2025年12月14日、ABCテレビは決勝審査員9人を発表した。2024年からの続投組を中心に、後藤輝基と駒場孝が新たに加わった布陣だ。発表は50音順で、審査員の担当回数にも大きな差がある。
出典:ABCマガジンの2025年審査員発表。担当回数は2025年大会終了時点。
2025年の新任審査員は後藤輝基と駒場孝2025年大会で特に目を引いたのが、フットボールアワーの後藤輝基とミルクボーイの駒場孝だ。
後藤は2003年大会の優勝者。相方の岩尾望とともに漫才の頂点を経験しており、ツッコミを軸にした漫才の構成や、言葉の選び方を評価する立場として注目された。
駒場は2019年大会の王者。ミルクボーイが披露した独特の反復構造を持つ漫才は、当時の決勝で大きな話題になった。新しい形式の漫才を生み出した経験を持つ審査員の参加は、若手コンビにとっても興味深い人選だった。
一方、2024年から続投したのは礼二、山内、塙、大吉、哲夫、柴田、海原ともこの7人。2024年に審査員を務めたオードリー・若林正恭とNON STYLE・石田明は2025年の布陣から外れた。
【歴代一覧】M-1審査員は2001年からどう変わった?

M-1グランプリは2001年に始まり、2010年まで毎年開催された。その後、2011年から2014年まで大会が休止し、2015年に復活している。
歴代の審査員を振り返ると、初期は漫才界の重鎮や放送・演芸分野の識者が中心だったが、復活後はM-1の歴代王者や現役の人気漫才師が審査員として参加するようになった。
2001~2010年:大会初期の7人審査員体制2001年・第1回:島田紳助、松本人志、鴻上尚史、ラサール石井、春風亭小朝、青島幸男、西川きよし。
2002年・第2回:島田紳助、松本人志、大竹まこと、ラサール石井、島田洋七、中田カウス、立川談志。
2003年・第3回:島田紳助、松本人志、南原清隆、島田洋七、ラサール石井、大竹まこと、中田カウス。
2004年・第4回:西川きよし、南原清隆、大竹まこと、島田洋七、春風亭小朝、ラサール石井、中田カウス。
2005年・第5回:島田紳助、松本人志、渡辺正行、大竹まこと、島田洋七、ラサール石井、中田カウス。
2006年・第6回:島田紳助、松本人志、南原清隆、渡辺正行、島田洋七、大竹まこと、中田カウス。
2007年・第7回:島田紳助、松本人志、上沼恵美子、ラサール石井、オール巨人、大竹まこと、中田カウス。
2008年・第8回:島田紳助、松本人志、上沼恵美子、渡辺正行、オール巨人、大竹まこと、中田カウス。
2009年・第9回:島田紳助、松本人志、上沼恵美子、東国原英夫、オール巨人、渡辺正行、中田カウス。
2010年・第10回:島田紳助、松本人志、南原清隆、大竹一樹、渡辺正行、宮迫博之、中田カウス。
この時期は特別審査員7人という形が定着していた。ただし、第1回大会には特別審査員とは別に、札幌・大阪・福岡の3会場から各100人、合計300人の一般審査員も参加していた。現在の審査制度とは異なる、初期ならではの試みだった。
2015~2025年:大会復活から9人体制への変化2015年・第11回:中川家・礼二、増田英彦、岩尾望、吉田敬、徳井義実、富澤たけし、石田明、佐藤哲夫、笑い飯・哲夫。
4年間の休止を経て復活した2015年大会では、歴代王者を中心に9人の審査員が選ばれた。従来の7人から人数を増やした特別な大会だった。
2016年・第12回:松本人志、オール巨人、上沼恵美子、中川家・礼二、博多大吉。歴代最少となる5人体制だった。
2017年・第13回:松本人志、オール巨人、上沼恵美子、中川家・礼二、博多大吉、春風亭小朝、渡辺正行。7人体制に戻った。
2018~2021年:松本人志、オール巨人、上沼恵美子、中川家・礼二、富澤たけし、立川志らく、塙宣之の7人が4大会連続で担当した。
2022年:松本人志、博多大吉、山田邦子、中川家・礼二、富澤たけし、立川志らく、塙宣之。
2023年:松本人志、博多大吉、山田邦子、中川家・礼二、富澤たけし、塙宣之、海原ともこ。
2024年:若林正恭、礼二、山内健司、塙宣之、博多大吉、哲夫、柴田英嗣、海原ともこ、石田明。20回大会の節目に9人体制へ変更された。
2025年:礼二、山内健司、塙宣之、博多大吉、哲夫、柴田英嗣、駒場孝、後藤輝基、海原ともこ。前年から2人が入れ替わり、9人体制が継続した。
この変遷から読み取れるのは、審査員の選定が単純なベテラン優先ではなくなっていることだ。M-1で優勝した経験、決勝で競った経験、現在の漫才シーンへの理解など、複数の視点を持つ人物が組み合わされる構成に変わっている。
M-1審査員の人数は何人?5人・7人・9人の変遷審査員の人数は、開催年によって異なる。2025年までの決勝特別審査員の人数を整理すると、次のようになる。
- 7人:2001~2010年、2017~2023年
- 9人:2015年、2024年、2025年
- 5人:2016年
2011~2014年は大会自体が開催されていないため、人数の変遷には含まれない。
特に2016年の5人から翌2017年に7人へ戻り、2024年に9人へ拡大した流れは注目に値する。審査員が増えると異なる評価視点を反映しやすくなる一方、ファーストラウンドの満点も変化する。
なお、2024年に9人へ変更した背景について、世代の若返りやM-1との関係が深い芸人の起用という視点は、当時のオリコンの分析でも指摘されている。ただし、9人が唯一の正解という公式な説明が出ているわけではない。
【審査方法を解説】M-1の採点基準と最終決戦の投票ルール
M-1の決勝は、ファーストラウンドと最終決戦の2段階で進む。ここを混同すると、なぜ高得点を獲得したコンビが優勝できなかったのか、結果の仕組みが分かりにくくなる。
ファーストラウンドは審査員1人100点満点ファーストラウンドでは、決勝に進出したコンビが順番に漫才を披露し、審査員がそれぞれ100点満点で採点する。全審査員の合計点によって順位が決まり、上位3組が最終決戦へ進出する。
例えば、2025年大会は9人の審査員による採点だったため、1組当たりの満点は900点となる。7人の大会なら700点、5人の大会なら500点が満点だ。
ただし、点数の高さだけで漫才の優劣を機械的に判断することはできない。審査員の人数や個々の採点傾向が異なるため、異なる年の合計点を単純比較する際には注意が必要だ。
M-1の公式審査基準は「とにかくおもしろい漫才」2026年の公式エントリー情報に記載されている審査基準は、非常にシンプルだ。
「とにかくおもしろい漫才」
審査員の採点で決定。
公式には、このように示されている。笑いの回数や声量、ネタの構成などに固定の配点を設けた統一採点表が公表されているわけではない。
一方、審査員個人が自分なりの評価軸を明かした例はある。
例えば、立川志らくは2025年3月、自身がM-1審査員を務めていた際の採点方法について、面白さ、テクニック、哀愁、客ウケ、好みという5項目をそれぞれ10点満点で評価し、合計を2倍して100点満点にしていたと説明した。これは志らく個人の採点方法であり、全審査員共通の公式ルールではない。
博多大吉も2024年大会の採点について、前年から評価項目を変更したことを明かしている。新しさや技量、満足度、M-1にふさわしいかといった観点を取り入れ、10組すべてに異なる点数を付けることを目標にしたという。
このように、同じ「面白い漫才」を評価する場合でも、審査員によって重視する要点は異なる。採点に差が出るのは、単なる好みの違いだけではなく、漫才の完成度や新しさ、舞台での伝わり方など、評価する角度が違うためでもある。
最終決戦は点数ではなく審査員の投票で決まるファーストラウンドを勝ち抜いた上位3組は、2本目のネタを披露する。全組のネタが終わった後、審査員は最も面白かったと思う1組に投票する。
つまり、ファーストラウンドと最終決戦では、勝敗を決める方法が異なる。
- ファーストラウンド:審査員1人100点満点の合計点
- 最終決戦:審査員1人につき1票の投票
- 優勝者:最終決戦で最も多くの票を獲得したコンビ
最終決戦では、ファーストラウンドの点数を2本目の得点に加算するわけではない。最終的な優勝は、審査員の投票によって決まる。
2025年大会から分かる「得点1位」と「優勝者」の違いこの仕組みを理解するうえで分かりやすいのが、2025年大会だ。
公式の大会結果によると、エバースはファーストラウンドで870点を獲得し、10組中の最高得点を記録した。一方、優勝したのは861点だったたくろう。ドンデコルテは845点で2位となった。
つまり、ファーストラウンドで最高点を取ったコンビが、そのまま優勝するとは限らない。エバースは最終決戦まで進出したものの、最終的な順位は3位だった。たくろうは最終決戦の投票で支持を集め、2025年の王者となった。
この結果は、M-1が単なる合計点ランキングではなく、最初のネタで勝ち残る力と、最後のネタで審査員を納得させる力の両方を求める大会であることを示している。
2001年大会だけは最終決戦の進出組数が違った現在のM-1ではファーストラウンド上位3組が最終決戦に進むが、第1回の2001年大会は上位2組で争われた。
大会の歴史を調べる際には、この違いにも注意したい。2001年から現在まで同じルールで開催されてきたわけではなく、初期大会には現在とは異なる審査方式が存在していた。
【担当回数ランキング】松本人志・礼二・塙宣之は何回審査した?
M-1の審査員を語るうえで外せないのが、長年にわたって審査を担当してきた人物の実績だ。2025年大会終了時点で、特に担当回数が多い人物を見てみよう。
歴代最多は松本人志の17回歴代最多はダウンタウンの松本人志で、通算17回。2001~2003年、2005~2010年、2016~2023年に審査員を務めた。
大会創設期からM-1の審査を支えてきた存在であり、長期間にわたり大会の象徴的な審査員として認識されてきた。
ただし、2024年大会と2025年大会には名前がなかった。2023年大会が最後の担当となっており、2026年大会への復帰についても、現時点で正式発表はない。
中川家・礼二は2015年から11大会連続2位は中川家・礼二の11回。2015年の大会復活から2025年まで、11大会連続で決勝審査員を担当している。
礼二自身が2001年の初代王者であることも、M-1との関係を考えるうえで重要だ。出場者として大会の厳しさを経験し、その後は審査する側として若手漫才師を評価してきた。
2026年大会でも続投するかは未発表だが、歴代の担当実績から見ても、審査員構成を考える際に欠かせない人物である。
ナイツ・塙宣之は8回、博多大吉は6回ナイツの塙宣之は2018年から2025年まで8大会連続で審査員を担当している。M-1の漫才審査に長く携わり、2025年時点で歴代3位に続く担当実績を持つ。
博多大吉は2016年、2017年、2022~2025年の計6回。漫才師としての経験に加え、自身の採点基準について具体的に説明したことでも知られている。
そのほか、島田紳助、中田カウス、上沼恵美子、オール巨人はそれぞれ9回。富澤たけしと大竹まことは7回を担当している。
審査員の担当回数は実力ランキングではない担当回数が多いからといって、その審査員の評価が常に正しいという意味ではない。また、担当回数が少ない人物の審査が劣っているわけでもない。
審査員の選定は、経験、漫才界での立場、世代のバランス、本人の出演意向など複数の要素が関係する。担当回数は大会との関わりの深さを測る参考データとして見るのが適切だ。
【2026年の注目点】審査員の顔ぶれはどう変わる?
2026年の審査員を考えるうえで、注目したいのは次の3つの動きだ。
1. 松本人志の復帰があるのか松本人志は17回の審査経験を持つ歴代最多の審査員だが、2024年と2025年は担当していない。2026年も復帰が決定したという公式情報はない。
過去の担当実績だけを根拠に復帰を断定することはできない。実際の出演については、主催者からの発表を待つ必要がある。
2. 礼二・塙・大吉らの続投礼二、塙、大吉は複数年にわたって審査を担当してきた。こうした継続的な審査員がいると、前年までの大会との比較や、漫才の変化を踏まえた評価が期待できる。
一方で、2024年と2025年には新しい審査員が加わっている。経験豊富な審査員を残しながら、新しい世代の視点を取り入れる構成が2026年も採用されるかがポイントだ。
3. 9人体制が続くのか2024年、2025年と2年連続で9人体制だったため、2026年も9人になるのかは大きな関心事だ。
審査員が9人なら、ファーストラウンドの満点は900点、最終決戦の投票数は最大9票となる。ただし、過去には5人や7人の大会もあり、9人体制が固定されたと判断できる公式ルールはない。
2026年の決勝日程や審査員の人数は、M-1公式サイトの発表が基準となる。特に決勝直前は発表内容が更新される可能性があるため、最新情報を確認したい。
【よくある質問】M-1審査員に関するFAQ
Q1:M-1グランプリ2026の審査員は誰ですか?
A1:2026年11月5日時点では正式発表を確認できていない。2025年は礼二、山内健司、塙宣之、博多大吉、哲夫、柴田英嗣、駒場孝、後藤輝基、海原ともこの9人だった。
Q2:M-1の審査員はいつ発表されますか?
A2:固定された発表日はない。2024年は12月15日、2025年は12月14日に発表された。直近2大会では決勝のおよそ1週間前だった。
Q3:M-1の歴代審査員で一番多く担当したのは誰ですか?
A3:松本人志の17回。2位は中川家・礼二の11回で、2015年から2025年まで11大会連続で担当している。
Q4:M-1の審査員は何人ですか?
A4:年によって異なる。2001~2010年と2017~2023年は7人、2015年と2024~2025年は9人、2016年は5人だった。
Q5:松本人志は2026年のM-1審査員に復帰しますか?
A5:2026年11月5日時点で復帰は発表されていない。最後に担当したのは2023年大会で、2024年と2025年は審査員に含まれていなかった。
Q6:M-1の審査基準は何ですか?
A6:公式の審査基準は「とにかくおもしろい漫才」。審査員が100点満点で採点する。具体的な評価の仕方は審査員によって異なる。
Q7:M-1の最終決戦は点数で決まりますか?
A7:最終決戦は点数ではなく投票で決まる。ファーストラウンドの上位3組が2本目の漫才を披露し、審査員が最も面白いと思った1組に1票を投じる。
2026年11月5日現在、M-1グランプリ2026の決勝審査員は未発表。2025年は礼二、山内健司、塙宣之、博多大吉、哲夫、柴田英嗣、駒場孝、後藤輝基、海原ともこの9人体制だった。
歴代最多の担当回数は松本人志の17回、続く中川家・礼二は11回。審査員の人数は5人・7人・9人と変わってきたが、近年は9人の構成が続いている。
また、M-1の勝敗を理解するには、ファーストラウンドと最終決戦を分けて考えることが大切だ。最初の審査は100点満点の合計点、最後は審査員の投票で優勝者が決まる。2025年のエバースとたくろうの結果も、その違いを象徴している。
2026年大会で注目したいのは、松本人志の復帰の有無、礼二や塙らの続投、新たな審査員の起用、そして9人体制が維持されるかどうかだ。正式な顔ぶれが発表されれば、歴代の担当回数や審査傾向と比較することで、その年のM-1が目指す方向性も見えてくる。
審査員の名前だけでなく、どのような漫才を評価する人物なのか、そしてどのような視点で採点するのか。そこまで知っておくと、M-1グランプリ2026の決勝戦をより深く楽しめるはずだ。
主な情報確認先
- M-1グランプリ公式サイト「大会の歴史」「エントリー情報」
- ABCマガジン「M-1グランプリ2025審査員発表」
- ORICON NEWS「M-1歴代審査員一覧・審査回数」
- 日刊スポーツ「M-1審査員の採点基準に関する報道」
- 2025年大会の審査員発表に関する日刊スポーツ報道