今回の賞金改定で注目すべきなのは、なぜ1994年以来となる大規模な見直しが実施されたのかという点です。
背景には、物価上昇、相撲協会の収益状況、力士の待遇改善という3つの要素があります。
1994年以来33年ぶりの賞金改定今回の改定以前、幕内優勝賞金は1000万円でした。
実は、1994年の改定時にも幕内優勝賞金は500万円から1000万円へ倍増しています。
そして2027年、再び1000万円から2000万円への倍増が決まりました。
つまり、幕内優勝賞金の変遷は次のとおりです。
- 1994年以前:500万円
- 1994年の改定後:1000万円
- 2027年初場所から:2000万円
約33年間、幕内優勝賞金は1000万円に据え置かれていました。物価や経済環境が変わるなかで、競技の頂点に対する報酬を見直す必要性が高まったことがうかがえます。
物価高騰と相撲協会の収益改善日刊スポーツの2026年7月31日付報道によると、日本相撲協会は前年度に約13億円の黒字を計上しました。
背景として挙げられたのは、入場券収入やグッズ販売の好調です。
こうした収益状況を踏まえ、力士への還元を含めた待遇改善が進められました。
また、2027年からは東京開催場所と大阪の春場所で入場料金も改定されます。増収分については、力士の処遇改善や健康管理、両国国技館の維持などに反映させる方針が報じられています。
藤島親方が説明した2000万円の価値今回の賞金改定について、協会の広報部長を務める藤島親方(元大関・武双山)は、他競技との比較も検討材料にしたと説明しています。
日刊スポーツが伝えた発言は次のとおりです。
「他競技とも比べた。幕内優勝は2000万円で、そのくらいの値打ちはある」
この発言から読み取れるのは、単純な物価対応だけではなく、幕内最高優勝という競技上の成果に見合った報酬を設定しようとする考え方です。
大相撲は、年間を通じて本場所が開催され、力士は厳しい番付競争を続けます。優勝という結果を残すまでには、日々の稽古や身体の管理、長期的な競技生活が欠かせません。
賞金の引き上げは、こうした競技活動に対する評価を金銭面でも見直す動きと捉えられます。
【給料との違い】十両力士の月給110万円は2027年に120万円へ

十両優勝賞金を調べる読者が、もう一つ気になるのが十両力士の給料と考えられます。
十両力士には毎月の給与が支給されます。優勝賞金とは別の収入であり、両者を混同しないことが大切です。
十両力士の月給は110万円から120万円へ2026年11月場所までの十両力士の月額給与は110万円です。
2027年1月からは120万円に引き上げられます。
| 項目 | 2026年まで | 2027年1月から |
|---|---|---|
| 十両の月給 | 110万円 | 120万円 |
| 月額の増加 | ― | 10万円 |
| 増額率 | ― | 約9.1% |
今回の給与改定は2019年以来8年ぶりです。
十両だけでなく、横綱から幕内までの関取給与も引き上げられます。日刊スポーツなどが報じた新しい月給は次のとおりです。
- 横綱:300万円から330万円
- 大関:250万円から275万円
- 関脇・小結:180万円から200万円
- 幕内:140万円から155万円
- 十両:110万円から120万円
いずれも2027年1月からの金額です。
優勝賞金300万円は月給の何か月分?2027年からの十両力士の月給120万円と、十両優勝賞金300万円を比較してみます。
300万円を120万円で割ると、2.5か月分です。
つまり、十両優勝賞金は、改定後の基本月給に換算すると2か月半に相当します。
この比較からも、優勝賞金が力士にとって大きな成果報酬であることが分かります。
ただし、月給は毎月支給される基本的な給与であり、優勝賞金は優勝した場合に限って得られる一時的な報酬です。
同じ300万円でも、収入としての性質はまったく異なります。
幕下以下には月給がない?十両との大きな待遇差もう一つ知っておきたいのが、幕下以下の力士の収入です。
十両以上の関取には月給がありますが、幕下以下の力士には同じ仕組みの月給はありません。
代わりに、本場所ごとの場所手当や勝ち星金、勝ち越し金などが支給されます。
2027年1月からは、これらの支給額も引き上げられます。
例えば幕下の場所手当は、1場所16万5000円から18万円へ増額されます。勝ち星金や勝ち越し金も改定対象です。
この違いを考えると、十両昇進が力士の経済面で大きな転換点になる理由が理解できます。
十両優勝の300万円という賞金だけでなく、関取として安定した月給を得られること自体が、幕下以下の力士にとって大きな目標なのです。
【三賞も増額】殊勲賞・敢闘賞・技能賞は各300万円に
優勝賞金と一緒に注目したいのが、大相撲の三賞です。
三賞とは、殊勲賞・敢闘賞・技能賞の3種類の賞を指します。幕内優勝とは別に、場所を盛り上げた力士の活躍を評価する制度です。
2027年から三賞賞金も100万円アップ三賞の賞金は、2026年11月場所まで各200万円です。
2027年初場所からは、各300万円に増額されます。
それぞれの賞の意味は次のとおりです。
殊勲賞
横綱や大関を破るなど、優勝争いに大きな影響を与える活躍をした力士が対象です。
敢闘賞
旺盛な敢闘精神を発揮し、本場所を盛り上げた力士に贈られます。
技能賞
相撲の技術面で特に優れた内容を見せた力士が対象です。
日本相撲協会の公式解説でも、三賞は関脇以下の幕内力士に授与される賞として説明されています。したがって、十両優勝賞金と三賞賞金は別の制度です。
十両優勝と三賞は何が違う?ここは混同しやすいポイントです。
十両優勝は、十両の番付で優勝した力士に贈られる賞金です。
一方、三賞は幕内での活躍を評価する賞です。十両で優勝しただけでは三賞の対象にはなりません。
また、三賞は必ずしも幕内優勝力士に贈られるものではありません。優勝できなくても、横綱・大関を破ったり、優れた技能を発揮したりすれば受賞の可能性があります。
つまり、優勝賞金は場所の最終成績に対する報酬、三賞は場所での活躍に対する評価という違いがあります。
2027年からは両方の賞金が増えるため、力士にとっては優勝以外の目標に対する報酬も改善されることになります。
【よくある質問】十両優勝賞金に関するFAQ
Q1:十両優勝賞金は2026年にいくらですか?
A1:2026年11月場所までは200万円です。2027年1月の初場所から300万円に増額されます。
Q2:十両優勝賞金が300万円になるのはいつからですか?
A2:2027年1月場所からです。2026年11月の九州場所は従来の200万円が適用されます。
Q3:幕内優勝賞金はいくらになりますか?
A3:2027年1月場所から2000万円です。従来の1000万円から倍増します。
Q4:幕下優勝賞金はいくらですか?
A4:2026年11月場所までは50万円、2027年1月場所からは70万円です。
Q5:十両力士の給料は2027年にいくらになりますか?
A5:月額120万円です。2026年までの110万円から10万円増額されます。
Q6:三賞の賞金も300万円になりますか?
A6:はい。殊勲賞・敢闘賞・技能賞のそれぞれが200万円から300万円に増額されます。こちらも2027年初場所から適用されます。
Q7:優勝賞金と月給は別々にもらえるのですか?
A7:はい。月給は関取に支給される基本給与で、優勝賞金は各段で優勝した場合に得られる報酬です。十両力士が優勝すれば、月給とは別に十両優勝賞金を受け取る仕組みです。
2026年7月30日に日本相撲協会が発表した賞金制度の改定は、大相撲にとって33年ぶりの大きな転換点です。
十両優勝賞金は200万円から300万円へ、幕内優勝賞金は1000万円から2000万円へ増額されます。幕下以下の各段優勝賞金や三賞も引き上げられ、十両力士の月給も110万円から120万円に変更されます。
今回の変更で押さえておきたい要点は3つです。
1. 2026年11月場所までは旧制度。 十両優勝賞金は200万円。
2. 2027年初場所から新制度。 十両優勝賞金は300万円、幕内優勝賞金は2000万円。
3. 賞金だけでなく待遇全体が改善。 関取の月給や幕下以下の手当も増額。
特に注目したいのは、優勝賞金と月給の両方が引き上げられる点です。
十両昇進を目指す力士にとっても、すでに関取として活躍する力士にとっても、今回の制度変更は大きな意味を持ちます。
2027年初場所からは、300万円となった十両優勝賞金を誰が手にするのか。番付争いとともに、新しい賞金制度のもとで繰り広げられる力士たちの戦いにも注目が集まります。