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【開催経緯】なぜKISSは2022年にもう一度日本へ戻ってきたのか?

伊部 拓海 伊部 拓海 • 更新: • 公開: • 読了約 22 分
目次

2022年の追加来日を理解するには、2019年から続く「END OF THE ROAD WORLD TOUR」の経緯を振り返る必要がある。

このツアーは、2019年1月31日にカナダ・バンクーバーでスタートしたKISSのファイナルワールドツアーだ。当初は2021年夏の終了が予定されており、2019年12月の日本公演も、ファンにとって最後の来日ツアーになると受け止められていた。

2019年の「最後の来日」が再び実現した背景

2019年のジャパンツアーは、仙台、東京、盛岡、大阪、名古屋の全国5都市を巡る規模だった。

当時、ポール・スタンレーは各会場で日本のファンに別れを告げる趣旨の言葉を伝えていた。ところが、その約3か月後に新型コロナウイルスの感染拡大が世界を襲う。

2020年3月以降、予定されていた公演は延期を余儀なくされ、ツアー全体のスケジュールも大幅に変更された。

2021年夏にツアーは再開したものの、世界各地で公演の延期や中止が続いた。その後、2022年4月から南米ツアーが再始動し、KISSは再び世界の大規模会場でライブを行うようになった。

ここで生まれたのが、日本への再訪という選択肢だった。

2022年8月2日、ユニバーサル ミュージックは11月30日の東京ドーム公演を正式発表。2019年の別れから約3年を経て、追加公演という形で日本のファンと再会することになった。

ポール・スタンレーが語った東京再訪の理由

2022年10月に行われたインタビューで、ポール・スタンレーはパンデミックによってツアーの終了時期が変わったこと、そしてライブ活動の再開後にファンの存在を改めて実感したことを説明している。

その発言の中で、東京についても次のように語っている。

これが最後のツアーではあるけれど、それを終えるまでにもう一度訪れないわけにいかない都市がいくつもあることがわかった。東京もそのひとつだというわけさ。

この発言は、BARKSに掲載された音楽評論家・増田勇一氏のライブレポートにも収録されている。

つまり、2022年の日本公演は、引退宣言を撤回して再び通常のツアーを始めたという話ではない。延期によって延長されたファイナルツアーの中で、訪れるべき場所として東京が選ばれたのである。

【公演概要】東京ドーム公演の基本情報とメンバー4人の関係

kiss日本公演2022


KISS END OF THE ROAD WORLD TOUR

開催終了
2022年11月30日(水)
会場:東京ドーム

開場17:30/開演19:00

公演形式:一夜限りのアンコール来日公演

この公演に出演したのは、ポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、トミー・セイヤー、エリック・シンガーの4人。

オリジナルメンバーだけで構成されたバンドではないが、長年にわたりKISSのステージを支えてきた現行ラインナップである。

メンバーと公演での役割
メンバー 担当・役割 公演での見どころ
ポール・スタンレー ギター・ボーカル フロントマンとして観客を牽引。「Love Gun」の空中移動
ジーン・シモンズ ベース・ボーカル 「I Love It Loud」での火吹きパフォーマンス
トミー・セイヤー ギター ギターソロや「Cold Gin」でのロケット演出
エリック・シンガー ドラム・ボーカル ドラムソロやピアノ弾き語りの「Beth」

この4人の関係を理解するうえで重要なのが、オリジナルメンバーのエース・フレーリーとピーター・クリスが、この時点では在籍していなかったという点だ。

トミーとエリックは、単なるサポートメンバーという位置づけではない。ポール自身も、2人の献身があったからこそKISSが活動を続けられたという趣旨の評価をしている。

2022年の東京ドーム公演は、この4人が作り上げたKISSのステージを日本で見られる最後の機会となった。

主催・招聘を担当したウドー音楽事務所

公演の企画・招聘・制作を担当したのは、ウドー音楽事務所だ。

同社は海外アーティストの来日公演を数多く手がけており、今回も公演特設ページで日程、座席区分、料金、先行受付などを案内していた。

2022年8月3日からウドー・プレミアムメンバーズの先行受付が始まり、一般発売は9月10日だった。

【全19曲】KISS東京ドーム公演2022のセットリスト完全版

2022年11月30日の東京ドーム公演では、KISSの代表曲を中心に、アンコール3曲を含む全19曲のプログラムが披露された。

公式レポートを掲載したユニバーサル ミュージックやBARKS、uDiscoverMusicの公演記録を照合すると、ライブの流れは次のようになる。

本編16曲

1. Detroit Rock City(デトロイト・ロック・シティ)
2. Shout It Out Loud(狂気の叫び)
3. Deuce(ジュース)
4. War Machine(ウォー・マシーン)
5. Heaven's on Fire(ヘヴンズ・オン・ファイアー)
6. I Love It Loud(アイ・ラヴ・イット・ラウド)
7. Say Yeah(セイ・イェー)
8. Cold Gin(コールド・ジン)
9. Lick It Up(リック・イット・アップ)
10. Calling Dr. Love(悪魔のドクター・ラヴ)
11. Makin' Love(メイキン・ラヴ)
12. Psycho Circus/100,000 Years(サイコ・サーカス/10万年の彼方)
13. God of Thunder(雷神)
14. Love Gun(ラヴ・ガン)
15. I Was Made for Lovin' You(ラヴィン・ユー・ベイビー)
16. Black Diamond(ブラック・ダイヤモンド)

アンコール3曲

17. Beth(ベス)
18. Do You Love Me(ドゥ・ユー・ラヴ・ミー)
19. Rock and Roll All Nite(ロックンロール・オール・ナイト)

出典:BARKSの公演レポート、uDiscoverMusicのライブレポート。

セットリストで注目したい5つのポイント

1. オープニングは「Detroit Rock City」

KISSのライブを象徴する定番曲でスタート。開演前にはレッド・ツェッペリンの「Rock and Roll」が流れ、おなじみのアナウンスに続いて幕が落ちるという劇的な演出が用意されていた。

2. 「I Love It Loud」でジーン・シモンズが火を吹く

KISSのステージといえば、ジーンの火吹きパフォーマンス。東京ドーム公演でも観客の視線を集める演出となった。

3. 「Makin' Love」は特別な選曲

今回の公演で特に注目されたのが「Makin' Love」だ。

BARKSのライブレポートによると、この曲はツアー全体でも久しぶりの選曲で、同ツアーでは初めて取り上げられた楽曲だった。

4. 「Love Gun」ではポールが空中移動

ステージ演出もKISSらしさを発揮した。ポール・スタンレーが観客の頭上を移動する派手なパフォーマンスは、視覚的な見どころのひとつだった。

5. 最後は「Rock and Roll All Nite」と大量の紙吹雪

アンコールの最後を飾ったのは、バンドを代表するロックアンセム。大量の紙吹雪が舞う中、東京ドーム公演は締めくくられた。

「19曲」と「20曲」の表記があるのはなぜ?

セットリストを調べると、20曲と記載しているデータベースも存在する。

主な理由は「Psycho Circus」と「100,000 Years」の数え方にある。

今回のライブでは、「Psycho Circus」からドラムソロを挟んで「100,000 Years」へ展開する構成だった。公演レポートでは2曲をひとまとまりのプログラムとして掲載する場合がある一方、セットリスト投稿サイトでは独立した2曲として登録されている。

そのため、演奏された楽曲を個別に数えるか、メドレー形式の演奏枠として数えるかによって数字に違いが生じる。

19曲という表記は、公演レポートに掲載されたプログラムの数え方に基づくものだ。

【チケット料金】SS席・S席・A席はいくらだった?

2022年の東京ドーム公演では、一般指定席のほか、SSバルコニー席やVIPパッケージが用意されていた。

ウドー音楽事務所が公表した料金は以下の通り。

一般席の料金一覧



SS席

25,000円



SSバルコニー席

25,000円



1ドリンク・軽食付き、専用トイレ、専用入場ゲート


S席

20,000円



A席

15,000円



すべて税込・座席指定

SS席とSSバルコニー席は同額の25,000円だったが、バルコニー席には飲食サービスや専用設備が付いていた。

VIPパッケージの料金

一般席とは別に、特別な体験を含むVIPパッケージも販売されていた。

VIPプラン 料金
Ultimate KISS Army VIP Experience 400,000円
KISS VIP Silver Package 150,000円
KISS VIP SOUNDCHECK PACKAGE 20,000円

注意したいのは、SOUNDCHECK PACKAGEの20,000円は公演チケット代とは別だったことだ。

つまり、20,000円を支払えば通常の座席チケットも付いてくるという仕組みではない。

一般席とVIPプランは購入条件が異なるため、当時のチケット情報を振り返る際には、この点を区別する必要がある。

なお、当時の公演では未就学児童の入場は不可とされ、車椅子で来場する場合はS席を購入する案内も掲載されていた。

2026年現在、これらは終了した2022年公演の歴史的な販売価格であり、今後のKISS関連イベントのチケット料金を示すものではない。

【ライブレポート】東京ドームで繰り広げられた最後のロックンロール・サーカス

2022年11月30日の東京ドーム公演は、単なるヒット曲の連続ではなかった。

音楽評論家の増田勇一氏によるオフィシャルライブレポートでは、約2時間にわたるステージが、KISSにしか作れないロックンロール・サーカスとして描かれている。

開演はおなじみのアナウンスから

開演予定時刻は19時。

実際に場内が暗転したのは、予定時刻を約8分過ぎた頃だった。

レッド・ツェッペリンの「Rock and Roll」が流れた後、KISSのライブではおなじみのアナウンスが響く。

「You Wanted the Best!? You Got the Best! The Hottest Band in the World, KISS!」

ステージを覆っていた幕が落ち、メンバーが登場。炎や火花を伴う演出とともに「Detroit Rock City」が始まった。

長年KISSを追い続けてきたファンにとっても、初めてライブを見る観客にとっても、バンドの魅力を一気に伝えるオープニングだった。

演奏だけでは終わらないKISSのステージ

今回の公演では、音楽と視覚的な演出が一体になっていた。

- ジーン・シモンズの火吹きパフォーマンス
- トミー・セイヤーのギター演出
- エリック・シンガーのドラムソロ
- ポール・スタンレーの空中移動
- 巨大なステージ装置や映像演出

特に「God of Thunder」ではジーンの空中パフォーマンスと血吹きが披露され、「Love Gun」ではポールが観客の頭上を移動する演出が展開された。

こうした仕掛けは、KISSが長年磨いてきたライブエンターテインメントの象徴でもある。

「Beth」で生まれた静かな感動

派手な演出が続くステージの中で、特別な意味を持っていたのがアンコール1曲目の「Beth」だった。

エリック・シンガーがピアノを弾きながら歌うこの楽曲は、火柱や爆音とは対照的な、柔らかな時間を生み出した。

BARKSのライブレポートによれば、その演奏が終わった後、ポールは観客に対して、メンバーがどれほどファンを愛しているかを伝えたいという趣旨の言葉を述べた。

そして4人が横一列に並び、ポールの「We bow to you」という言葉を合図に、観客へ深々と頭を下げた。

50年に及ぶバンドの歴史を考えれば、この場面は単なるライブ演出以上の意味を持つ。

KISSがファンに向けて示した感謝と敬意が、目に見える形になった瞬間だった。

最後に伝えられた言葉

ステージを去る際、ポールが口にしたのは「We love you! Good night!!」だった。

2019年の日本公演では別れを意識させる言葉が語られていたが、2022年の東京ドームでは、直接的な「サヨナラ」という表現は使われなかった。

それでも、4人が頭を下げた光景や最後の言葉には、これまでの日本での活動を締めくくる重みがあった。

ユニバーサル ミュージックが翌12月1日に公開した公演レポートにも、紙吹雪の中で最後の曲が終わり、客席から「ありがとう!」という声が聞こえた場面が記録されている。

大声を出すことが制限されていた当時のライブ環境で、思わず漏れた感謝の言葉。演者と観客の双方にとって、忘れがたい終幕だった。

【2019年と2022年を比較】KISSの最後の日本公演は何が違った?

2019年と2022年の公演は、どちらも「END OF THE ROAD WORLD TOUR」の一環だった。

そのため、2022年にまったく新しいツアーが始まったわけではない。むしろ、同じファイナルツアーの延長線上にある公演だったことが重要だ。

2つの日本公演の比較
比較項目 2019年 2022年
公演形式 全国ジャパンツアー 一夜限りの追加公演
公演都市 仙台・東京・盛岡・大阪・名古屋 東京のみ
東京ドーム公演日 12月11日 11月30日
ツアー名 END OF THE ROAD WORLD TOUR END OF THE ROAD WORLD TOUR
セットリスト 代表曲中心の構成 代表曲中心の構成
特徴的な選曲 Let Me Go, Rock'n'Roll Makin' Love
公演の意味 最後の日本ツアーとして告知 最後の日本公演として実現

2019年の日本公演は、全国5都市を巡るツアーだった。ユニバーサル ミュージックの当時の発表では、仙台公演のセットリストはアンコールを含め20曲とされている。

対して2022年は東京ドーム1公演のみ。公演回数や開催規模の違いが明確だった。

演奏曲の違いは大きかったのか?

興味深いのは、2019年12月11日の東京ドーム公演と2022年11月30日の公演を比べても、基本的な演奏内容に大きな変更はなかったことだ。

BARKSのライブレポートによると、2019年に演奏された「Let Me Go, Rock'n'Roll」が外れ、2022年には「Makin' Love」が組み込まれたことが、主な変更点だった。

また、ジーンの火吹きパフォーマンスのタイミングや、「Psycho Circus」からドラムソロ、「100,000 Years」へ続く構成にも変化があった。

つまり、2022年公演の価値は、セットリストが大幅に刷新されたことではない。

同じファイナルツアーを再び日本で体験できたこと、そして最後の日本公演として完成度を高めたステージを見届けられたことにある。

KISSは2022年に本当に解散したのか?

ここは検索ユーザーが誤解しやすい部分だ。

2022年11月30日は、KISSが解散した日ではない。

東京ドーム公演の時点では「END OF THE ROAD WORLD TOUR」が継続中であり、ツアーは2023年まで続いた。

そして2023年12月2日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで最後のツアー公演を開催。肉体を持つメンバーによるツアー活動に幕を下ろした。

その最終公演ではデジタルアバターによる新しいKISSの展開も発表されている。

さらに2026年4月には、ポール・スタンレーらがアバターショーの計画について説明し、ラスベガスでの2028年公開を予定していることが報じられた。

このように整理すると、2022年の東京ドーム公演は、KISSというブランドそのものの終わりではなく、長年ステージに立ってきた現行のツアーラインナップが日本で演奏する最後の機会だったと理解できる。

【よくある質問】KISSの日本公演2022に関するFAQ

Q1:KISSの2022年日本公演はいつ開催されましたか?

2022年11月30日(水)に東京ドームで開催されました。開場は17時30分、開演は19時です。「END OF THE ROAD WORLD TOUR」の一夜限りのアンコール来日公演でした。

Q2:KISSの2022年東京ドーム公演のセットリストは何曲ですか?

公演レポート上のプログラムはアンコール3曲を含む全19曲です。「Detroit Rock City」「Shout It Out Loud」「I Was Made for Lovin' You」「Rock and Roll All Nite」などが演奏されました。「Psycho Circus」と「100,000 Years」の数え方によっては20曲とする記録もあります。

Q3:KISSの東京ドーム公演のチケット料金はいくらでしたか?

SS席とSSバルコニー席が25,000円、S席が20,000円、A席が15,000円でした。すべて税込です。SSバルコニー席には1ドリンク・軽食、専用トイレ、専用入場ゲートが付いていました。

Q4:2022年のKISS公演は最後の日本公演だったのですか?

はい。2022年11月30日の東京ドーム公演は、現行ラインナップによる最後の日本公演として記録されています。2019年のジャパンツアーが最後になる予定でしたが、パンデミックによるツアー延長で追加来日が実現しました。

Q5:2019年の日本公演と2022年の日本公演は何が違いますか?

2019年は仙台、東京、盛岡、大阪、名古屋の5都市を巡るツアーでした。2022年は東京ドームのみの一夜限りの公演です。演奏曲の基本構成は共通していましたが、「Makin' Love」の追加や演出の変更などがありました。

Q6:KISSのメンバーは2022年の東京ドーム公演後に活動を終了しましたか?

2022年に活動を終了したわけではありません。ファイナルツアーは2023年12月2日のニューヨーク公演まで続きました。その後はデジタルアバターによる新たな展開が発表されています。

KISSの2022年日本公演は、2019年の最後のジャパンツアーから約3年を経て実現した、特別なアンコール公演だった。

新型コロナウイルスによる世界的なライブ活動の中断がなければ、実現しなかった可能性もある。

11月30日の東京ドームでは、ポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、トミー・セイヤー、エリック・シンガーの4人が、全19曲のプログラムを通じてKISSの魅力を披露した。

チケット料金はSS席25,000円、S席20,000円、A席15,000円。ライブでは「Detroit Rock City」から「Rock and Roll All Nite」まで、代表曲と派手な演出が組み合わされた。

特に印象深いのは、アンコールの「Beth」で生まれた静かな時間と、4人が観客に深々と頭を下げた場面だろう。

2023年にはニューヨークで最後のツアー公演を終え、2026年現在、KISSはデジタルアバターという新しい表現にも挑戦している。しかし、東京ドームで生身の4人が演奏した2022年11月30日のステージは、別の形で置き換えられるものではない。

KISSの2022年日本公演は、単に最後に来日したライブではなく、長いツアーの終着点に向かうバンドと日本のファンが、もう一度同じ場所で向き合えた記念すべき一夜だった。

主な参考資料:ウドー音楽事務所「KISS 2022年来日公演」公演特設ページ、ユニバーサル ミュージック「一夜限りの来日公演レポート」、BARKS「KISSにしか作れない完璧なロックンロール・サーカス」、uDiscoverMusic「KISS、2022年来日公演ライブレポート」。

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伊部 拓海
コンテンツディレクター 伊部 拓海
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映画・ドラマ担当。公開資料と一次報道を照合し、ネタバレの扱いには線引きルールを設けています。

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