試合結果は、井上尚弥の3-0判定勝ち。12ラウンドを通じて両者が高度な技術をぶつけ合い、最後まで緊張感の続く展開となった。
採点は以下の通り。日本ボクシングコミッション(JBC)の試合報告書とスポーツナビの速報結果でも、井上の勝利と3人のジャッジによる採点が確認できる。
井上尚弥 WIN

3-0
判定勝ち・12ラウンド終了
井上尚弥(王者)
中谷潤人(挑戦者)
公式ジャッジ採点
2026年5月2日・東京ドーム/世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチ
3人のジャッジの採点には、4ポイント差と2ポイント差が存在する。
ボクシングの12ラウンド制では、通常、各ラウンドを10点満点で評価する。優勢だった選手に10点、相手に9点をつける10ポイント・マスト方式が基本となる。
116-112は、井上が中谷より4ポイント多く獲得したことを示す。一方、115-113は2ポイント差。ジャッジによって各ラウンドの評価に違いがあったものの、3人全員が井上の勝利と判断した。
重要なのは、3人全員が井上を支持した一方で、すべてのラウンドを一方的に支配した試合ではなかったという点だ。中谷にも主導権を握る時間帯があり、採点の幅にも試合の競争性が表れている。
4団体統一王座の防衛記録今回の勝利で井上は、WBA・WBC・IBF・WBOの世界スーパーバンタム級4団体統一王座を守った。
日刊スポーツの試合報道によると、統一王者としての防衛は通算7度目。団体別ではWBCとWBOが8度目、WBAとIBFが7度目の防衛に成功した。
KOで相手を倒すことだけが王者の価値ではない。強敵を相手にポイントを管理し、12ラウンドを戦い抜いてベルトを守ることも、統一王者としての実力を示す重要な要素となった。
【全12ラウンド試合経過】井上と中谷の攻防をラウンド別に振り返る
この試合の最大の特徴は、両者が相手の攻撃を簡単には許さなかったことだ。
井上は序盤からジャブとフェイントを使って距離を調整し、中谷は長いリーチを生かして左ストレートやカウンターを狙った。中盤には中谷が圧力を強め、終盤には井上が再び攻勢に転じた。
以下はスポーツナビの試合速報と専門メディアの試合レポートをもとに整理した、各ラウンドの主な攻防である。公式ジャッジのラウンド別採点表ではなく、実際に報じられた試合展開のまとめだ。
1R|慎重な立ち上がり
井上はジャブと右ボディストレートで攻撃の糸口を探す。中谷は右ジャブで牽制し、井上の踏み込みに左カウンターを合わせようとする。互いに相手の反応を確認する時間となった。
2R|井上がボディ攻撃を増やす
井上は軌道を変えたジャブから右をつなぎ、右ボディフックも繰り出す。中谷は右ジャブを散らしながら左ストレートをボディに送った。前手の攻防が続く。
3R|井上がプレッシャーを強める
井上は踏み込みのフェイントからボディストレート、左フックを繰り出す。中谷をコーナーに追い込み、右ストレートも伸ばした。中谷は位置を変えながら応戦する。
4R|ジャブの精度を競う
井上は上下にジャブを打ち分け、右フックを当てる。中谷もストレートを返し、井上の攻撃に対して即座に反撃。お互いに単純な連打を許さない展開となった。
5R|中谷が左ストレートで反撃
井上はジャブからボディストレートにつなげる。中谷は顔面とボディへのストレートを使い分け、左ストレートもヒット。井上も左フックで応戦し、攻防が活発になった。
6R|距離を縮める井上とカウンターの中谷
井上は踏み込みからボディストレートを狙う。中谷はかわしてストレートを返し、ワンツーも放つ。中谷が左ストレートやアッパーを増やす一方、井上は被弾を抑えながら距離を詰めていく。
7R|井上の右ストレートが印象に残る
中谷が右フック、左ストレート、右フックと連打。井上はガードで受け止め、反撃に転じる。手数を増やした井上は右ストレートや左フックを当て、中谷の前進を抑えた。
8R|近距離の攻防が激化
両者が距離を詰めて打ち合う。中谷は左のスイングフックから右フック、左ボディストレートを繰り出す。井上も強いジャブで対抗。互いに相手のパンチを見切る場面もあり、技術の高さが際立った。
9R|中谷のプレッシャーと井上の距離管理
中谷は左ストレートから右フックにつなげ、前進する。井上はジャブとフットワークで距離を調整し、ノーモーションの右ストレートを当てる。中谷も右アッパーや左フックで応戦した。
10R|中谷が圧力を強め、偶然のバッティング
中谷が井上をロープ際に追い込み、右フックをヒットさせる。井上の足が一瞬止まる場面もあった。その後、偶然のバッティングによって中谷の眉間左側が切れ、ドクターチェックが行われた。再開後も中谷は前進を続けた。
11R|井上が終盤の主導権を握る
井上は右フックで応戦し、ワンツーから右ストレートをヒット。さらに右アッパーを織り交ぜて攻勢を強める。中谷はガードを固めて対応するが、井上の連続攻撃が目立った。
12R|両者が最後まで打ち合う
中谷はストレートと右フックを強振。井上はガードで防ぎながらジャブ、右アッパー、右フック、右ストレートを使い分ける。最後まで攻防が続き、12ラウンド終了のゴングを迎えた。
12ラウンドの流れを大きく分けると、序盤は井上が精度と距離管理で先行し、中盤から中谷が圧力を強め、終盤に井上が対応力を発揮した試合だった。
特に10ラウンドの中谷の攻勢と11ラウンドの井上の反撃は、この試合を振り返るうえで欠かせない場面となった。
【勝敗を分けたポイント】井上尚弥はなぜ中谷潤人に勝てたのか?
両者の実力差が大きかったというよりも、相手の長所をどこまで封じ、自分の得意な攻撃を成立させられるかが勝敗を左右した試合だった。
1.井上のフェイントと距離のコントロール中谷の大きな武器は、サウスポーから繰り出す左ストレートと長いリーチを生かした攻撃だ。井上が不用意に踏み込めば、カウンターを受ける危険がある。
井上は単純に前進するのではなく、上体の動きや踏み込みのフェイントを繰り返した。相手の反応を引き出しながら攻撃のタイミングをずらし、ジャブやボディストレートで少しずつ距離を詰めていった。
この攻撃の組み立てが、中谷に自由な左ストレートを打たせないための重要な要素となった。
2.中谷の反撃を許しても冷静さを失わなかった中谷は中盤以降、左ストレートや右フックを使って積極的に攻めた。特に8~10ラウンドは、井上にプレッシャーをかける場面が増えている。
10ラウンドには中谷の右フックが井上にヒットし、一瞬動きを止める場面もあった。相手の強打を受けても井上は慌てず、ガードとフットワークを使って立て直した。
この冷静さは、KOを狙う攻撃力とは別の意味で井上の強みを示している。
3.終盤の11ラウンドで攻勢を取り戻した試合の重要な転換点となったのが11ラウンドだ。
井上はワンツーから右ストレート、さらに右アッパーを織り交ぜた連続攻撃で中谷を押し戻した。中谷も応戦したものの、井上が攻撃の主導権を取り戻す時間が続いた。
12ラウンドでも井上はジャブとストレートを使い分け、相手の強振をガードで処理した。最終盤に大きく崩れなかったことが、判定勝ちを確実にするうえで重要だった。
4.KOに固執しない試合運び井上は試合後のインタビューで、勝ちに徹する戦いを実行したと説明している。
KO率の高い井上に対して、ファンが期待するのは豪快なフィニッシュだ。しかし、相手が中谷のような実力者であれば、無理に倒しにいくことが逆にリスクとなる。
相手の攻撃を見極め、必要な場面でポイントを取り、危険な局面では無理をしない。この判断こそが、今回の勝利を支えた大きな要素だった。
「勝ちに徹する。今夜、勝つのは僕ですという戦いを実行しました」
井上尚弥・試合後のリング上インタビュー/日刊スポーツ報道
【両者の戦績比較】井上尚弥と中谷潤人の実績・関係性を整理
今回の対戦が特別な意味を持った理由は、単に日本人同士の世界タイトルマッチだったからではない。
井上と中谷は、ともに世界トップクラスの評価を受けていた無敗の選手。異なる階級で実績を積み上げた2人が、スーパーバンタム級の舞台で直接対決したこと自体が、世界的な注目を集める要因となった。
両者と大会を取り巻く関係性| 比較項目 | 井上尚弥 | 中谷潤人 |
|---|---|---|
| 試合前の通算戦績 | 32勝0敗 | 32勝0敗 |
| 試合前KO数 | 27KO | 24KO |
| 所属 | 大橋ジム | M.Tジム |
| 試合時の階級 | スーパーバンタム級 | スーパーバンタム級 |
| 試合後の通算戦績 | 33勝0敗 | 32勝1敗 |
| 試合後KO数 | 27KO | 24KO |
| 今回の結果 | 判定勝ち | 判定負け |
試合後の戦績は2026年5月2日の試合終了時点。Boxing Newsの試合結果報道に基づく。
両者とも試合前は32戦全勝。井上は27KO、中谷は24KOという高いKO率を誇っていた。
井上は今回の勝利で33戦全勝を維持。一方、中谷はプロ初黒星を喫し、32勝1敗となった。
日刊スポーツによると、今回の対戦は日本人同士による史上初の4団体統一タイトル戦でもあった。米老舗ボクシング専門誌「The Ring」のパウンド・フォー・パウンドランキングでは、試合前に井上が2位、中谷が6位に位置していたと報じられている。
世界トップクラスの評価を受けた2人が無敗のまま激突したことが、この試合の歴史的な価値を高めた。
【試合後コメント】井上尚弥と中谷潤人が語った激闘の意味
試合終了後、井上は勝利への安堵と中谷への敬意を示した。一方、敗れた中谷も相手の技術を高く評価し、今回の経験を振り返った。
井上尚弥「中谷選手だからこそ勝ちに価値がある」井上は試合後、リング上で応援への感謝を述べ、対戦を引き受けた中谷にも敬意を表した。
「本当に気持ちの強いファイターです。PFPランキングに入っている選手だからこそ、今日の勝ちに価値があると思います」
井上尚弥・試合後インタビュー/スポーツナビ報道
井上は中谷との対戦を約1年前から呼びかけていたと説明。双方が無敗を維持してきたからこそ実現した試合だったと振り返った。
また、今後の予定については、すぐに次戦を決めるのではなく、少し休んでから大橋会長や父親と相談したいとの意向を示した。
東京ドームの観客に向けて、再びこの場所に戻ってきたいという希望も口にしている。
中谷潤人「さすがチャンピオン、うまさがあった」中谷は試合直後の会見で、井上の技術について率直な評価を示した。
「さすがチャンピオン、うまさがあった。つくっていくボクシングが上手だった」
中谷潤人・試合後会見/日刊スポーツ報道
中谷は序盤の戦い方についても説明し、井上に学習する機会を与えないために、慎重な組み立てを選んだと語った。
井上がフェイントを交えながらタイミングを探ってきたことについては、その駆け引きを楽しみながら戦っていたという。
試合後は眼窩底骨折の疑いが報じられ、病院に向かう前に短時間の会見に応じた。その後、8月の日刊スポーツの報道では、試合中の負傷について骨折と手術を経験したことも明かされている。
試合中に笑顔を見せた理由この試合で印象的だったのが、8ラウンド付近で両者が攻撃をかわし合い、試合中に笑顔を見せる場面だった。
中谷は後日、テレビ番組でこの場面を振り返り、互いに狙っているパンチが当たらないという駆け引きが楽しかったと説明した。
激しい世界戦でありながら、相手の技術を認め、純粋にボクシングの攻防を楽しんでいたことが伝わるエピソードだ。
勝者と敗者に分かれたものの、試合後に両者が健闘をたたえ合った姿も、この一戦が単なる勝敗以上の意味を持ったことを物語っている。
【Lemino BOXING 2026全試合結果】東京ドーム大会の全7試合を一覧
2026年5月2日の興行は、井上尚弥対中谷潤人だけではない。井上拓真対井岡一翔の世界タイトルマッチや、武居由樹の試合など、国内外の注目選手が出場する全7試合が組まれた。
スポーツナビの大会速報とJBCの試合報告書に基づく主な結果は次の通り。
| 試合順 | 対戦カード | 結果 |
|---|---|---|
| 第1試合 | 富岡浩介 vs 田中将吾 | 判定ドロー |
| 第2試合 | 森脇唯人 vs ユン・ドクノ | 森脇が2-1判定勝ち |
| 第3試合 | 下町俊貴 vs 阿部麗也 | 下町が2-0判定勝ち |
| 第4試合 | 佐々木尽 vs 田中空 | 佐々木が2-1判定勝ち |
| 第5試合 | 井上拓真 vs 井岡一翔 | 井上拓真が3-0判定勝ち |
| 第6試合 | 武居由樹 vs ワン・デカン | 武居が2-0判定勝ち |
| 第7試合 | 井上尚弥 vs 中谷潤人 | 井上が3-0判定勝ち |
第5試合では、WBC世界バンタム級王者の井上拓真が井岡一翔を迎え撃った。
井岡は世界4階級制覇の実績を持つ実力者。経験豊富な挑戦者に対し、井上拓真は118-108、119-107、120-106という大差の採点で勝利し、王座防衛を果たした。
武居由樹も判定勝ちで大会を盛り上げる第6試合では武居由樹がワン・デカンと対戦。77-75、77-75、76-76の採点で2-0の判定勝ちを収めた。
そしてメインイベントの井上尚弥対中谷潤人戦では、無敗同士の世界トップ選手による12ラウンドの技術戦が実現。7試合全体を通して、日本ボクシング界の層の厚さを示す興行となった。
【井上尚弥と中谷潤人の試合結果】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:井上尚弥と中谷潤人の試合結果はどうなりましたか?
A1:2026年5月2日に東京ドームで開催された世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチは、井上尚弥が中谷潤人に3-0の判定勝ちを収めました。12ラウンドを戦い抜き、4団体統一王座を防衛しています。
Q2:井上尚弥と中谷潤人の公式判定スコアは何点ですか?
A2:公式採点は116-112、115-113、116-112です。3人のジャッジ全員が井上尚弥を支持しました。
Q3:井上尚弥は今回の試合で何度目の防衛に成功しましたか?
A3:4団体統一王者として7度目の防衛に成功しました。団体別ではWBCとWBOが8度目、WBAとIBFが7度目の防衛です。
Q4:中谷潤人は今回の試合で初めて負けたのですか?
A4:はい。試合前は32戦全勝でしたが、井上に判定で敗れ、プロ初黒星となりました。試合終了時点の通算戦績は32勝1敗です。
Q5:井上尚弥と中谷潤人の試合はKO決着でしたか?
A5:いいえ。KOやTKOではなく、12ラウンド終了後の判定決着です。井上が3-0で勝利しました。
Q6:中谷潤人は試合後に何とコメントしましたか?
A6:「さすがチャンピオン、うまさがあった」と井上の技術を評価しました。また、序盤の駆け引きについても、井上に学習させないことを意識した戦い方だったと説明しています。
Q7:2026年5月2日のLemino BOXINGでは何試合行われましたか?
A7:全7試合です。井上尚弥対中谷潤人をメインイベントに、井上拓真対井岡一翔、武居由樹対ワン・デカンなどの注目カードが実施されました。
2026年5月2日の東京ドーム決戦は、井上尚弥が中谷潤人を3-0の判定で下し、世界スーパーバンタム級4団体統一王座の7度目の防衛を達成した。
公式採点は116-112、115-113、116-112。中谷が中盤から終盤にかけて圧力を強める場面もあったが、井上は距離の調整、フェイント、ボディ攻撃、終盤の反撃によって勝利を手繰り寄せた。
今回の試合で注目すべきなのは、井上がKOだけを追い求めず、相手の長所を理解したうえで勝利を優先する戦い方を選んだことだ。圧倒的な攻撃力に加え、試合の状況に応じて戦術を変更できる能力が改めて示された。
一方、中谷にとってはプロ初黒星となったものの、井上を相手に12ラウンドを戦い抜いた経験は今後のキャリアを考えるうえで大きな意味を持つ。試合後に語った井上への敬意や、再び挑戦したいという姿勢にも注目が集まる。
井上は試合後、今後について休養を取ってから陣営と相談する意向を示した。中谷との再戦についても、本人は後日のテレビ出演で「もちろん、やりたい」と希望を語っている。
勝敗は井上のものとなった。しかし、両者が見せた高度な駆け引きと技術の応酬は、日本ボクシング界を代表する名勝負の一つとして記憶される一戦となった。
主な事実確認資料:日本ボクシングコミッション公式試合報告書、スポーツナビ、Boxing News、日刊スポーツ、TBS NEWS DIG。