日本で高齢者は何歳からと考えられているのでしょうか。
一般的には、65歳以上が高齢者とされています。これは人口統計や社会保障政策などで広く採用されている基準です。
ただし、65歳という数字は、すべての法律や行政制度に共通する絶対的な定義ではありません。
例えば、次のような違いがあります。
- 65歳以上:一般的な高齢者の年齢区分
- 65歳以上75歳未満:前期高齢者
- 75歳以上:後期高齢者
- 70歳以上:運転免許更新時の高齢者講習の対象
- 75歳以上:運転免許更新時の認知機能検査の対象
つまり、質問への簡潔な回答は65歳以上ですが、何の制度について調べているかによって基準が変わります。
内閣府の2026年版高齢社会白書も、高齢者という言葉には一律の定義がなく、制度や統計の目的に応じて異なる区分が使われることを説明しています。
【年齢別に解説】前期高齢者65〜74歳と後期高齢者75歳以上の違い

日本では、高齢者を大きく2つの年齢区分に分ける考え方が定着しています。
それが「前期高齢者」と「後期高齢者」です。
この区分は医療制度や高齢社会に関する統計を理解するうえで欠かせません。
前期高齢者は65歳以上75歳未満前期高齢者とは、原則として65歳以上75歳未満の人を指します。
65歳を迎えた時点で一般的な高齢者の年齢区分に入りますが、健康状態や仕事、社会参加の状況には大きな個人差があります。
実際、65〜74歳の人には、現役で働き続ける人、地域活動に参加する人、趣味や旅行を楽しむ人など、さまざまな生活スタイルがあります。
2026年版高齢社会白書によれば、2025年の65〜69歳の就業率は54.5%、70〜74歳では36.2%でした。
65歳を迎えたからといって、仕事や社会活動から一律に引退するわけではありません。
後期高齢者は75歳以上後期高齢者とは、75歳以上の人を指します。
この年齢は、特に医療保険制度において大きな意味を持ちます。
75歳になると、原則として、それまで加入していた国民健康保険や勤務先の健康保険などから後期高齢者医療制度へ移行します。
制度の運営主体は、都道府県単位で設置される後期高齢者医療広域連合です。
ただし、65歳以上75歳未満でも、一定の障害状態にあると認定された場合には、後期高齢者医療制度の対象になることがあります。
そのため、75歳は一般的な区分だけでなく、医療制度上も重要な節目となっています。
65歳と75歳では何が違う?65歳と75歳の違いを理解する際には、一般的な呼び方と制度上の扱いを区別することが大切です。
| 比較項目 | 65〜74歳 | 75歳以上 |
|---|---|---|
| 一般的な区分 | 前期高齢者 | 後期高齢者 |
| 医療制度 | 原則として従来の医療保険 | 原則として後期高齢者医療制度 |
| 就業状況 | 就業する人が比較的多い | 就業する人もいるが割合は低下 |
| 身体機能 | 個人差が大きい | 個人差が大きく、支援が必要な人も増える |
| 老年医学の提言 | 准高齢者に相当 | 高齢者に相当 |
| 運転免許 | 70歳から高齢者講習 | 認知機能検査なども対象 |
この比較で押さえたいのは、75歳が医療制度と老年医学の両方で重要な区切りになっていることです。
一方、75歳になった人全員が健康面で同じ状態になるわけではありません。年齢区分は制度を運用するための目安であり、個人の能力を直接判定するものではないのです。
【比較表】高齢者の年齢基準は65歳・70歳・75歳でどう違う?
高齢者の年齢を調べると、65歳だけでなく70歳や75歳という数字も登場します。
これは、それぞれの制度が異なる目的で年齢基準を設けているためです。
代表的な制度を整理すると、次のようになります。
| 制度・分野 | 年齢基準 | 主な意味 |
|---|---|---|
| 一般的な人口統計 | 65歳以上 | 高齢者人口の集計 |
| 前期高齢者 | 65〜74歳 | 高齢者の前半の区分 |
| 後期高齢者 | 75歳以上 | 高齢者の後半の区分 |
| 道路交通法 | 70歳以上 | 免許更新時の高齢者講習 |
| 道路交通法 | 75歳以上 | 認知機能検査など |
| 高年齢者雇用安定法 | 65歳まで | 企業に雇用確保措置を義務付け |
| 高年齢者雇用安定法 | 70歳まで | 就業機会確保の努力義務 |
65歳という年齢は、日本の高齢化率を計算する際の基本的な基準です。
高齢化率とは、総人口に占める65歳以上人口の割合を意味します。
また、年金や雇用などの社会保障制度でも65歳は重要な年齢です。ただし、年金の受給開始年齢や雇用制度の対象年齢は、それぞれの法律で定められており、高齢者という言葉の一般的な定義とは別に考える必要があります。
70歳は雇用や運転に関する制度上の節目70歳は、運転免許制度だけでなく、働き方に関する制度でも重要です。
高年齢者雇用安定法では、企業に対して65歳までの雇用確保措置を義務付けています。
加えて、70歳までの就業機会を確保するため、定年引き上げや継続雇用制度の導入など、一定の措置を講じる努力義務が設けられています。
これは70歳で一律に退職しなければならないという意味ではありません。
むしろ、本人の希望や能力に応じて働き続けられる環境を整えることが制度の目的です。
75歳は医療制度と運転免許制度の大きな節目75歳になると、医療保険では後期高齢者医療制度への移行が原則として始まります。
運転免許についても、認知機能検査が必要になる年齢です。
このように、65歳、70歳、75歳はそれぞれ異なる制度目的に基づいて設定されています。
年齢だけを見て「70歳から高齢者」「75歳から高齢者」と断定するのではなく、どの制度についての話なのかを確認することが大切です。
【道路交通法】高齢者は70歳から?運転免許の年齢基準を解説
「高齢者は70歳から」という考え方が広まっている理由の一つが、道路交通法に定められた高齢運転者対策です。
運転免許の更新では、70歳と75歳で手続きが異なります。
70歳以上は高齢者講習の対象道路交通法第101条の4では、免許更新期間が満了する日に70歳以上となる人について、原則として高齢者講習の受講を定めています。
講習では、運転に必要な知識や身体機能の確認、運転適性に関する指導などが行われます。
普通自動車を運転できる免許を持つ人の場合、実車指導も含まれます。
この制度の目的は、加齢に伴う身体機能の変化を本人に認識してもらい、安全運転につなげることです。
75歳以上は認知機能検査が必要75歳以上になると、高齢者講習に加えて認知機能検査が必要になります。
警察庁によれば、認知機能検査では主に次の能力を確認します。
- 記憶力
- 判断力
- 時間の見当識
検査では、イラストを記憶して回答する課題や、年月日・曜日・時間を答える課題などが実施されます。
検査結果から認知症のおそれがあると判定された場合には、医師の診断を受ける手続きにつながります。
また、75歳以上で一定の違反歴がある人は、運転技能検査にも合格しなければ免許を更新できない場合があります。
ただし、75歳になっただけで免許が自動的に取り消されるわけではありません。
高齢運転者標識は70歳以上が対象車に表示する高齢運転者標識、いわゆる高齢者マークにも年齢基準があります。
警察庁によると、70歳以上の運転者で、加齢による身体機能の低下が運転に影響するおそれがある場合には、標識を表示して運転するよう努めることとされています。
つまり、70歳以上の全員に一律の表示が義務付けられているわけではありません。
標識を表示した車に対する幅寄せや割り込みは、危険防止のためやむを得ない場合を除いて禁止されています。
高齢運転者標識は、本人だけでなく周囲のドライバーにも安全運転への配慮を促す仕組みです。
【2026年最新データ】高齢化率29.4%の日本で高齢者はどう変化している?
高齢者の年齢基準を考えるうえで、実際の人口構成や生活状況も見逃せません。
内閣府が公表した「令和8年版高齢社会白書」は、2026年7月に公表された最新の年次報告書です。
同白書に掲載された人口統計は、2025年10月1日時点のものです。
65歳以上の人口は3,622万人2025年10月1日時点の日本の総人口は1億2,322万人でした。
そのうち65歳以上は3,622万人で、総人口に占める割合は29.4%です。
年齢別に見ると、75歳以上の人口が65〜74歳の人口を上回っています。
| 項目 | 人口 | 総人口に占める割合 |
|---|---|---|
| 日本の総人口 | 1億2,322万人 | 100% |
| 65歳以上 | 3,622万人 | 29.4% |
| 65〜74歳 | 1,495万人 | 12.1% |
| 75歳以上 | 2,127万人 | 17.3% |
出典:内閣府「令和8年版高齢社会白書」。総人口と年齢別人口は2025年10月1日時点。
注目すべきなのは、75歳以上の人口が2,127万人に達し、65〜74歳の1,495万人を632万人上回っていることです。
日本の高齢者人口の構成は、75歳以上の割合が大きい状態になっています。
65歳以上の就業者は22年連続で増加高齢者の生活を考えるうえで、就業状況も重要な指標です。
2026年版高齢社会白書によると、2025年の65歳以上の就業者数は22年連続で前年を上回りました。
年齢別の就業率は次のとおりです。
出典:内閣府「令和8年版高齢社会白書」。
65〜69歳では半数以上が働いており、70〜74歳でも3割を超えています。
75歳以上でも12.6%が就業しています。
この数字からも、65歳を迎えた瞬間に社会活動を終えるという考え方が、実際の生活とは必ずしも一致しないことが分かります。
2070年には65歳以上が人口の約38.7%に同白書の将来推計では、2070年の高齢化率は38.7%になると見込まれています。
また、75歳以上人口の割合は25.1%に達する見通しです。
つまり、将来的には日本の人口の約2.6人に1人が65歳以上、約4人に1人が75歳以上という構成になります。
高齢者の年齢をどう捉えるかは、医療や介護だけでなく、雇用、地域づくり、社会保障制度にも関係する問題です。
【日本老年学会・日本老年医学会】高齢者の定義を75歳に見直す提言とは?
一般的には65歳以上が高齢者とされていますが、医学・老年学の専門家の間では、従来の区分を見直す議論が行われてきました。
その代表例が、日本老年学会と日本老年医学会による2017年の提言です。
2017年に75歳以上を高齢者とする新しい区分を提案2017年1月、日本老年学会と日本老年医学会の合同ワーキンググループは、高齢者の定義と区分に関する提言を公表しました。
提言では、従来の65歳以上という区分を見直し、次の3段階に分けることを提案しています。
| 年齢 | 提案された呼称 | 英語表記 |
|---|---|---|
| 65〜74歳 | 准高齢者 | pre-old |
| 75〜89歳 | 高齢者 | old |
| 90歳以上 | 超高齢者 | oldest-old・super-old |
この提言の背景には、高齢者の身体機能や健康状態の変化があります。
研究グループは、近年のデータを検討した結果、特に65〜74歳では心身の健康が保たれ、活発な社会活動が可能な人が多いことなどを指摘しました。
また、従来の65歳以上という区分が、現在の高齢者の実態に必ずしも合わなくなっているという問題意識もありました。
2024年の報告書でも75歳以上という考え方を再確認この議論は2017年だけで終わったわけではありません。
日本老年学会は2024年6月、「高齢者および高齢社会に関する検討ワーキンググループ報告書」をまとめました。
報告書では、75歳以上を高齢者とする新しい定義の意義を改めて確認しています。
一方で、重要なのは、学会の提言が国の法律を変更するものではないという点です。
同報告書は、年金や医療などの各種制度における年齢区分を決めることとは別の議論であると説明しています。
また、年齢にとらわれず、希望と能力に応じて社会参加できる「エイジフリー」な社会を目指す考え方も示しました。
学会の提言と国の制度は何が違う?ここは誤解されやすい部分です。
日本老年学会・日本老年医学会が75歳以上を高齢者とする考え方を提案したからといって、法律上の高齢者が一律に75歳以上へ変更されたわけではありません。
両者の違いは次のように整理できます。
- 国の統計・行政制度: 65歳以上を基本的な高齢者人口の区分として使用する。
- 医療保険制度: 75歳以上を後期高齢者医療制度の対象とする。
- 老年学・老年医学: 75歳以上を高齢者の中心的な研究対象とする考え方を提案する。
同じ「高齢者」という言葉でも、統計を取るためなのか、医療制度を運営するためなのか、医学的な研究を進めるためなのかによって意味が変わります。
この違いを理解することが、年齢に関する情報を正しく読み取る第一歩です。
【プロの結論】高齢者を65歳・70歳・75歳のどれか一つで判断できない理由
高齢者の定義が一律に決まっていないのは、年齢によって生活能力や健康状態を完全に判断できないためです。
同じ65歳でも、仕事を続けている人もいれば、病気や身体機能の低下によって日常生活に支援が必要な人もいます。
75歳以上でも、健康で自立した生活を送る人は少なくありません。
そのため、暦年齢だけを基準に人の能力や生活状況を決めつけることには限界があります。
高齢者の年齢を判断するときの3つの基準実際に年齢を確認する場合は、次の3つの視点で考えると分かりやすくなります。
1. 一般的な意味で高齢者を知りたい場合
65歳以上を基準に考えます。
人口統計や高齢化率、一般的な社会調査で使われる標準的な区分です。
2. 医療保険の対象年齢を知りたい場合
75歳以上を基準に確認します。
後期高齢者医療制度への加入が原則として始まる年齢だからです。
3. 身体機能や健康面から高齢者を考えたい場合
65歳や75歳という数字だけでなく、健康状態、運動機能、認知機能、日常生活の自立度などを確認します。
年齢だけで個人の状態を判断することはできません。
高齢者という言葉を使うときは、何を判断するための年齢なのかを明確にが必要です。
【高齢者何歳】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:高齢者は何歳からですか?
A1:一般的には65歳以上です。日本の人口統計や高齢化率の計算でも65歳以上が基本的な基準になっています。ただし、制度によって70歳や75歳を基準とする場合があります。
Q2:75歳から高齢者になるというのは本当ですか?
A2:日本老年学会と日本老年医学会は、2017年に75歳以上を高齢者とする新しい区分を提案しました。2024年の報告書でもその意義が確認されています。ただし、国の法律上の高齢者の定義が一律に75歳へ変更されたわけではありません。
Q3:70歳は高齢者に該当しますか?
A3:はい。一般的な区分では65歳以上に該当するため、70歳も高齢者に含まれます。また、道路交通法では70歳以上が免許更新時の高齢者講習の対象になります。
Q4:前期高齢者と後期高齢者の境目は何歳ですか?
A4:75歳です。65歳以上75歳未満が前期高齢者、75歳以上が後期高齢者です。医療保険制度では75歳から原則として後期高齢者医療制度に移行します。
Q5:65歳以上は全員が高齢者扱いになるのですか?
A5:人口統計上は65歳以上が高齢者人口として集計されます。ただし、仕事や生活能力、健康状態まで一律に判断されるわけではありません。個人の状況には大きな違いがあります。
Q6:2026年の日本の高齢化率は何%ですか?
A6:2026年版高齢社会白書に掲載された2025年10月1日時点の統計では、29.4%です。65歳以上の人口は3,622万人で、総人口の約3割を占めています。
高齢者は何歳からなのかという疑問に対する一般的な答えは、65歳以上です。
ただし、2026年現在の日本では、65歳・70歳・75歳という複数の年齢基準が使われています。
最後に、要点を整理します。
- 65歳以上:一般的な高齢者の基準
- 65歳以上75歳未満:前期高齢者
- 75歳以上:後期高齢者
- 70歳以上:運転免許更新時の高齢者講習の対象
- 75歳以上:認知機能検査の対象
- 日本老年学会・日本老年医学会:75歳以上を高齢者とする新しい区分を提案
2026年版高齢社会白書では、日本の高齢化率は29.4%となり、65歳以上の就業者も増加を続けています。
こうした数字が示しているのは、高齢者という言葉だけでは、一人ひとりの健康状態や社会での役割を説明できないということです。
高齢者の年齢を調べるときは、一般的な基準なら65歳、医療制度なら75歳、運転免許なら70歳・75歳というように、目的に合わせて判断することが大切です。
年齢による区分を正しく理解しながら、年齢だけで人の可能性を決めつけない視点も、これからの高齢社会には求められています。