要因の一つとなる。
特に注目されるのは以下の栄養素だ。
- タンパク質: 筋肉や身体組織をつくるために必要。
- カルシウム: 骨の形成と維持に関係する。
- ビタミンD: カルシウムの吸収や骨の健康を支える。
- 亜鉛: 正常な成長や身体機能に関係する。
- エネルギー: 身体の成長や日常の活動を維持するために必要。
大切なのは、特定の食品だけを大量に食べることではない。
成長期に必要なエネルギーと栄養素をバランスよく摂取できる環境が整っているかどうかが重要になる。
3. 医療と感染症|子どもの健康状態が成長に影響する栄養を十分に摂取していても、慢性的な感染症や病気があれば、身体の成長に影響する可能性がある。
特に幼少期は、感染症による食欲低下や栄養吸収の問題が成長に影響することがある。
医療へのアクセス、予防接種、衛生環境、安全な水の確保なども、子どもが健康に成長するための条件だ。
そのため、平均身長の国際比較は、単なる体格の比較にとどまらず、国ごとの公衆衛生や生活環境を考える材料にもなる。
4. 胎児期・乳幼児期・思春期の環境身長の形成には、人生の複数の時期が関係する。
胎児期
母体の健康状態や胎児期の栄養環境が、出生時の身体の大きさや、その後の成長に影響する。
乳幼児期・小児期
栄養状態、感染症、家庭環境、医療へのアクセスなどが成長を左右する。
思春期
急速な身体の成長が起こる時期。男女で成長のタイミングや速度に違いがある。
2024年の総説でも、この3つの時期が成人身長の形成に関わる主要な段階として整理されている。
つまり、19歳になってから身長を伸ばそうとするよりも、出生前から思春期までの健康的な成長環境を整えることが重要になる。
5. 生活水準と社会環境|国全体の成長を支える条件国の経済状況や社会制度も、間接的に身長に影響する。
例えば、次のような条件が考えられる。
- 栄養価の高い食事を安定して確保できるか。
- 子どもが適切な医療を受けられるか。
- 家庭の経済状況によって食事の質に差が生じていないか。
- 学校給食などを通じて栄養を補えるか。
- 清潔な水や衛生的な生活環境が確保されているか。
NCD-RisCの研究では、1985年から2019年にかけて中国や韓国などの平均身長が大きく伸びたことも報告されている。
こうした変化は、国民の身長が遺伝だけで固定されているわけではなく、世代ごとの健康環境によって変化し得ることを示している。
【2026年のデータ検証】平均身長ランキングを見るときの注意点
平均身長のランキングは分かりやすい一方、数字の読み方を間違えると実態を誤解してしまう。
特に2026年の検索結果には、異なる調査年、対象年齢、測定方法を混在させたランキングも存在する。
注意点1:2019年の19歳データと2026年の成人平均は違う今回のランキングは、2019年時点の19歳を対象にした推計値だ。
2026年現在の20代、30代、40代を含む成人全体の平均身長ではない。
また、国によって測定対象や調査方法が異なる統計を混ぜると、正確な国際比較ができなくなる。
注意点2:NCD-RisCの数値は実測値そのものではなく統計的推計NCD-RisCの研究は、2,181件の人口ベースの研究・調査から得た約6,500万人分の測定データを統合している。
200か国・地域について推計を行い、少なくとも1件のデータが存在したのは193か国・地域だった。
加えて、ベイズ階層モデルを使用し、各国の測定データ、調査規模、地域的な情報などを考慮して平均身長を推計している。
そのため、ランキングの数値は、世界中の19歳全員を直接測定した結果ではない。
注意点3:1位と2位の差を過大評価しないオランダとモンテネグロの男性の平均身長差は0.5cmしかない。
研究では、それぞれの推計に不確実性の幅が示されている。
オランダ男性の95%信用区間は181.5~186.2cm、モンテネグロ男性は181.7~184.9cmだ。
この範囲は重なっているため、順位が1位と2位だからといって、両国の実際の身長に明確な差があると断定することはできない。
注意点4:国の平均身長は個人の身長を予測するものではない平均身長が高い国に生まれたからといって、必ず高身長になるわけではない。
反対に、平均身長が低い国の出身でも、世界トップクラスの身長を持つ人はいる。
国別ランキングは人口集団の傾向を理解するための統計であり、個人の能力や健康状態を評価する指標ではない。
【平均身長が高い国】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:世界で最も平均身長が高い国はどこですか?
A1:オランダです。2019年の19歳の推計では、男性183.8cm、女性170.4cmで、男女とも世界1位です。
Q2:男性の平均身長が最も高い国と女性の平均身長が最も高い国は同じですか?
A2:同じです。オランダが男女とも1位です。男性は183.8cm、女性は170.4cmとなっています。
Q3:日本人の平均身長は世界で何位ですか?
A3:2019年の19歳の国際比較では、男性が約172.1cm、女性が約158.5cmです。200か国・地域のランキングでは、男性114位、女性146位とされています。
Q4:平均身長が高い国に共通する特徴は何ですか?
A4:北西ヨーロッパや中欧・バルカン地域の国々が上位に多く見られます。遺伝的要因に加え、幼少期から思春期までの栄養や健康環境などが関係しています。
Q5:牛乳をたくさん飲めば身長は高くなりますか?
A5:牛乳はカルシウムやタンパク質を摂取できる食品ですが、飲む量だけで身長が決まるわけではありません。バランスのよい食事、十分なエネルギー、健康的な生活環境などを総合的に考える必要があります。
Q6:2026年最新の平均身長ランキングは2019年のデータなのですか?
A6:今回紹介したNCD-RisCの世界比較は、1985~2019年のデータを基にした2020年発表の研究です。2026年時点で記事を読む場合も、調査年と発表年を区別することが大切です。
2026年時点で参照できるNCD-RisCの国際比較では、平均身長が高い国の筆頭はオランダだ。
今回のランキングで押さえておきたい数字は次の通り。
- 男性1位:オランダ183.8cm
- 女性1位:オランダ170.4cm
- 男性2位:モンテネグロ183.3cm
- 女性2位:モンテネグロ170.0cm
- 日本人男性:172.1cm
- 日本人女性:158.5cm
上位にはヨーロッパの国々が集中している一方、国際比較の背景には遺伝だけでは説明できない成長環境の違いがある。
特に重要なのは、平均身長は生まれ持った体格だけで決まるものではなく、胎児期から思春期までの栄養、医療、衛生、生活環境が積み重なって形成されるという視点だ。
また、日本人の平均身長も1985年から2019年にかけて伸びている。世界順位の低下を、そのまま日本人の身長が縮んだ証拠と捉えるのは正しくない。
平均身長ランキングを見る際には、順位だけでなく、調査年、対象年齢、男女別の数値、統計的な不確実性まで確認することが大切だ。
身長の国際比較から見えてくるのは、単なる体格の違いではない。子どもが健やかに成長できる環境を、社会全体でどれだけ整えられているかという、各国の健康と生活環境の違いでもある。
主な参考資料:NCD Risk Factor Collaboration(NCD-RisC)「Height and body-mass index trajectories of school-aged children and adolescents from 1985 to 2019」(The Lancet、2020年)、Imperial College Londonの研究解説、Lui・Palmer・Christian「Nutrition, Other Environmental Influences, and Genetics in the Determination of Human Stature」(Annual Review of Nutrition、2024年)。