ホーム 芸能ニュース・ゴシップ 将棋の棋士編入試験とは?2026年の受験資格・費用・合格条件と制度改正を徹底解説

将棋の棋士編入試験とは?2026年の受験資格・費用・合格条件と制度改正を徹底解説

倉持 玲奈 倉持 玲奈 • 更新: • 公開: • 読了約 25 分
目次

将棋の棋士編入試験は、奨励会の三段リーグを突破する一般的なルートとは別に、アマチュアや女流棋士がプロ棋士(四段)を目指せる制度です。受験資格を得るには、プロ公式戦で「10勝以上かつ勝率6割5分以上」という厳しい基準を満たす必要があり、その後も新四段5人との五番勝負で3勝しなければなりません。加えて、受験料は50万円(税別)に設定されています。

2026年は、この制度をめぐって将棋界が大きく動いた年でもあります。福間香奈女流五冠が2度目の編入試験に挑戦して不合格となった一方、西山朋佳女流四冠は白玲通算5期の新制度を利用して棋士への編入資格を獲得し、2027年4月1日付での四段昇段が決まりました。また、6月5日の日本将棋連盟通常総会では「受験資格を3回得れば棋士になれる」という制度改正案が否決されています。

【基本知識】将棋の棋士編入試験とは?プロ棋士になれる仕組みを解説

編入試験将棋

棋士編入試験とは、日本将棋連盟が定める条件を満たしたアマチュアや女流棋士が、現役のプロ棋士と対局し、一定の勝ち星を挙げることで棋士になる資格を得られる制度です。

一般的にプロ棋士になるには、日本将棋連盟の養成機関である奨励会に入会し、三段リーグで上位2人に入ることが基本となります。三段リーグは半年ごとに開催され、限られた昇段枠をめぐって厳しい競争が繰り広げられます。

しかし、奨励会を退会した人や、奨励会に所属した経験がない強豪アマチュアにも、プロ棋士としての実力を証明する機会を設ける必要があるとの考えから、別ルートとして編入試験が整備されました。

制度の始まりは2005年の瀬川晶司氏の特例

棋士編入への道が注目されるきっかけとなったのは、2005年の瀬川晶司氏による特例の編入試験です。

元奨励会三段だった瀬川氏は、アマチュアとしてプロ公式戦で好成績を残し、プロ棋士への編入を求めました。その実績が認められ、特例の試験が実施され、5番勝負で3勝2敗として合格しました。

この出来事を経て、2006年に棋士編入試験制度が正式に制度化されました。その後、2014年には今泉健司氏が制度化後初の合格者となり、アマチュアから棋士になる新たな道が具体化していきました。

棋士と女流棋士は同じ資格ではない

編入試験を理解するうえで欠かせないのが、棋士と女流棋士の制度上の違いです。

将棋界では、一般に「プロ」と呼ばれる存在にも、棋士と女流棋士という異なる資格があります。棋士は男女共通の資格であり、順位戦や竜王戦をはじめとする棋士向け公式戦に参加します。一方、女流棋士は女流棋戦を中心に活動する別の制度です。

女流棋士としてタイトルを獲得していても、それだけで棋士になれるわけではありません。原則として奨励会を突破するか、棋士編入試験に合格する必要がありました。

ただし、2025年6月には白玲通算5期の女流棋士にフリークラスへの編入資格を与える新制度が承認されています。2026年には西山朋佳がこの制度の適用第1号となり、棋士への新たな道が現実のものになりました。

【受験資格を完全解説】10勝以上・勝率6割5分以上と特定棋戦の条件

棋士編入試験の最初の関門は、受験資格を獲得することです。

日本将棋連盟の公式規定では、アマチュアまたは女流棋士が、棋士の参加する公式戦で所定の成績を収めた場合に受験資格を得られます。代表的な基準が「10勝以上、かつ勝率6割5分以上」です。

10勝・勝率6割5分の意味

この基準は、単に10勝すればよいというものではありません。10勝以上を挙げたうえで、勝率も65%以上に達していなければなりません。

また、日本将棋連盟の規定には「最も良いところから見て」という表現があります。これは、単純に直近10局だけを切り取って判断するという意味ではなく、公式戦の成績のうち最も良い区間を基準に評価する仕組みです。

例えば、10勝5敗なら勝率は約66.7%となり、10勝以上という条件と勝率65%以上という条件の両方を満たします。一方、10勝6敗では勝率62.5%となるため、勝利数を満たしていても勝率条件には届きません。

重要なのは、アマチュアや女流棋士が棋士の参加する公式戦で勝ち星を積み重ねなければならない点です。相手は現役のプロ棋士であり、対局機会そのものも限られています。一定期間にわたり高い勝率を維持することは、非常に難しい条件です。

指定棋戦で結果を残す別の受験資格

10勝以上・勝率6割5分以上という成績基準以外にも、特定の棋戦で所定の成績を収めることで受験資格を得るルートがあります。

日本将棋連盟が公表している対象棋戦と成績条件は、次のとおりです。

  • 竜王ランキング戦:優勝
  • 王位戦:挑戦者決定リーグ入り
  • 王座戦:挑戦者決定トーナメントベスト8
  • 棋王戦:挑戦者決定トーナメントベスト8
  • 棋聖戦:決勝トーナメントベスト8
  • 朝日杯将棋オープン戦:本戦トーナメントベスト4
  • 銀河戦:決勝トーナメントベスト4
  • NHK杯戦:本戦トーナメントベスト4
  • 新人王戦:優勝

この指定棋戦による資格については、四段以上の正会員である棋士の推薦も必要です。

予選を勝ち抜くだけではなく、プロ棋士が集まる本戦や挑戦者決定リーグで上位に進む必要があるため、こちらも極めて高い実力が大切です。

受験資格を獲得しても自動的にプロにはなれない

誤解されやすいのが、受験資格の獲得とプロ棋士への昇段は別の段階だという点です。

10勝・勝率6割5分以上の条件を満たした段階では、あくまで編入試験に挑戦できる権利を得ただけです。その後、新四段5人との五番勝負に進み、3勝を挙げなければなりません。

つまり、受験資格を獲得する実力と、実際にプロ棋士として活動するための実力の両方が問われる二段階の仕組みです。

【試験の流れと費用】五番勝負・3勝合格・受験料50万円の実態

受験資格を獲得した後は、日本将棋連盟に申請し、正式な試験日程を組みます。ここでは申請期限、試験官、対局方式、費用を整理します。

申請期限は受験資格獲得後1か月以内

受験資格を得た場合、申請できる期間は資格に該当する成績を収めた後から1か月以内です。

資格を取得しただけで長期間その権利が保留されるわけではありません。受験するかどうかを判断し、必要書類を準備して期限内に申請する必要があります。

申請書類には、連盟所定の受験申込書、顔写真付き履歴書、最終学業成績証明書、健康診断書などがあります。原則として、師匠にあたる推薦棋士を通じて日本将棋連盟に提出します。

試験官は新四段5人

試験では、プロになったばかりの若手棋士である新四段5人が試験官を務めます。日本将棋連盟の規定では、棋士番号順に選出されます。

若手棋士が試験官になる理由は、受験者と試験官の実力を比較しやすい環境を整えることにもあります。プロとして活動を始めたばかりの棋士との真剣勝負を通じて、受験者が棋士として戦える水準にあるかを判断します。

五番勝負で3勝すれば合格

試験は5局の対局で構成される五番勝負です。5人の試験官と原則として1人1局ずつ対局し、先に3勝すれば合格となります。反対に3敗した時点で不合格です。

  • 対局数:最大5局
  • 合格条件:3勝
  • 不合格条件:3敗
  • 持ち時間:各3時間
  • 対局開始:申請受理月の2か月後から
  • 対局頻度:原則として1か月に1局
  • 対局会場:東京・将棋会館または関西将棋会館が原則

第1局は振り駒で先手・後手を決定し、第2局以降は先後を交代します。対局は日本将棋連盟の公式戦対局規定に準じて行われます。

3勝すれば5局すべてを指す必要はありません。例えば3勝1敗となった時点で合格が決まります。

受験料50万円は税別、実際の負担額は55万円

棋士編入試験の受験料は50万円(税別)です。消費税10%を加えると55万円になります。

決して小さくない金額ですが、試験を受けるには、この費用のほかにも対局に向けた研究や準備、会場への移動などが必要です。

2019年に受験資格を得た折田翔吾氏は、受験料54万円(当時の消費税込み)を用意するため、クラウドファンディングを実施しました。将棋への挑戦を支援する人々から資金を集めた事例としても知られています。

合格後はフリークラスの四段になる

五番勝負で合格すると、フリークラスへの編入資格を得ます。四段として棋士になる時期は、原則として4月1日付または10月1日付です。

ただし、編入試験の合格は、すぐに順位戦のC級2組へ参加できることを意味しません。まずはフリークラスの棋士として活動を始め、その後は所定の成績条件を満たすことで順位戦への参加を目指すことになります。

【歴代合格者と人物相関】今泉健司・折田翔吾・小山怜央の実績

棋士編入試験の歴史を振り返ると、制度化後に合格した代表的な人物として、今泉健司、折田翔吾、小山怜央の3人が挙げられます。

いずれもアマチュアとして実績を積み、プロ棋士との対局を経て受験資格を獲得した人物です。それぞれ異なる経歴を持っており、編入制度が複数のキャリアから棋士への道を開いてきたことが分かります。

歴代合格者と2026年までの主な挑戦者
人物 主な経緯・受験時期 試験結果・その後
瀬川晶司 2005年の特例試験 3勝2敗で合格。2006年に四段昇段
今泉健司 2014年に制度化後初の受験 3勝1敗で合格。2015年4月に四段昇段
折田翔吾 2019年11月から2020年2月 3勝1敗で合格。2020年4月に四段昇段
小山怜央 2022年11月から2023年2月 3勝1敗で合格。2023年4月に四段昇段
福間香奈 2022年、2026年に受験 いずれも0勝3敗で不合格
西山朋佳 2024年から2025年に受験 2勝3敗で不合格。その後、白玲5期の別制度で編入資格を獲得

※瀬川晶司氏は制度化前の2005年に実施された特例試験の合格者です。今泉、折田、小山の3人が、制度化後の編入試験の代表的な合格者です。

今泉健司:制度化後の道を切り開いた最初の合格者

今泉健司氏は2014年12月8日、石井健太郎四段との第4局に勝利し、3勝1敗で合格しました。

奨励会三段まで進んだ経験を持ちながら、いったんプロ入りを断念。その後、アマチュアとして全国大会で実績を重ね、棋士編入試験に挑みました。

制度化後初の受験者として合格したことは、編入試験が単なる例外的な制度ではなく、実際にプロ棋士への道として機能することを示した出来事でした。

折田翔吾:将棋YouTube活動とプロ入りを両立

折田翔吾氏は、将棋YouTubeチャンネル「アゲアゲ将棋実況」などで知られる人物です。

2019年8月30日、プロ公式戦で10勝2敗の成績を収め、受験資格を獲得しました。その後、2019年11月に編入試験が始まり、2020年2月25日の第4局で本田奎五段に勝利。3勝1敗で合格しました。

奨励会を退会した後も将棋の普及活動や指導、動画配信を続けながらプロ入りを目指した経歴は、多くの将棋ファンの関心を集めました。

小山怜央:奨励会未経験からプロ棋士になった異色の存在

小山怜央氏は、棋士養成機関の奨励会に入会した経験がないアマチュアとして、現行の編入試験制度で初めて合格した人物です。

2022年9月13日、朝日杯将棋オープン戦で中川大輔八段に勝利し、受験資格を獲得しました。

2022年11月28日の第1局、12月12日の第2局に連勝した後、2023年1月20日の第3局で敗戦。しかし、2月13日の第4局で横山友紀四段に勝利し、3勝1敗で合格しました。

2023年4月1日付で四段となり、奨励会を経由しなくても、公式戦での実力を証明することで棋士になれることを示しました。

この3人の経歴から分かるのは、編入試験が特定のキャリアだけを対象とする制度ではないということです。奨励会経験者、将棋普及活動を続けてきた人、奨励会未経験のアマチュアまで、異なる背景を持つ人がプロへの道を切り開いています。

【2026年最新】福間香奈の編入試験と西山朋佳の女性初の棋士への道

2026年の将棋界では、女性が棋士になるための制度と、その実現可能性が大きな注目を集めました。

中心となったのが、福間香奈と西山朋佳です。2人は女流棋界を代表する実力者でありながら、棋士になるための従来の制度では、それぞれ異なる壁に直面してきました。

福間香奈:2026年の2度目の挑戦も0勝3敗

福間香奈は2022年に初めて棋士編入試験を受験し、徳田拳士四段、上野裕寿四段、狩山幹生四段との対局で3連敗しました。

その後、2025年10月6日に王位戦予選で浦野真彦八段を破り、再び受験資格を獲得します。この時点で、棋士参加公式戦の成績は直近の良い区間で10勝5敗となり、勝率66.7%で基準を満たしました。

2026年1月から始まった2度目の試験では、次のような結果となりました。

  • 第1局・2026年1月:山下数毅四段に敗北。
  • 第2局・2026年2月16日:片山史龍四段に敗北。
  • 第3局・2026年3月27日:生垣寛人四段に敗北。

3連敗となったため、今回も0勝3敗で不合格となりました。

神戸新聞の報道によると、福間は試験終了後、1局目と2局目は完敗だったと振り返り、3局目についても自分から崩れてしまったと語っています。また、将棋の勉強に集中できた背景として家族の存在への感謝を述べました。

福間は再挑戦について前向きな気持ちを残しており、2026年6月に提案された制度改正案の行方も注目されていました。しかし、その改正案は後述するように否決されています。

西山朋佳:2勝3敗の悔しさから新たな編入資格へ

西山朋佳も、従来の棋士編入試験に挑戦した女流棋士です。

2024年から2025年にかけて五番勝負に臨み、試験官の若手棋士を相手に2勝を挙げました。しかし、第5局で敗れ、最終成績2勝3敗で不合格となりました。

3勝すれば合格という条件にあと1勝届かなかったものの、プロ棋士と互角に渡り合う力を示した挑戦でした。

その後、西山に新たな道を開いたのが、2025年6月の日本将棋連盟通常総会で承認された「白玲通算5期」の編入制度です。

女流棋戦の最高位に位置づけられる白玲を通算5期獲得し、クイーン白玲の資格を得た女流棋士に、フリークラス棋士への編入資格を与える仕組みです。

2026年10月10日、白玲通算5期を達成

西山は2026年10月10日、ヒューリック杯第6期白玲戦七番勝負第5局で福間香奈に勝利しました。シリーズを4勝1敗で制し、白玲を防衛。これにより通算5期となり、クイーン白玲の資格を獲得しました。

この実績によって、2025年に承認された新制度の条件を満たし、棋士への編入資格を得ました。

ただし、資格を獲得した時点では、棋士になる権利を実際に行使するかどうかは保留していました。

そして2026年10月26日、西山は東京・将棋会館で記者会見を開き、編入資格を行使すると発表しました。日本将棋連盟も同日、正式にフリークラス棋士への編入を公表しています。

「もっと強い方と戦いたい。もっと上を目指す戦いをしたい」

会見で西山が示したのは、棋士としてさらに高いレベルの対局に挑みたいという意欲でした。

四段日付は2027年4月1日。棋士番号356として活動を開始する予定です。これにより、将棋界で初めての女性棋士が誕生することになります。

ここで注意したいのは、西山が2025年の編入試験に合格したわけではないという点です。従来の五番勝負は2勝3敗で不合格でした。その後、白玲通算5期という別の制度上の条件を満たして棋士への編入資格を獲得したのです。

【2026年6月の重要ニュース】棋士編入試験の制度改正案はなぜ否決された?

2026年の棋士編入試験をめぐる大きなニュースが、6月5日の日本将棋連盟通常総会で否決された制度改正案です。

提案されたのは、棋士編入試験の受験資格を通算3回獲得した人に対し、五番勝負での合格を経ずにフリークラス四段への昇段資格を与えるという内容でした。

改正案の内容は「受験資格を3回得れば棋士」

現行制度では、受験資格を獲得するたびに五番勝負を受け、3勝しなければ棋士になれません。

これに対して2026年5月20日に公表された改正案は、受験資格を3回獲得するほどの実績を残した人物なら、棋士としての棋力や資質が十分に認められるとして、試験を免除する方向のものでした。

女流棋士だけでなく、アマチュアにも適用される構想でした。

とりわけ注目されたのが福間香奈です。福間は2022年と2026年に編入試験を受験しましたが、どちらも不合格でした。もし改正案が可決され、その後もう一度受験資格を得れば、五番勝負を突破しなくても棋士になれる可能性があったためです。

6月5日の通常総会で反対多数により否決

しかし、2026年6月5日に開かれた日本将棋連盟の通常総会では、改正案は反対多数で否決されました。

テレビ朝日の報道によると、総会には棋士や一部の女流棋士など196人が出席しました。会員の意見を問うた結果、受験資格を3回獲得しただけで棋士になれる制度は認められませんでした。

否決によって、従来の棋士編入試験における「五番勝負で3勝」という基本条件は維持されています。

なぜ制度改正に慎重な意見が出たのか

制度改正を考えるうえで重要なのは、受験資格の獲得と試験合格の意味が異なることです。

受験資格を3回獲得することは、プロ公式戦で優れた成績を繰り返し残した証明になります。一方、編入試験は新四段との直接対局によって、棋士としての実力を確かめる仕組みです。

つまり、改正案は「継続的に高い成績を残したことを実力の証明とする」という考え方であり、現行制度は「資格獲得に加えて、プロ棋士との直接対局でも結果を求める」という考え方です。

この2つの評価方法のどちらを重視するかが、制度をめぐる大きな論点になりました。

なお、今回否決されたのは、あくまで受験資格を3回獲得すれば自動的に四段になれるという改正案です。2025年に承認された白玲通算5期の編入制度まで取り消されたわけではありません。

この違いが、2026年の将棋界を理解するうえで非常に重要です。

【プロの結論】棋士編入試験は実力・継続性・直接対決の3段階で評価する制度

棋士編入試験の本質は、単に強いアマチュアをプロに昇格させる制度ではありません。プロ公式戦での継続的な実績と、実際のプロ棋士との対局結果を組み合わせて、棋士として活動する資格を判断する仕組みです。

受験資格を得ること自体が高い実績

最初に、10勝以上・勝率6割5分以上という基準を満たすには、プロ棋士との対局で安定して勝ち続ける必要があります。

偶然の一勝や短期的な好調だけでは、簡単に到達できません。公式戦の参加機会が限られるアマチュアや女流棋士にとっては、成績を積み上げる段階から大きな挑戦です。

五番勝負はプロとしての適応力を試す場

受験資格を得た後の五番勝負では、異なる5人の若手棋士と対局します。特定の棋士との相性だけでなく、複数の相手に対して実力を発揮できるかが問われます。

3勝という条件は、1局だけの勝利では足りず、複数の対局で結果を出さなければならないことを意味します。

今泉、折田、小山の3人が3勝1敗で合格した一方、福間は2度とも0勝3敗、西山は2勝3敗で不合格となりました。この結果は、受験資格を獲得することと、試験を突破することの間に大きな壁があることを示しています。

制度の変更は棋士への入口をどう設計するかという問題

2025年に導入された白玲通算5期の制度と、2026年に否決された受験資格3回の制度改正案は、似ているようで異なる考え方に基づいています。

白玲通算5期の制度は、女流棋戦で長期間にわたって最高水準の成績を残すことを評価する仕組みです。一方、受験資格3回の案は、棋士編入試験の資格を繰り返し得た実績をもって、五番勝負を免除しようとするものでした。

前者は承認され、西山朋佳が適用第1号となりました。後者は否決され、従来の五番勝負による選抜方式が維持されています。

この違いを整理すると、2026年時点の棋士への道は、単純に一つの試験だけで説明できなくなっていることが分かります。

棋士を目指す人にとって重要なのは、自分がどの制度の対象になるのか、必要な実績をどのように積み上げるのか、そして資格取得後にどのような条件で棋士になれるのかを正確に把握することです。

【よくある質問】将棋の棋士編入試験に関するFAQ

Q1:棋士編入試験の受験資格は10勝すれば得られますか?
A1:10勝以上に加えて勝率6割5分以上が必要です。単に10勝しただけでは条件を満たしません。また、対象となる公式戦の成績は最も良い区間を基準に評価されます。指定棋戦で所定の成績を収める別ルートもあります。

Q2:棋士編入試験の受験料はいくらですか?
A2:日本将棋連盟の公式規定では50万円(税別)です。消費税10%を加えた金額は55万円です。受験資格を得た後、1か月以内に申請する必要があります。

Q3:棋士編入試験は5局すべて勝たなければいけませんか?
A3:いいえ。最大5局のうち3勝すれば合格です。3敗した時点で不合格となり、3勝または3敗で結果が確定します。

Q4:受験資格を3回獲得すれば自動的にプロになれますか?
A4:いいえ。2026年6月5日の日本将棋連盟通常総会で、受験資格を3回得れば四段になれるという改正案は否決されました。従来の編入試験では五番勝負で3勝する必要があります。

Q5:福間香奈と西山朋佳は2026年に棋士になりましたか?
A5:福間香奈は2026年の2度目の編入試験も0勝3敗で不合格となりました。一方、西山朋佳は白玲通算5期の新制度による編入資格を行使し、2027年4月1日付でフリークラス四段となることが決まりました。西山は従来の五番勝負に合格したわけではありません。

将棋の棋士編入試験は、アマチュアや女流棋士がプロ棋士になるための重要な制度です。受験資格には10勝以上・勝率6割5分以上という厳しい成績基準があり、受験料50万円(税別)を支払って申請した後、新四段5人との五番勝負で3勝しなければなりません。

歴代の代表的な合格者には今泉健司、折田翔吾、小山怜央がいます。3人はいずれも3勝1敗で合格し、四段としてプロ入りしました。

2026年は福間香奈の2度目の挑戦、西山朋佳による白玲通算5期の制度を利用した編入資格の行使、そして受験資格3回で自動的に四段とする制度改正案の否決など、将棋界の制度を考えるうえで重要な出来事が相次ぎました。

特に、西山朋佳が2027年4月1日付で女性初の棋士となることは、将棋界にとって歴史的な転換点です。

今後、棋士を目指すアマチュアや女流棋士は、従来の棋士編入試験だけでなく、白玲通算5期による新しい編入制度も視野に入れる必要があります。制度ごとの受験資格、申請期限、合格条件を区別して理解することが、将棋界のプロ入りルートを正しく把握するための第一歩です。

主な根拠資料: 日本将棋連盟「棋士編入試験規定」、2026年の通常総会に関する共同通信・テレビ朝日の報道、神戸新聞の福間香奈の試験結果報道、日本将棋連盟の2026年10月26日付西山朋佳の編入発表。

同じカテゴリの記事

倉持 玲奈

テクノロジー分野を担当。一次情報(公式発表・公式サイト)と発表日を必ず確認し、推測は推測と明記する編集方針に従っています。

おすすめの関連記事