2026年11月6日時点の日本相撲協会公式プロフィールでは、若隆景は西十両5枚目に位置している。2026年5月場所の優勝からわずか数か月で十両まで番付を下げた背景には、左脚の重大な負傷があった。
2026年7月に左脚を緊急手術日刊スポーツの2026年11月6日付報道によると、若隆景は7月の名古屋場所を前に左脚の異常を訴え、検査の結果、左大腿コンパートメント症候群と診断された。
同症候群は、筋肉を包む筋膜などに囲まれた区画内の圧力が上昇し、血流や神経に深刻な影響を及ぼす疾患だ。若隆景は緊急手術を受け、その後の手術も含めて処置は計4回に及んだという。報道では、処置が遅れていれば脚を切断する可能性もあったと伝えられている。
5月場所で幕内の頂点に立った直後に起きた出来事だけに、相撲人生を左右しかねない大きな試練だった。
11月場所は竜電との対戦で再出発8月から稽古を再開した若隆景は、九州場所に向けて調整を進めてきた。11月6日に取組編成会議が行われ、初日の相手は高田川部屋の竜電に決定した。
日刊スポーツによると、福岡入り後には関取衆との稽古を再開。11月2日の時津風一門の連合稽古や3日の朝稽古では、兄の若元春らを相手に6勝全勝とし、回復ぶりを示した。
同紙が伝えた本人の言葉は、次のとおりだ。
しっかりやることをやる。それだけ
この言葉からも、まずは目の前の稽古と取組に集中する姿勢がうかがえる。なお、11月6日時点では初日の取組が決まった段階であり、11月場所の実際の勝敗はまだ記録されていない。
【番付と成績の変化】2026年5月の幕内優勝から11月の十両まで

若隆景の2026年の番付変動を理解するには、各場所の成績と休場を分けて見る必要がある。
特に注目したいのは、5月場所で東小結として12勝3敗を挙げた後、7月場所では東関脇に昇進していたことだ。つまり、負傷によって休場した時点では、すでに三役の地位を取り戻していた。
2026年の番付・星取表一覧| 場所 | 番付 | 成績 | 主な結果 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月 | 西前頭2枚目 | 9勝6敗 | 勝ち越し |
| 2026年3月 | 東前頭筆頭 | 8勝6敗1休 | 勝ち越し |
| 2026年5月 | 東小結 | 12勝3敗 | 幕内優勝・技能賞 |
| 2026年7月 | 東関脇 | 0勝0敗15休 | 全休 |
| 2026年9月 | 東前頭12枚目 | 0勝0敗15休 | 全休 |
| 2026年11月 | 西十両5枚目 | 取組前 | 初日は竜電戦 |
出典は日本相撲協会公式の力士プロフィールと過去の星取表。11月場所の成績欄は、11月6日時点の取組前の状態を示している。
なぜ関脇から十両まで下がったのか番付は原則として、本場所の成績に基づいて次の場所の地位が決まる。若隆景の場合、7月場所で東関脇として全休したため、9月場所は東前頭12枚目まで降下した。
さらに9月場所も全休したことで、11月場所では幕内の地位を維持できず、西十両5枚目まで下がった。
今回の降下は、通常の負け越しによるものとは事情が異なる。土俵上で力が衰えたことを示す成績ではなく、重大な負傷によって出場できなかったことが直接の要因だ。
5月に優勝した力士が、わずか2場所後に十両へ降下するという番付変動は、休場が力士のキャリアに与える影響の大きさを示している。
【プロフィールと経歴】本名は大波渥、若隆元・若元春と三兄弟
基本プロフィール・2026年11月場所時点
- 読み方:わかたかかげ・あつし
- 本名:大波渥
- 生年月日:1994年12月6日
- 年齢:31歳
- 出身地:福島県福島市
- 所属:荒汐部屋
- 身長:183cm
- 体重:138kg
- 最高位:関脇
日本相撲協会の公式プロフィールによると、若隆景の本名は大波渥(おおなみ・あつし)。四股名の読み方は「わかたかかげ」で、名前の最後の「景」は「かげ」と読む。
1994年12月6日生まれで、福島県福島市の出身。荒汐部屋に所属し、2017年3月場所に三段目最下位格付け出しで初土俵を踏んだ。
学法福島から東洋大学へ若隆景は福島県内の学法福島高校を卒業後、東洋大学に進学した。大学では相撲部に所属し、4年次には副主将を務めている。
東洋大学の公式プロフィールによれば、全国学生相撲選手権大会では団体優勝、個人準優勝という実績を残した。大学で培った技術と経験を生かし、卒業後は荒汐部屋に入門した。
2017年3月に初土俵を踏み、2018年5月場所で新十両、2019年11月場所で新入幕。2021年7月場所には新三役に昇進し、2022年3月場所には関脇として初の幕内優勝を成し遂げた。
若隆元・若元春・若隆景の三兄弟若隆景を語るうえで欠かせないのが、兄の若隆元、若元春との関係だ。3人はいずれも福島市出身で、同じ荒汐部屋に所属してきた相撲三兄弟として知られる。
それぞれの関係を整理すると次のようになる。
- 若隆元:長兄。2026年5月27日に引退を発表。
- 若元春:兄。幕内で活躍する力士で、2026年11月場所前の稽古でも若隆景と対戦した。
- 若隆景:末弟。本名は大波渥。幕内優勝2回の実績を持つ。
祖父は元小結の若葉山、父は元幕下の若信夫。相撲との縁が深い家庭で育ち、幼い頃から競技に親しんできた。
福島市の公式情報でも、若隆元・若元春・若隆景の三兄弟は、福島を代表する出身力士として紹介されている。2026年6月には若隆景の優勝パレードが福島市内で行われ、若元春や引退を発表した若隆元も参加した。
【得意技と受賞歴】おっつけを武器に幕内優勝2回、技能賞7回
若隆景の強さを語るとき、必ず登場するのが「おっつけ」だ。小柄な力士という印象を持たれることもあるが、相手の力を正面から受け止めるだけではなく、相手の腕や体勢を制御しながら攻める技術に特徴がある。
若隆景の得意技は右四つ・寄り日本相撲協会の公式プロフィールに記載されている得意技は、右四つ・寄りだ。
右四つとは、相手と組んだ際に右手を相手の左脇に差す組み方。寄りは、相手に密着しながら前進して土俵外へ押し出す攻め方である。
一方、おっつけは相手の差し手を外側から押さえ、脇を締めて相手の腕や体勢を制御する技術だ。相手に有利な組み手を許さず、自分の攻めにつなげることができる。
興味深いのは、日本相撲協会の力士アンケートで、若隆景自身が「ここだけは相撲界で自分がNo.1だと思うこと」としておっつけを挙げている点だ。
公式に登録された得意技と、本人が最も自信を持つ技術は必ずしも同じではない。若隆景の場合、この2つを区別して理解すると取り口の特徴がよく分かる。
決まり手の傾向にも表れる攻撃力日本相撲協会が公表する過去6場所の取組データでは、決まり手の傾向は次のとおりだ。
若隆景の決まり手の傾向
{#each [{n:"寄り切り",v:34},{n:"押し出し",v:28},{n:"肩透かし",v:10},{n:"その他",v:28}] as d}
{d.n}
{d.v}%
{/each}
日本相撲協会公式プロフィール掲載値。過去6場所の45取組・29勝を対象とした集計。
寄り切りが34%と最も多く、押し出しが28%で続く。相手の攻めを封じてから前に出る相撲が、決まり手にも表れている。
幕内優勝は2回、技能賞は7回若隆景の受賞歴は、単なる優勝回数だけでは測れない。相撲技術を評価する技能賞を7回受賞していることも大きな特徴だ。
主な実績は以下のとおり。
- 幕内優勝:2回
- 十両優勝:1回
- 幕下優勝:2回
- 三段目優勝:1回
- 技能賞:7回
- 殊勲賞:1回
- 金星:1個
最初の幕内優勝は2022年3月場所。新関脇として出場した場所で頂点に立ち、注目を集めた。
2度目は2026年5月場所。東小結として12勝3敗を記録し、再び幕内優勝を果たした。同時に技能賞も獲得している。これは本人にとって通算7回目の技能賞だった。
東洋大学の2026年5月25日付公式発表でも、2度目の幕内優勝と7回目の技能賞受賞が報告されている。
【通算成績と今後の焦点】再び幕内へ戻るために必要なこと
2026年11月場所時点の日本相撲協会公式プロフィールに掲載された若隆景の通算成績は、420勝261敗102休(58場所)。幕内通算では259勝164敗87休(34場所)となっている。
休場数には2023年の右膝の靱帯・半月板の負傷による長期離脱や、2026年の左脚の負傷なども反映されている。
2023年にも大きな負傷から復帰若隆景は2023年にも右膝の靱帯と半月板を損傷し、長期休場を経験した。東洋大学の2025年の対談記事では、本人が当時の苦しい時期を振り返っている。
同記事では、長期休場中も土俵に戻るという気持ちを持ち続け、リハビリに取り組んだ経緯が紹介されている。
その後、2024年1月場所で幕下優勝を果たし、十両、幕内へと復帰。2024年5月場所では十両優勝も達成した。
一度幕下まで番付を落とした経験があるからこそ、今回の十両からの再出発にも、これまでの復活経験が生きる可能性がある。
今後の評価で見るべき3つのポイント若隆景の今後を考えるうえで、単純に勝ち星だけを追うのではなく、次の3点を確認したい。
1.左脚の状態と15日間の相撲への対応
稽古で勝てることと、本場所で連日取組を続けられることは別だ。手術を複数回受けた左脚に無理がないか、取組を重ねるなかでの状態が重要になる。
2.得意のおっつけと右四つが機能するか
若隆景の持ち味は、相手の腕を封じて自分の形を作る技術だ。復帰後も従来の攻めを発揮できれば、上位を目指すうえで大きな武器になる。
3.番付を戻すための継続的な勝ち越し
十両で安定した成績を残し、幕内復帰を目指すことが当面の目標となる。焦って番付を追うよりも、健康状態と相撲の内容を両立させることが先決だ。
【若隆景渥に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:若隆景渥の読み方は?
A1:若隆景渥は「わかたかかげ・あつし」と読む。若隆景が四股名、渥が名前にあたる。
Q2:若隆景の本名は何?
A2:本名は大波渥(おおなみ・あつし)。福島県福島市出身で、荒汐部屋に所属している。
Q3:若隆景は2026年5月場所で優勝した?
A3:優勝した。東小結として12勝3敗を記録し、幕内優勝は通算2回目。技能賞も7回目の受賞となった。
Q4:若隆景が2026年7月と9月に休場した理由は?
A4:左大腿コンパートメント症候群と診断され、緊急手術を受けたため。手術は計4回に及び、7月と9月の2場所を連続して全休した。
Q5:若隆景の2026年11月場所の番付は?
A5:西十両5枚目。11月6日に発表された初日の対戦相手は竜電。11月6日時点では取組前のため、場所の勝敗はまだ記録されていない。
Q6:若隆景の兄弟は誰?
A6:兄は若隆元と若元春。3人とも荒汐部屋に所属してきた大波家の三兄弟で、若隆元は2026年5月に引退を発表している。
Q7:若隆景の得意技は何?
A7:日本相撲協会の公式プロフィールでは右四つ・寄り。本人が最も自信を持つ技術として挙げているのは、おっつけだ。
Q8:若隆景の技能賞は何回?
A8:2026年5月場所の受賞を含めて通算7回。幕内優勝2回に加え、技能面でも高く評価されている。
若隆景渥は、2026年5月場所で12勝3敗の成績を残し、2度目の幕内優勝と7回目の技能賞を獲得した。その実績は、関脇まで復帰した実力を改めて示すものだった。
しかし、7月に発症した左大腿コンパートメント症候群によって緊急手術を受け、2場所連続全休。2026年11月場所では西十両5枚目から再出発することになった。
11月6日には初日の竜電戦が決まり、稽古でも兄の若元春らと対戦するなど、土俵復帰に向けた動きが伝えられている。
若隆景には、幕内優勝2回、技能賞7回という実績に加え、2023年の大きな負傷から幕内へ戻った経験もある。今回も重要なのは、番付を急いで戻すことだけではない。左脚の状態を保ちながら、本来の持ち味であるおっつけと右四つの相撲を取り戻せるかどうかだ。
2026年11月場所は、2度の幕内優勝を誇る技巧派力士が、新たな復活への一歩を踏み出す場所となる。今後は九州場所の星取表と、場所後の番付発表が大きな注目点になる。
主な情報源:日本相撲協会公式力士プロフィール・星取表、東洋大学公式サイト、福島市公式サイト、日刊スポーツ(2026年11月6日付)。