メッツの数値を調べなくても、運動中の身体の反応から強度を推測する方法があります。
代表的なのが「トークテスト」です。会話のしやすさを確認することで、中強度と高強度を大まかに区別できます。
トークテストによる見分け方トークテストでは、運動しながら普通に会話できるかどうかを確認します。
- 低強度: 普通に会話でき、歌うこともできる。
- 中強度: 会話はできるが、歌い続けるのは難しい。
- 高強度: 息継ぎが必要になり、数語話すだけでも呼吸を整えたくなる。
米国疾病予防管理センター(CDC)も、運動強度を測る簡便な方法としてトークテストを紹介しています。中強度では会話ができても歌うことは難しく、高強度では呼吸のために途中で休まずに話せる言葉が数語程度になると説明しています。
ただし、トークテストはあくまで目安です。呼吸器の疾患がある人や、会話そのものが難しい状況では、別の判断方法が必要になります。
息が上がるだけで激しい運動と判断できる?息が上がることは運動強度を判断する手掛かりですが、それだけで高強度と断定することはできません。
例えば、階段を上った直後に息が上がる場合でも、その人の体力や階段の高さ、上る速度によって負荷は違います。
また、運動不足の人は、比較的軽い活動でも呼吸が乱れることがあります。
判断するときは、次の3点を確認すると分かりやすくなります。
1. 運動中にどの程度呼吸が速くなるか。
2. 文章や会話を続けられるか。
3. 運動を終えた後、どの程度の疲労を感じるか。
息切れが普段と比べて異常に強い場合は、単なる運動不足と決めつけず、身体の異変として考える必要があります。
心拍数と運動強度の関係心拍数も運動強度を判断する際に利用できる指標です。
一般的に、運動の負荷が高くなると心拍数も上昇します。スマートウォッチや活動量計を使えば、運動中の心拍数の変化を記録できます。
ただし、心拍数には個人差があります。
同じ速度で走っても、年齢や体力、健康状態によって心拍数は異なります。加えて、厚生労働省の安全対策資料では、一部の降圧薬などが心拍数に影響するため、心拍数だけでは運動強度を適切に判断できない場合があると説明しています。
そのため、心拍数を利用するときは次の点を意識しましょう。
- 運動前の安静時心拍数を確認する。
- 運動中の心拍数の変化を記録する。
- 同じ運動をしたときの心拍数を比較する。
- 呼吸や疲労感も合わせて判断する。
特に服薬中の人は、一般的な心拍数の目安をそのまま当てはめず、医師に適切な運動強度を相談することが大切です。
【厚生労働省の基準を確認】激しい運動は毎日必要なのか?

6メッツ以上が高強度運動に該当すると聞くと、「健康のためには毎日激しい運動をしなければならない」と考える人もいる可能性があります。
しかし、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、すべての人に高強度運動を求めているわけではありません。
むしろ、個人の体力や健康状態に応じて活動量を調整し、今より少しでも身体を動かすことを基本的な考え方としています。
成人に推奨される身体活動量厚生労働省の成人向け推奨シートでは、次のような目安が示されています。
身体活動について
- 3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上。
- 歩行またはそれと同等以上の活動を1日60分以上。
- 1日約8,000歩以上が目安。
運動について
- 3メッツ以上の運動を週4メッツ・時以上。
- 息が弾み、汗をかく程度の運動を週60分以上。
筋力トレーニングについて
- 週2〜3日を目安に実施する。
ここでいう身体活動には、スポーツや計画的な運動だけでなく、通勤、買い物、家事などの生活活動も含まれます。一方、運動は健康や体力の維持・増進を目的として計画的、定期的に行う活動です。
6メッツ以上を目指さなくても健康づくりはできる重要なのは、厚生労働省の成人向け推奨が、3メッツ以上の身体活動を中心に構成されていることです。
つまり、6メッツ以上の激しい運動をしなければ健康づくりができないわけではありません。
例えば、普段あまり運動していない人なら、次のような取り組みから始められます。
- 通勤時に少し速く歩く。
- エレベーターではなく階段を利用する。
- 昼休みに散歩する。
- 休日にウォーキングをする。
- 週に数回、無理のない筋力トレーニングを行う。
こうした活動を積み重ねることも身体活動量の確保につながります。
高強度運動は短時間でも大きな負荷をかけられる一方、身体への負担も増えます。健康づくりのために、必ずしも強度を上げる必要はありません。
【安全に続けるために】激しい運動を始める際の注意点
高強度運動には体力向上を目指せるメリットがありますが、運動習慣のない人が突然強い負荷をかけることは避けるべきです。
厚生労働省の安全対策資料でも、運動を始める前から実施後まで、段階的に体調を確認することが推奨されています。
運動初心者は中強度から始める普段から運動していない人は、いきなりランニングや激しい筋力トレーニングを行う必要はありません。
まずはウォーキングや軽い体操などから始め、身体が慣れてきたら運動時間や頻度、強度を少しずつ増やしていきます。
運動後に強い疲労が残ったり、翌日まで身体の痛みが続いたりする場合は、負荷が大きすぎないか見直しましょう。
運動前後の準備も大切高強度運動を行う場合は、準備運動と整理運動を取り入れます。
- 運動前: 軽いウォーキングや動的ストレッチなどで身体を温める。
- 運動中: 水分補給を行い、呼吸や身体の状態を確認する。
- 運動後: 急に動きを止めず、5〜10分程度の軽い動作でクールダウンする。
特に運動後に突然動きを止めると、血圧低下や不整脈などにつながる可能性があるため、徐々に運動強度を下げることが大切です。
こんな症状が出たら運動を中止する運動中に次のような異変が起きた場合は、直ちに運動を中止してください。
- 胸の痛みや圧迫感
- 動悸や異常な脈拍
- めまいやふらつき
- 冷や汗
- いつもと違う強い疲労感
- 関節や筋肉の強い痛み
- 通常とは異なる強い息切れ
症状が続く場合は医療機関に相談してください。胸痛や強い呼吸困難など、緊急性が疑われる症状がある場合は救急対応が必要です。
また、高血圧や心臓病などの持病がある人、運動に影響する薬を服用している人は、新たに高強度運動を始める前に医師へ相談しましょう。
【激しい運動とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:激しい運動とは何メッツ以上ですか?
A1:厚生労働省の身体活動・運動ガイド2023では、6メッツ以上が高強度運動に分類されます。6メッツ未満で3メッツ以上は中強度運動です。
Q2:ジョギングは激しい運動に入りますか?
A2:入ります。厚生労働省の資料では、ゆっくりしたジョギングが6メッツ、一般的なジョギングが7メッツとされています。いずれも高強度運動に該当します。
Q3:息が上がれば激しい運動ということですか?
A3:必ずしもそうではありません。息が上がることは運動強度を判断する目安ですが、体力や健康状態によって感じ方が異なります。会話のしやすさや心拍数なども合わせて確認しましょう。
Q4:ウォーキングは激しい運動になりますか?
A4:一般的なウォーキングは中強度に満たない場合もありますが、速度や歩き方によって強度は上がります。厚生労働省の資料では、平地を93m/分で歩くやや速歩が4.3メッツ、107m/分のかなり速い歩行が5.0メッツです。
Q5:健康のためには毎日激しい運動をする必要がありますか?
A5:必要ありません。厚生労働省は成人に対して、3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上行うことなどを推奨しています。自分の体力や健康状態に合わせて、中強度の運動も組み合わせましょう。
Q6:短時間の激しい運動でも意味はありますか?
A6:短時間でも身体活動として意味があります。ただし、運動の効果は強度だけで決まるものではなく、頻度や継続時間、運動の種類なども関係します。無理に強度を上げるより、継続できる方法を選ぶことが大切です。
激しい運動とは、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」において、6メッツ以上に分類される高強度の身体活動を指します。
代表例は、ジョギング、ランニング、サッカー、バスケットボール、高強度の筋力トレーニングなどです。
一方、運動強度は活動の種類だけで決まるものではありません。走る速度や身体の状態、体力によっても負荷は変わります。
判断に迷ったときは、次の3つを意識してください。
- メッツ数で運動の客観的な強度を確認する。
- トークテストや呼吸、心拍数で自分の負担を確認する。
- 高強度運動にこだわらず、無理なく続けられる活動を選ぶ。
特に重要なのは、激しい運動をすること自体を目的にしないことです。ウォーキングや中強度の運動を継続することも、健康づくりに役立ちます。
6メッツ以上という数値は、激しい運動を見分けるための基準であり、すべての人が到達しなければならない目標ではありません。 自分の体力と健康状態を把握し、長く続けられる運動習慣をつくることが、健康づくりの基本です。
主な参考資料:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」、健康日本21アクション支援システム「e-ヘルスネット」、国立健康・栄養研究所「身体活動のメッツ(METs)表」、米国疾病予防管理センター(CDC)「Measuring Physical Activity Intensity」。