大相撲の「三段目優勝」とは、幕下の下、序二段の上に位置する三段目で、その場所の最も優れた成績を収めた力士に贈られるタイトルです。幕内や十両とは異なり、幕下以下の力士は原則として1場所7番の相撲を取るため、優勝争いでは「7戦全勝」が大きな意味を持ちます。
2026年は、初場所の花の富士、春場所の生田目、夏場所の旭富士、名古屋場所の天昇山、秋場所の小林が三段目を制しました。5場所すべてで優勝者は7勝0敗。加えて、生田目・旭富士・天昇山の3人は優勝決定戦を制してタイトルを獲得しています。春日野部屋の小林の2度目の優勝や、二子山部屋の生田目の関取復帰など、力士それぞれの歩みにも注目が集まっています。
【基礎知識】三段目優勝とは?大相撲の番付と7戦全勝の意味

大相撲の番付は、上位から幕内、十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口という6つの階級に分かれています。
このうち三段目は、関取を目指す力士にとって重要な通過点です。幕下に上がれば十両昇進を視野に入れた競争が始まり、三段目での好成績はその第一歩となります。
番付は東西に分かれ、同じ枚数なら東が西より上位です。例えば東三段目23枚目は、西三段目23枚目より上の地位に位置します。
2026年9月場所の三段目は160人規模。若手の成長株だけでなく、過去に幕下や十両を経験し、けがや休場などを経て再起を目指す力士も在籍しています。
7戦全勝とは具体的に何を意味する?幕内と十両の力士は15日間で15番の相撲を取ります。一方、幕下以下の力士は原則として2日に1番のペースで、1場所に7番の取組を行います。
したがって、三段目の7戦全勝とは、通常の本場所の取組7番すべてに勝利し、7勝0敗を記録することです。
15日制の幕内でいう15戦全勝とは違い、7番という限られた機会で一度も敗れないことが大切です。1敗しただけで全勝優勝の可能性がなくなるため、各取組の重要性は非常に高いものがあります。
ただし、7勝0敗になれば必ず単独優勝できるわけではありません。同じ成績の力士が複数いれば、優勝決定戦で勝者を決めます。
【2026年最新】三段目優勝者5人と成績・決定戦の一覧
2026年9月場所までの三段目優勝者は5人です。日本相撲協会の公式記録と各力士のプロフィールを照合すると、全員が7勝0敗を記録しています。
2026年の場所別優勝力士まとめ| 場所 | 優勝力士・所属部屋 | 成績 | 優勝決定戦 | 優勝回数 | 翌場所の番付 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | 花の富士 伊勢ヶ濱部屋 |
7勝0敗 | なし 単独全勝 |
2回 | 幕下15枚目 |
| 3月 | 生田目 二子山部屋 |
7勝0敗 | あり 豊雅将に勝利 |
1回 | 幕下10枚目 |
| 5月 | 旭富士 伊勢ヶ濱部屋 |
7勝0敗 | あり 木竜皇に勝利 |
1回 | 幕下11枚目 |
| 7月 | 天昇山 玉ノ井部屋 |
7勝0敗 | あり 栃武蔵に勝利 |
1回 | 幕下8枚目 |
| 9月 | 小林 春日野部屋 |
7勝0敗 | なし 単独全勝 |
2回 | 幕下23枚目 |
※優勝回数は2026年9月場所終了時点の記録。翌場所の番付は各力士の公式プロフィールに基づく。
1月場所:花の富士が7戦全勝で優勝2026年初場所では、東三段目23枚目の花の富士が7勝0敗で優勝しました。
花の富士は伊勢ヶ濱部屋所属の力士で、本名は川副圭太。以前は川副のしこ名で土俵に上がっており、2026年初場所は改名後の優勝という節目にもなりました。
13日目には東三段目9枚目の鶴英山を寄り切りで破り、7戦全勝を達成。ほかに全勝力士がいなかったため、優勝決定戦を行わずにタイトルを獲得しています。
花の富士は2024年9月場所にも三段目優勝を果たしており、2026年初場所は自身2度目の三段目優勝でした。翌3月場所では幕下15枚目に昇進しています。
3月場所:生田目が豊雅将との決定戦を制す春場所では、二子山部屋の生田目が三段目優勝を飾りました。
西三段目3枚目の生田目は、13日目までに7勝0敗を達成。しかし、西三段目21枚目の豊雅将も同じく7戦全勝だったため、千秋楽に優勝決定戦が組まれました。
決定戦では生田目が立ち合いから攻め込み、突き出しで豊雅将を破っています。
生田目は過去に十両を経験した実力者です。左膝のけがなどで長期休場を経験し、2026年初場所に復帰。1月場所は5勝2敗、3月場所は7勝0敗という成績で、再び上位を目指す足掛かりをつかみました。
その後も幕下で好成績を重ね、9月場所には東十両10枚目へ復帰。11月場所の番付では西十両6枚目となっています。
5月場所:旭富士が木竜皇との決定戦に勝利夏場所では、伊勢ヶ濱部屋の旭富士が優勝しました。
東三段目6枚目の旭富士は、13日目に三田を破って7戦全勝。ところが、東三段目77枚目の木竜皇も全勝を維持したため、優勝決定戦に進みました。
千秋楽の決定戦では木竜皇の攻めを受けながらも、最後は小手投げで勝利。これにより、旭富士は序ノ口、序二段に続いて3場所連続の各段優勝を達成しました。
ここでいう旭富士は、第63代横綱の旭富士その人ではありません。そのしこ名を継承したモンゴル出身の旭富士英毅です。
その後、7月場所では幕下優勝も果たし、11月場所には新十両として東十両12枚目に昇進しました。序ノ口から幕下まで4場所連続で各段優勝を重ねた2026年の注目力士です。
7月場所:天昇山が栃武蔵を破って初優勝名古屋場所では、玉ノ井部屋の天昇山が三段目優勝を獲得しました。
東三段目3枚目の天昇山は7戦全勝。西三段目29枚目の栃武蔵も全勝だったため、千秋楽に優勝決定戦が行われました。
決定戦では天昇山が寄り切りで勝利。自身初の三段目優勝となりました。
天昇山は2026年1月の序ノ口デビューから3場所連続で6勝1敗を記録しており、三段目で初めて7戦全勝を達成。翌9月場所では幕下8枚目に昇進し、6勝1敗と好成績を残しています。
9月場所:春日野部屋の小林が2度目の優勝2026年秋場所の三段目を制したのは、春日野部屋の小林です。
西三段目37枚目の小林は、13日目に西三段目51枚目の納谷をはたき込みで破り、7勝0敗を達成しました。ほかに全勝力士がいなかったため、優勝決定戦を行わずに優勝が決まりました。
小林は2025年7月場所にも三段目優勝を果たしています。しかし、その後は左膝の靱帯断裂によって4場所連続休場。2026年5月場所に西序二段100枚目で復帰し、6勝1敗、7月場所も6勝1敗と成績を伸ばしていました。
そして9月場所で再び7戦全勝。けがによる苦しい時期を乗り越えて手にした2度目の優勝でした。
「諦めかけた後の優勝なので、結構うれしいです」
これは2026年9月25日付の日刊スポーツが伝えた小林のコメントです。優勝後の11月場所では西幕下23枚目に昇進しています。
【仕組みを解説】三段目優勝の決まり方と優勝決定戦のルール
優勝はどのように決まる?三段目優勝の基本的な仕組みは、幕下以下の各段に共通しています。
最初に、各力士が本場所で7番の取組を行い、勝ち星を積み重ねます。その結果、最も優れた成績を残した力士が優勝者となります。
7勝0敗の力士が1人だけなら、その力士が単独優勝です。一方、複数の力士が7勝0敗で並んだ場合は、千秋楽に優勝決定戦を実施します。
日本相撲協会の公式解説でも、幕下以下の力士は原則7番の相撲を取り、複数の全勝力士がいる場合は千秋楽に優勝決定戦を行うと説明されています。
2026年は5場所中3場所で決定戦が実施された2026年の三段目優勝争いを振り返ると、優勝決定戦の重要性がよく分かります。
- 1月:花の富士が単独7戦全勝で優勝。
- 3月:生田目と豊雅将が7戦全勝で並び、決定戦を実施。
- 5月:旭富士と木竜皇が7戦全勝で並び、決定戦を実施。
- 7月:天昇山と栃武蔵が7戦全勝で並び、決定戦を実施。
- 9月:小林が単独7戦全勝で優勝。
つまり、2026年は5場所中3場所で優勝決定戦が行われました。全勝という同じ成績でも、最後の一番によって優勝者が決まる展開が続いたことになります。
優勝決定戦で負けても7勝0敗なの?ここは大相撲ファンでも混同しやすいポイントです。
優勝決定戦は、通常の7番の取組とは別に行われる一番です。そのため、決定戦で敗れた力士も本場所の公式成績は7勝0敗のままです。
例えば2026年3月場所の豊雅将、5月場所の木竜皇、7月場所の栃武蔵は、いずれも本割で7戦全勝を達成しながら、決定戦で敗れて優勝を逃しました。
この場合、優勝者と同じ7勝0敗でも、記録上は優勝同点という扱いになります。
したがって、三段目の成績を見るときは、単に7勝0敗という数字だけでなく、優勝決定戦の結果まで確認することが大切です。
【昇進条件】三段目優勝から幕下へ上がるには何勝必要?
三段目から幕下への昇進は自動的に決まる?三段目優勝を果たした力士が次に目指すのは、基本的に幕下です。
ただし、優勝したからといって十両へ直接昇進するわけではありません。三段目から幕下へ進み、その後に幕下上位で成績を残して十両を目指すという段階を踏みます。
番付編成では、前場所の成績だけでなく、現在の番付、周囲の力士の勝敗、各階級の人数や空き状況などが関係します。日本相撲協会は本場所終了後3日以内に番付編成会議を開催し、成績に応じて翌場所の番付を決めています。
三段目から幕下への昇進目安一般的な番付予想で使われる昇進の目安は、次のように整理できます。
- 三段目10枚目以内:4勝3敗以上が一つの目安。
- 三段目25枚目以内:5勝2敗以上が一つの目安。
- 三段目50枚目以内:6勝1敗以上が一つの目安。
- 三段目51枚目以下:7勝0敗が幕下昇進の有力な目安。
これらは番付編成の傾向を理解するための目安であり、すべての力士に適用される固定的な昇進規則ではありません。
特に三段目の全勝は、番付の位置を問わず大きな評価につながります。2026年の優勝者5人も、全員が翌場所に幕下へ昇進しました。
三段目優勝後、十両に昇進した2026年の注目例2026年の優勝者の中でも、旭富士と生田目の歩みは、三段目から関取へ至る道筋を理解するうえで興味深い事例です。
生田目は3月場所の三段目優勝後、5月場所に幕下10枚目へ昇進しました。その後も5勝2敗、6勝1敗と勝ち越し、9月場所には十両へ復帰しています。
旭富士は5月場所の三段目優勝後、7月場所で幕下優勝を果たしました。9月場所も6勝1敗を記録し、11月場所に新十両として昇進しています。
両者に共通するのは、三段目優勝だけで終わらず、幕下でも継続して結果を残したことです。
三段目優勝は関取への切符そのものではありません。むしろ、幕下というさらに厳しい競争へ進むための実績と捉えるのが適切です。
【歴代一覧・記録】三段目優勝の最多回数と過去の優勝力士
2025年の三段目優勝者2025年の三段目優勝者を場所順に整理すると、次のとおりです。
- 1月場所:大斧
- 3月場所:朝乃山
- 5月場所:鳩岡
- 7月場所:小林
- 9月場所:一意
- 11月場所:可貴
特に朝乃山は、幕内での実績を持つ力士です。三段目まで番付を下げた後、2025年3月場所に7戦全勝で優勝しました。
また、小林は2025年7月場所にも優勝しており、2026年9月場所で2度目の三段目優勝を果たしています。
2024年の三段目優勝者2024年の優勝者は次の6人です。
- 1月場所:藤青雲
- 3月場所:長村
- 5月場所:旭海雄
- 7月場所:伊波
- 9月場所:川副
- 11月場所:藤闘志
なお、2026年1月場所の花の富士は、2024年9月場所の川副と同一人物です。しこ名を変更しているため、歴代一覧を確認する際には名前の変遷にも注意が必要です。
2023年の三段目優勝者2023年の優勝者も紹介します。
- 1月場所:魁禅
- 3月場所:東俊隆
- 5月場所:漣
- 7月場所:若碇
- 9月場所:北はり磨
- 11月場所:大昇龍
このように、三段目では毎場所新たな優勝者が誕生する一方、過去に優勝経験のある力士が再びタイトルを獲得するケースもあります。
三段目優勝の最多記録は何回?2026年7月場所時点の歴代記録の整理では、三段目優勝の最多回数は3回です。
該当する力士として、若ノ城宗彦と唐津海誠二が挙げられます。
唐津海は2011年9月場所、2018年5月場所、2019年3月場所に三段目優勝を達成しました。2019年3月場所の優勝は、本人にとって3度目のタイトル獲得として日刊スポーツでも報じられています。
加えて、唐津海は2016年3月場所にも7戦全勝を記録しましたが、優勝決定戦で敗れています。つまり、全勝した回数と優勝回数は必ずしも一致しません。
2026年9月場所終了時点では、花の富士と小林がそれぞれ2回の三段目優勝を記録しています。今後、この2人が歴代最多の3回に並ぶのかも注目点です。
【注目力士】2026年の三段目優勝から見える出世と再起のドラマ
花の富士:十両経験者が再び上位を目指す花の富士の特徴は、三段目での優勝が初めてではないことです。
過去には十両も経験しており、2026年初場所での優勝は、けがや休場を経て再び上を目指す過程での実績となりました。
翌3月場所は幕下15枚目。その後も幕下で相撲を取り続け、2026年11月場所では東幕下26枚目に位置しています。
生田目:元十両の実力を再び発揮生田目は、三段目優勝を経て十両へ復帰した力士です。
2026年3月場所の優勝決定戦では豊雅将を破り、優勝を決めました。その後の幕下での勝ち越しを経て、9月場所に十両へ復帰。11月場所は西十両6枚目となりました。
三段目優勝を一つの通過点とし、さらに上を目指す姿勢が際立っています。
旭富士:序ノ口から新十両まで駆け上がった成長株2026年の優勝者の中でも、旭富士の成績は際立っています。
1月場所の序ノ口優勝、3月場所の序二段優勝、5月場所の三段目優勝、7月場所の幕下優勝と、4場所連続で各段のタイトルを獲得しました。
その後、9月場所の幕下でも6勝1敗を記録し、11月場所には新十両に昇進しています。
三段目優勝がゴールではなく、さらに上の番付へ進むための通過点であることを示す代表的な例です。
天昇山:6勝1敗を積み重ねた先の初優勝天昇山は、序ノ口から三段目まで、各場所で6勝1敗という安定した成績を積み重ねてきました。
そして2026年7月場所で初めて7戦全勝を達成。優勝決定戦でも栃武蔵を破り、三段目の頂点に立ちました。
翌9月場所では幕下8枚目に昇進し、6勝1敗。11月場所には幕下筆頭まで番付を上げています。
小林:けがからの復帰と2度目の三段目優勝小林の2026年秋場所の優勝には、成績だけでは語れない背景があります。
2025年7月場所に初めて三段目優勝を果たした後、左膝の靱帯断裂によって長期休場を経験しました。4場所連続の休場を経て2026年5月場所に復帰し、6勝1敗。7月場所も6勝1敗と調子を上げました。
そして9月場所に2度目の優勝を獲得。春日野部屋所属の22歳という若さで、再び幕下へと進みました。
優勝回数や番付だけを見るのではなく、休場期間や復帰後の成績まで追うことで、力士の実力と成長の過程がより鮮明になります。
【よくある質問】三段目優勝に関するFAQ
Q1:三段目優勝するには必ず7戦全勝が必要ですか?
A1:7戦全勝が優勝の一般的な形ですが、制度上は最も優れた成績を残した力士が優勝します。全勝力士が複数いる場合は優勝決定戦が行われます。
Q2:三段目優勝決定戦で負けると7勝0敗ではなくなりますか?
A2:いいえ。本割の7番で全勝していれば、決定戦で敗れても公式成績は7勝0敗です。ただし、優勝者にはならず、優勝同点という扱いになります。
Q3:三段目優勝すると翌場所は必ず幕下に昇進しますか?
A3:2026年の優勝者5人は全員翌場所に幕下へ昇進しました。ただし、番付は成績や周囲の力士との兼ね合いを踏まえて編成されます。優勝したからといって十両へ直接昇進するわけではありません。
Q4:2026年9月場所の三段目優勝者は誰ですか?
A4:春日野部屋の小林です。西三段目37枚目で7勝0敗を記録し、2度目の三段目優勝を果たしました。
Q5:三段目優勝の歴代最多回数は何回ですか?
A5:2026年7月場所時点の記録整理では3回です。若ノ城宗彦と唐津海誠二が該当します。
三段目優勝は、幕下や十両を目指す力士にとって大きな実績です。1場所7番という限られた取組の中で7戦全勝を達成することは簡単ではなく、複数の全勝力士が出れば優勝決定戦という最後の勝負も待っています。
2026年は花の富士、生田目、旭富士、天昇山、小林の5人が三段目優勝を達成しました。特に生田目と旭富士は十両復帰・新十両という結果につなげ、天昇山も幕下筆頭まで番付を上げています。
一方、小林のようにけがから復帰して再び優勝する力士もいます。優勝回数だけでなく、過去の番付、休場歴、翌場所の成績を追うことで、それぞれの力士が歩んできた道のりが見えてきます。
【プロの結論】
三段目優勝を理解するうえで重要なのは、7勝0敗という数字、優勝決定戦の結果、そして翌場所の番付変動を切り分けて見ることです。
7戦全勝でも決定戦で敗れれば優勝にはならず、三段目優勝を果たしても十両昇進が決まるわけではありません。幕下で勝ち越しを重ね、上位の番付を目指していく過程まで追うことが、本当の意味で力士の成長を理解する方法です。
2026年11月場所では、生田目と旭富士が十両で戦い、花の富士、天昇山、小林も幕下で新たな挑戦に臨みます。三段目で結果を残した5人が、今後どこまで番付を上げていくのか。次の場所でも、その成績と土俵上の変化に注目したいところです。
主な参照記録・報道