BTSのグラミー賞に関する疑問は、まずノミネートと受賞を区別すると理解しやすくなります。
レコーディング・アカデミーの公式アーティストページには、BTSの受賞数が0、ノミネート数が5と掲載されています。2026年の第68回グラミー賞までの記録を確認しても、この数字に変更はありません。
つまり、BTSはグラミー賞で5回候補に選ばれた実績を持つものの、個人・グループとしてのグラミー受賞には至っていないのです。
また、2026年2月には「Golden」がK-POP史上初のグラミー受賞を果たしました。ただし、これはBTSの受賞ではなく、楽曲の作詞・作曲に携わったクリエイターに贈られた賞です。
この違いを押さえることが、2026年のK-POPとグラミー賞の関係を理解する出発点になります。
【歴代ノミネート一覧】DynamiteからYet To Comeまで5回の記録

BTSが初めてグラミー賞にノミネートされたのは、2021年開催の第63回授賞式です。
その後、2022年の第64回、2023年の第65回と3年連続で候補に選ばれました。
特に注目したいのは、2023年に3部門でノミネートされたことです。単一のヒット曲だけでなく、ミュージックビデオや他アーティストとの共同制作作品まで評価の対象が広がりました。
| 授賞式 | ノミネート部門 | 対象作品 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 第63回・2021年 | 最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞 | Dynamite | 受賞ならず |
| 第64回・2022年 | 最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞 | Butter | 受賞ならず |
| 第65回・2023年 | 最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞 | My Universe(Coldplay、BTS) | 受賞ならず |
| 第65回・2023年 | 最優秀ミュージック・ビデオ賞 | Yet To Come | 受賞ならず |
| 第65回・2023年 | 最優秀アルバム賞 | Music of the Spheres(Coldplay) | 受賞ならず |
出典:レコーディング・アカデミー公式BTSアーティスト記録。
1. Dynamite:BTS初のグラミー賞ノミネート2020年に発表された「Dynamite」は、BTSにとって歴史的な楽曲です。
全編英語で歌われたディスコポップ調の楽曲で、アメリカの音楽市場でも大きな成功を収めました。
2021年の第63回グラミー賞では、最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞にノミネート。BTSがグラミー賞の候補に選ばれた初めてのケースとなりました。
K-POPアーティストが世界的なヒットを生み出すだけでなく、アメリカの主要音楽賞で正式に評価されたという点でも大きな意味を持ちます。
2. Butter:2年連続のノミネート2021年にリリースされた「Butter」は、BTSの国際的な人気をさらに押し上げた作品です。
軽快なリズムとキャッチーなメロディーが特徴で、Billboard Hot 100でも首位を獲得しました。
2022年の第64回グラミー賞では、前年に続いて最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞にノミネートされました。
2年連続で同じ部門に選ばれたことは、BTSが一過性の話題性だけでなく、継続的に評価される存在になっていたことを示しています。
しかし、この年も受賞には届きませんでした。
3. My Universe:Coldplayとの共同作品で3年連続ノミネート2021年に発表された「My Universe」は、イギリスのロックバンドColdplayとBTSが共同制作した楽曲です。
異なる音楽文化を背景に持つアーティスト同士が協力し、英語と韓国語を織り交ぜた作品として話題になりました。
2023年の第65回グラミー賞では、最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞にノミネートされています。
この作品の注目点は、BTSが単独名義の楽曲だけでなく、国際的なアーティストとのコラボレーションでも評価されたことです。
4. Yet To Come:ミュージックビデオ部門への挑戦2022年に発表された「Yet To Come(The Most Beautiful Moment)」も、2023年のグラミー賞にノミネートされました。
対象となったのは最優秀ミュージック・ビデオ賞です。
それまでのポップ・デュオ/グループ部門とは異なるカテゴリーで候補に選ばれたことは、BTSの表現活動が楽曲だけでなく映像作品にも広がっていたことを示しています。
5. Music of the Spheres:Coldplayのアルバムが最優秀アルバム賞に5回目のノミネートとして記録されているのが、Coldplayのアルバム『Music of the Spheres』です。
この作品は第65回グラミー賞の最優秀アルバム賞にノミネートされました。
BTSは収録曲「My Universe」に参加したアーティストとして関係しています。
ここで注意したいのは、BTS自身のアルバムが最優秀アルバム賞にノミネートされたわけではないという点です。対象作品はあくまでColdplayの『Music of the Spheres』です。
それでも、BTSの公式アーティストページにはノミネート実績の一つとして掲載されています。
【授賞式の出演歴】BTSはグラミー賞で何回パフォーマンスした?
BTSとグラミー賞の関係は、ノミネートだけではありません。
授賞式への出演も、グループの歴史における大きな転換点でした。
特に2019年から2022年にかけて、プレゼンター、他アーティストとの共演、単独パフォーマンスと段階的に存在感を高めています。
- 2019年・第61回: 授賞式のプレゼンターとして出演。
- 2020年・第62回: Lil Nas Xらと「Old Town Road All-Stars」に参加。グラミー賞のステージでパフォーマンスした初のK-POPアクトとなった。
- 2021年・第63回: 「Dynamite」を披露。韓国・ソウルからの映像演出で授賞式を盛り上げた。
- 2022年・第64回: 「Butter」を披露。ジェームズ・ボンドをイメージした演出も話題になった。
ここで重要なのは、2019年の出演はプレゼンターであり、パフォーマンスではなかったことです。
演奏・歌唱を伴う出演としては、2020年から2022年まで3年連続となります。
2021年の「Dynamite」は、会場に直接出席することが難しい状況のなか、ソウルから授賞式の舞台を再現する形で披露されました。
2022年の「Butter」では、会場内の観客席を使った演出も取り入れられ、グループとしてのステージ表現を世界に発信しました。
BTSは単にノミネートされる側にとどまらず、グラミー賞の番組演出に参加するアーティストとしても存在感を示してきたのです。
【受賞できない理由】BTSが5回ノミネートされてもトロフィーを獲得できなかった背景
世界的な人気、チャート実績、国際的な影響力を考えると、BTSがグラミー賞を受賞していないことに疑問を持つ人は少なくありません。
ただし、グラミー賞は音楽の売上やストリーミング再生数だけで受賞者を決定する賞ではありません。
1. ファン投票ではなく音楽業界関係者による投票レコーディング・アカデミーの公式説明によると、グラミー賞は音楽制作に携わる専門家を中心とした投票会員によって選考されます。
選考は大きく次の段階に分かれています。
1. 作品のエントリー: アーティストやレコード会社などが対象作品を提出する。
2. 資格・部門審査: 専門家が応募資格や適切なカテゴリーを確認する。
3. ノミネート投票: 投票会員が候補作品を選ぶ。
4. 最終投票: ノミネートされた作品から受賞者を決定する。
投票会員は、自分が専門性を持つジャンルや分野を中心に投票する仕組みです。
また、アカデミーは芸術面・技術面の評価に基づく投票を求めています。
つまり、世界的に人気のある楽曲であっても、その人気だけで受賞が保証されるわけではありません。
2. ノミネートと受賞では評価の段階が異なるノミネートされることと、最終的に受賞することは別の競争です。
BTSは3年連続で最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞に選ばれましたが、各年にはほかの有力アーティストも候補に並んでいました。
最終投票で最多票を獲得した作品が受賞するため、候補入りした段階で高い評価を得ていても、最後の結果は異なります。
なお、グラミー賞は公式に順位付きのランキングや準優勝者を発表する制度ではありません。BTSが各年に何位だったのか、何票差で敗れたのかといった情報も公表されていません。
3. K-POPと欧米音楽市場の評価構造をめぐる議論BTSの受賞歴を語る際、避けて通れないのがK-POPの国際的な評価とグラミー賞の関係です。
BTSは世界規模で人気を獲得し、アメリカの主要チャートでも成功を収めました。
一方、グラミー賞におけるK-POPの存在感は、商業的な人気と必ずしも同じ速度で拡大してきたわけではありません。
このギャップを背景に、アジアのアーティストが主要部門でどのように評価されるべきかという議論が続いています。
ただし、BTSの過去の落選理由を特定の国籍や言語に対する偏見だけで説明することもできません。個々の投票内容や判断理由は公開されていないためです。
重要なのは、グラミー賞の選考制度と、世界の音楽市場における評価のあり方を分けて考えることです。
【2026年の新展開】GoldenがK-POP初受賞!BTSとの違いは?
2026年2月1日、ロサンゼルスで開催された第68回グラミー賞で、K-POPの歴史を変える出来事が起こりました。
アニメーション映画『KPop Demon Hunters』の楽曲「Golden」が、最優秀ビジュアルメディア楽曲賞(Best Song Written for Visual Media)を受賞したのです。
これはK-POPの楽曲制作に携わったクリエイターにとって、歴史的な受賞となりました。
Goldenの受賞者は誰?「Golden」は、劇中の架空のガールズグループHUNTR/Xの楽曲として登場します。
歌唱を担当したのは、次の3人です。
- EJAE
- Audrey Nuna
- REI AMI
受賞したのは、EJAEをはじめとする楽曲の作詞・作曲に携わったクリエイターたちです。
ここで重要なのは、最優秀ビジュアルメディア楽曲賞が歌手のパフォーマンスだけを評価する部門ではなく、映像作品のために制作された楽曲の作詞・作曲を評価する賞だという点です。
そのため、Goldenの受賞を「BTSがグラミー賞を受賞した」と解釈するのは誤りです。
また、2026年の受賞部門は2027年新設のアジアン・ポップ部門とは異なります。
BTSとGoldenの違いを比較| 比較項目 | BTS | Golden |
|---|---|---|
| 受賞状況 | 5回ノミネート・0回受賞 | 2026年に受賞 |
| 代表作品 | Dynamite、Butter、My Universe | Golden |
| 主な対象部門 | ポップ・デュオ/グループ、映像賞、アルバム賞 | ビジュアルメディア楽曲賞 |
| 受賞対象 | 受賞なし | 作詞・作曲者 |
| 歴史的意義 | K-POP初期のグラミー進出を牽引 | K-POP楽曲制作陣による初受賞 |
「Golden」の成功は、K-POPがグラミー賞で評価される可能性を具体的に示しました。
一方で、BTSが長年挑戦してきた主要なポップ部門での受賞とは異なる道筋であることも押さえておきたいポイントです。
【2027年の不参加表明】新設アジアン・ポップ部門にBTSが示した意思
2026年7月29日、BTSの7人は2027年の第69回グラミー賞に向けて、自分たちの作品を審査対象に提出しないことを発表しました。
この決定は、6月16日にレコーディング・アカデミーが発表した新部門「Best Asian Pop Music Performance」をめぐる議論と重なっています。
新設される最優秀アジアン・ポップ・パフォーマンス賞とは?この部門は2027年のグラミー賞から導入される新カテゴリーです。
K-POP、J-POP、C-POPなど、アジアの音楽市場から生まれた、またはアジア市場で広く認知されているポップ音楽のパフォーマンスを対象としています。
主な選考条件は次のとおりです。
- アジアの音楽市場に由来する、または広く認知されているポップ音楽であること。
- 韓国語、日本語、中国語など、アジアの言語が楽曲の中で意味のある役割を果たしていること。
- 歌唱を伴うシングルまたは楽曲であること。
- 受賞対象はパフォーマンスを担当したアーティストであること。
特に注目したいのは、全編英語の楽曲はこの部門の対象外であり、適切なほかのカテゴリーで審査されるという規定です。
つまり、K-POPアーティストだから自動的にこの部門に振り分けられるわけではありません。アーティストの国籍ではなく、音楽のスタイルと使用言語などが判断材料になります。
BTSが発表したメッセージ7人はそれぞれのSNSで同じ趣旨の声明を発表しました。
作品が地域や言語によって分けられるのではなく、音楽そのものとして聴かれ、愛されることを願っています。
この発言は、新設部門によってアジアの音楽が地域別に分類されることへの懸念を示したものとして受け止められました。
ただし、声明そのものでは新設部門の名称を直接挙げていません。発表時期や地域・言語に言及した内容から、新カテゴリーをめぐる議論との関連が広く指摘されています。
レコーディング・アカデミー側の反応BTSの発表を受け、レコーディング・アカデミーのCEOであるHarvey Mason Jr.も声明を発表しました。
同氏はBTSの決定を残念に思うとしながらも、その判断を尊重する姿勢を示しています。
加えて、新しいアジアン・ポップ部門はアジアの音楽をほかのジャンルから切り離すためではなく、その多様性と成長を称えるためのものだと説明しました。
特に重要なのが、ジャンル別部門への応募と主要部門への応募は両立できるという説明です。
つまり、新設されたアジアン・ポップ部門に作品を提出したとしても、最優秀アルバム賞、最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞などの主要部門に応募できなくなるわけではありません。
この点は、BTS側が問題視した地域・言語による分類と、アカデミー側が説明するカテゴリー拡充の目的との間に、認識の違いがあることを示しています。
2027年の不参加は永久的なグラミー拒否なのか?現段階で確認できるのは、BTSが2027年の審査対象となる作品の提出を見送ると発表したことです。
これは授賞式への出席そのものを永久に拒否したという意味ではありません。
また、2028年以降も応募しないと決めたわけではありません。
したがって、「BTSがグラミー賞から完全撤退した」と解釈するのは正確ではありません。
2027年2月7日に予定されている第69回授賞式では、BTSの新作が候補になる可能性はありませんが、今後の参加については別の判断になります。
【BTSのグラミー賞】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:BTSはグラミー賞を何回受賞していますか?
BTSのグラミー賞受賞回数は、2026年11月現在0回です。ノミネートは通算5回で、2021年から2023年まで3年連続で候補に選ばれています。
Q2:BTSがグラミー賞にノミネートされた曲は何ですか?
主な楽曲は「Dynamite」「Butter」「My Universe」「Yet To Come」です。また、Coldplayとの共同作品に関連してアルバム『Music of the Spheres』も最優秀アルバム賞にノミネートされています。
Q3:BTSはグラミー賞の授賞式で何回パフォーマンスしましたか?
2020年の「Old Town Road All-Stars」、2021年の「Dynamite」、2022年の「Butter」の計3回です。2019年にはプレゼンターとして出演しています。
Q4:K-POPで初めてグラミー賞を受賞したのは誰ですか?
2026年2月の第68回グラミー賞で「Golden」が最優秀ビジュアルメディア楽曲賞を受賞しました。EJAEら作詞・作曲に携わったクリエイターが受賞者です。
Q5:BTSは2027年のグラミー賞に出席しないのですか?
発表されたのは、2027年のグラミー賞への作品提出を見送るという決定です。授賞式への物理的な出席を拒否したという発表ではありません。
Q6:BTSが2027年のグラミー賞に参加しない理由は何ですか?
メンバーは音楽が地域や言語によって分けられるのではなく、作品そのものとして評価されることを望む趣旨の声明を発表しました。新設アジアン・ポップ部門との関連が広く報じられています。
2026年11月現在、BTSのグラミー賞の公式記録は5回ノミネート、0回受賞です。
「Dynamite」「Butter」「My Universe」「Yet To Come」といった作品は、グループが世界の音楽市場で築いてきた実績を象徴しています。
加えて、Coldplayの『Music of the Spheres』を通じた最優秀アルバム賞へのノミネートもあり、BTSの音楽活動は複数のカテゴリーで評価されてきました。
2026年には「Golden」がK-POP初のグラミー受賞を実現し、ジャンルとしての歴史にも新たなページが加わりました。
一方、2027年に向けたBTSの作品提出見送りは、単なる受賞辞退という話ではありません。音楽を地域や言語で区分することと、ジャンルごとの芸術性を評価することの間にある問題を浮き彫りにしました。
【プロの結論】BTSのグラミー賞を評価するときに見るべき3つのポイント1. ノミネート数と受賞数を混同しない
5回のノミネートは公式に記録された実績です。ただし、受賞歴は別であり、現時点では0回です。Goldenの受賞をBTSの受賞として扱わないことも大切です。
2. グラミー賞の評価と世界的な人気を同じ基準で考えない
グラミー賞は専門家による投票を中心とした音楽賞です。チャート順位やファンの支持はアーティストの影響力を示す重要な指標ですが、それだけで受賞が決まるわけではありません。
3. 2027年の動向では新設部門の運用に注目する
アジアン・ポップ部門がアジアの音楽を正当に評価する新しい機会となるのか、それとも既存の主要部門との関係で新たな議論を生むのか。今後のノミネートや受賞結果が、その評価を左右するでしょう。
BTSがグラミー賞を受賞する日は、2026年11月現在まだ訪れていません。しかし、5回のノミネートと世界の音楽業界に与えた影響は、すでにグループの大きな功績として記録されています。
2027年の応募見送りを経て、BTSとグラミー賞の関係がどのように変化するのか。今後の音楽業界を考えるうえでも、見逃せないテーマです。
主な情報源・公式記録
- レコーディング・アカデミー:BTS公式ノミネート・受賞記録、2027年新設カテゴリー、投票制度。
- 聯合ニュース:BTSの歴代ノミネート、2027年の作品提出見送りに関する報道。
- レコーディング・アカデミー:2026年「Golden」受賞記録。
- AP通信:BTSの不参加表明とレコーディング・アカデミーCEOの反応。
- レコーディング・アカデミー:2019年のプレゼンター出演、2021年・2022年のパフォーマンス記録。