「左様でございます」は、相手の発言や確認事項に対して「そのとおりです」「おっしゃるとおりです」と肯定する、改まった丁寧な表現です。ビジネスシーンや接客、電話応対などで使われますが、正しい敬語なのか、目上の人に使っても失礼にならないのか、迷う人も少なくありません。
この表現は、単に「そうです」を丁寧にしただけではありません。「左様」という言葉の意味と「ございます」の敬語としての働きを理解すると、「左様でございます」と「左様でございますか」の違いや、状況に応じた自然な言い換えも判断しやすくなります。
【1】左様でございますの意味とは?「左様」の読み方と本来の語義

「左様でございます」は、読み方を「さようでございます」といいます。
相手が述べた内容や確認した事柄について、それが正しいことを認めたり、同意したりするときに使う表現です。
一般的な言葉に置き換えると、次のようになります。
- そのとおりです。
- おっしゃるとおりです。
- はい、その認識で間違いありません。
- ご理解いただいている内容で相違ありません。
例えば、取引先から「こちらの資料が最新版ということでよろしいでしょうか」と尋ねられた場合、「左様でございます」と返答すれば、相手の認識が正しいことを丁寧に伝えられます。
ただし、単なる相づちではなく、相手の発言内容を肯定する意味が含まれるため、事実関係を確認したうえで使うことが大切です。
「左様」の意味は「そのよう」「そのとおり」「左様」は「さよう」と読み、「そのよう」「そのとおり」という意味を持つ言葉です。
小学館の『デジタル大辞泉』では、「然様/左様」という表記が示され、形容動詞としての用法と、感動詞としての用法が説明されています。
形容動詞として使う場合は、先に述べられた事柄を指して「そのようだ」「そのとおりだ」という意味になります。
一方、感動詞として使う場合は、相手の発言を肯定したり、自分が何かを思い出したりしたときに発する言葉です。
例えば、次のような使い方があります。
- 「左様な事情があったのですね」
- 「はい、左様でございます」
- 「左様、以前にもお話ししましたね」
現在のビジネス会話では、特に「左様でございます」の形で、相手の発言を肯定する用法がよく知られています。
なぜ「左」と書く?「然様」との関係「そのとおり」という意味なのに、なぜ「左」という漢字を使うのでしょうか。
実は、辞書では「左様」と「然様」の両方が表記として示されています。
「然」は、物事がそのようであることを表す漢字です。「様」は様子や状態を意味します。
そのため、「然様」という表記は「そのような状態」「そのとおり」という意味と結び付きます。
「左様」の「左」を、左右の位置関係や上下関係から直接解釈する必要はありません。現代の日本語では、「左様」そのものが「そのよう」「そのとおり」を表す語として定着しています。
【2】左様でございますは敬語として正しい?丁寧語の仕組みを解説
「ございます」は丁寧語に分類される「左様でございます」は、正しい敬語表現です。
その理由を理解するには、言葉を二つに分けて考えると分かりやすくなります。
左様+でございます
「左様」は「そのよう」「そのとおり」という意味を持つ言葉です。
「ございます」は「です」よりも丁寧さの度合いが高い表現で、相手に対して改まった言い方をする際に使われます。
文化庁の「敬語おもしろ相談室」では、敬語を尊敬語、謙譲語I、謙譲語II、丁寧語、美化語の5種類に分類しています。
同資料では、「です」「ます」と同じタイプの敬語として「(で)ございます」が挙げられ、さらに丁寧さの度合いが高い表現として説明されています。
したがって、「左様でございます」は、基本的に丁寧語を用いた敬語表現として理解できます。
尊敬語や謙譲語とは違うここで間違えやすいのが、丁寧語と尊敬語・謙譲語の違いです。
それぞれの役割は異なります。
- 尊敬語:相手や第三者の行為、状態などを高めて表現する。
- 謙譲語:自分側の行為をへりくだって表現し、相手を立てる。
- 丁寧語:話し相手に対して、言葉遣いを丁寧にする。
「左様でございます」は、相手の行為を高めたり、自分の行為をへりくだらせたりする表現ではありません。
文末の「ございます」によって、相手に対する丁寧さを示しています。
そのため、目上の人や取引先に対しても使用できます。
「左様でございます」は二重敬語ではない「ございます」という丁寧な表現を使うことから、二重敬語ではないかと疑問に思う人もいます。
しかし、「左様でございます」は二重敬語ではありません。
二重敬語とは、同じ種類の敬語を一つの言葉に重ねて使うことです。
例えば、尊敬語を重ねた「おっしゃられる」は、一般に二重敬語とされます。
一方、「左様」は尊敬語ではありません。「ございます」によって丁寧さを加えているため、敬語の種類を重複させた表現には当たりません。
したがって、文法上の誤りを心配する必要はありません。
【3】ビジネスでの使い方と例文!目上の人への自然な返答
「左様でございます」は、接客、電話応対、商談、社外との連絡など、改まった場面で使いやすい表現です。
ただし、相手の発言を肯定するのか、話を聞いていることを示すのかによって、適切な形が変わります。
① 取引先や顧客の質問に答える場合相手の質問に対して、事実が正しいことを確認して伝える場面です。
例文
取引先:「今回の打ち合わせは、金曜日の午後2時からということでよろしいでしょうか」
自分:「左様でございます。金曜日の午後2時より、よろしくお願いいたします」
この場合は、相手が確認した日時が正しいことを肯定しています。
単に「はい」と返すよりも、改まった印象になります。
② 上司や目上の人に返答する場合目上の人に対しても使用できます。
例文
上司:「今回の資料は、営業部が作成したものですね」
自分:「左様でございます。営業部にて作成いたしました」
ただし、普段から親しい上司との日常会話では、少々形式ばった印象になることがあります。
その場合は「はい、そのとおりです」「おっしゃるとおりです」といった表現のほうが自然です。
③ 電話応対で使用する場合電話では、相手の質問に対する確認や、話の内容を受け止める返答として使えます。
例文
顧客:「そちらの会社は、土曜日も営業していますか」
担当者:「左様でございます。土曜日も通常どおり営業しております」
ここでは、営業しているという事実を肯定したうえで、具体的な情報を補足しています。
電話では声だけで意思疎通をするため、「左様でございます」の後に必要な説明を加えると、相手にも内容が伝わりやすくなります。
④ クレームや指摘を受けた場合相手の話を受け止める場面では、「左様でございますか」という形が使えます。
例文
顧客:「注文した商品が、予定日になっても届いていません」
担当者:「左様でございましたか。ご不便をおかけしており、誠に申し訳ございません。至急、配送状況を確認いたします」
ここでは「左様でございましたか」によって、相手の話を丁寧に受け止めています。
ただし、相づちだけで対応を終わらせてはいけません。お詫びや事実確認、具体的な対応を続けることが大切です。
⑤ ビジネスメールで使用する場合「左様でございます」はメールでも使えます。
ただし、文章では口頭の会話よりも、何を肯定しているのかを明確にが必要です。
例文
取引先からの問い合わせ:
「次回の訪問場所は、3階の会議室でよろしいでしょうか」
返信:
「お問い合わせいただいた訪問場所につきましては、左様でございます。3階の会議室にてお待ちしております。
何卒よろしくお願い申し上げます。」
相手の質問を引用して回答する方法も有効です。
特に複数の確認事項があるメールでは、肯定する対象を明確にすると、認識の食い違いを防げます。
【4】左様でございます・そうです・左様でございますかの違いを比較
似た表現でも、意味や会話で果たす役割は同じではありません。
特に間違えやすいのが「左様でございます」と「左様でございますか」です。
表現ごとの意味と使い分け| 表現 | 主な意味 | 適した場面 | 丁寧さ・印象 |
|---|---|---|---|
| 左様でございます | そのとおりです | 正式な確認、接客、商談 | 非常に改まっている |
| 左様でございますか | そうなのですね | 相手の説明を受け止める | 非常に改まっている |
| 左様です | そのとおりです | 改まった会話 | 丁寧 |
| そうです | そのとおりです | 日常的な確認 | 一般的な丁寧表現 |
| そうですね | そうだと思います | 日常会話、軽い同意 | 柔らかい |
| おっしゃるとおりです | あなたの言うとおりです | 目上の人、商談 | 丁寧で自然 |
| 承知いたしました | 内容を理解しました | 指示、依頼、連絡 | 丁寧で実務的 |
| かしこまりました | 内容を承りました | 接客、依頼への対応 | 非常に丁寧 |
両者の大きな違いは、丁寧さと改まり具合です。
「そうです」も「です」を使った丁寧な表現であり、敬語として誤りではありません。
ただし、取引先や顧客に対して、特に改まった返答をしたい場合には「左様でございます」のほうが適しています。
例えば、次のような違いがあります。
「こちらが担当窓口でしょうか」
「はい、そうです」
「はい、左様でございます」
どちらも肯定の返答ですが、後者のほうが格式のある印象を与えます。
一方、社内の普段の会話で毎回「左様でございます」と答えると、距離を感じさせる可能性があります。
「左様でございます」と「左様でございますか」の違いこの二つは、語尾の「か」の有無によって意味が変わります。
左様でございます
相手の発言や質問内容が正しいと認める肯定の返答です。
例:「こちらが最新の資料でございますか」
「左様でございます」
左様でございますか
相手の話を聞き、その内容を受け止める相づちとして使います。
例:「来月から担当部署が変更になります」
「左様でございますか」
つまり、前者は「そのとおりです」、後者は「そうなのですね」という意味合いが中心です。
「左様でございますか」と返答しただけでは、相手の話に全面的に賛成したことにはなりません。
「承知しました」「かしこまりました」との違いこれらも混同しやすい表現です。
「左様でございます」は、相手の発言内容を肯定する表現です。
一方、「承知しました」は、説明や依頼の内容を理解したことを伝えます。
「かしこまりました」は、相手からの依頼や指示を丁寧に受けたことを伝える表現です。
例えば、上司から「明日の会議資料を準備してください」と依頼された場合は、「承知いたしました」が自然です。
「左様でございます」と答えると、依頼の内容に同意しただけのように聞こえ、実際に対応する意思が伝わりにくくなります。
【5】左様でございますの言い換え・類語!場面別のおすすめ表現
「左様でございます」は便利な言葉ですが、どの場面でも最適とは限りません。
相手との関係や、伝えたい内容によって言い換えることで、より自然な会話になります。
「おっしゃるとおりです」相手の意見や発言に同意するときに使える表現です。
例文:
「今回の課題は、情報共有の不足にあるということですね」
「はい、おっしゃるとおりです。社内での連携方法を見直す必要がございます」
相手の意見を尊重するニュアンスがあり、上司や取引先との会話にも適しています。
「ご指摘のとおりです」相手から問題点や改善点を指摘された場合に使います。
例文:
「こちらの資料には、数字の誤りがありますね」
「ご指摘のとおりです。確認のうえ、修正いたします」
単なる肯定ではなく、指摘された内容を認め、対応する意思も伝えられます。
「そのとおりでございます」「左様でございます」に近い意味を持つ、分かりやすい丁寧表現です。
例文:
「今回の受付時間は午後5時まででしょうか」
「はい、そのとおりでございます」
「左様」という言葉に馴染みがない相手にも意味が伝わりやすく、幅広いビジネスシーンで使えます。
「その認識で相違ございません」確認事項について、認識が一致していることを伝える表現です。
例文:
「納品日は11月20日という認識でよろしいでしょうか」
「はい、その認識で相違ございません」
契約、納期、金額、会議日時など、正確さが求められるやり取りに向いています。
「はい、間違いございません」相手の確認内容が正しいことを、明確に伝える表現です。
例文:
「こちらの金額は税込み価格でしょうか」
「はい、税込み価格で間違いございません」
実務的で分かりやすく、顧客対応にも適しています。
場面別のおすすめ言い換え一覧| 使用場面 | おすすめ表現 | 伝わるニュアンス |
|---|---|---|
| 取引先との商談 | おっしゃるとおりです | 相手の意見への同意 |
| 上司からの指摘 | ご指摘のとおりです | 指摘内容を認める |
| 顧客からの確認 | そのとおりでございます | 事実を肯定する |
| 契約や納期の確認 | その認識で相違ございません | 認識の一致 |
| 数字や情報の確認 | 間違いございません | 正確性の保証 |
| 依頼や指示への返答 | 承知いたしました | 内容の理解と受諾 |
| 接客での依頼への返答 | かしこまりました | 丁寧な受諾 |
【6】左様でございますを使う際の注意点!失礼にならない判断基準
正しい敬語であっても、使う場面を間違えると不自然な印象になることがあります。
特に注意したいのは、使いすぎ、相手との距離感、肯定する内容の確認です。
① 何度も繰り返すと形式的な印象になる会話のたびに「左様でございます」と繰り返すと、機械的な受け答えに聞こえることがあります。
例えば、次のような会話です。
「こちらが受付でございますか」
「左様でございます」
「予約は必要でしょうか」
「左様でございます」
「受付時間は午後5時まででしょうか」
「左様でございます」
このような受け答えでは、丁寧ではあっても、会話に変化がありません。
「承知いたしました」「おっしゃるとおりです」「その認識で間違いございません」などを適切に組み合わせると、自然な応対になります。
② 親しい上司や同僚には堅苦しくなることがある目上の人だからといって、常に最も改まった敬語を使う必要はありません。
例えば、日常的にコミュニケーションを取っている直属の上司に対しては、「はい、そのとおりです」のほうが自然な場合があります。
敬語は、相手の役職だけでなく、会話の目的や関係性に応じて選ぶことが大切です。
③ 相手の意見を無条件に肯定しない「左様でございます」は肯定の表現です。
そのため、相手が述べた内容が間違っている可能性がある場合には、安易に使用しないほうがよいでしょう。
例えば、取引先から誤った金額を提示された場合、「左様でございます」と答えると、その金額を正しいと認めたことになります。
その場合は、次のような返答が適切です。
「恐れ入りますが、こちらの金額について確認させていただけますでしょうか」
相手への配慮を保ちながら、事実確認につなげられます。
④ クレーム対応では相づちだけで終わらせない「左様でございますか」は、相手の話を受け止める表現です。
しかし、クレームを受けた際に何度も繰り返すと、他人事のような印象を与える可能性があります。
大切なのは、相手の話を聞いた後に、具体的な行動を示すことです。
例えば、次のような流れが自然です。
- 相手の話を受け止める:「左様でございましたか」
- 謝罪する:「ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません」
- 対応を伝える:「至急、担当部署に確認いたします」
- 今後の連絡を約束する:「確認が取れ次第、ご連絡いたします」
敬語の丁寧さだけでなく、相手の問題を解決する姿勢が重要です。
⑤ メールでは肯定する対象を明確にするメールやチャットでは、声の調子や表情が伝わりません。
そのため、「左様でございます」だけでは、どの内容に対する返答なのか分かりにくくなる場合があります。
複数の確認事項がある場合には、項目ごとに回答すると誤解を防げます。
また、文章の流れによっては「ご認識のとおりでございます」「確認いたしましたところ、間違いございません」などのほうが自然です。
【プロの結論】敬語は丁寧さよりも伝達の正確さで選ぶ「左様でございます」を上手に使うために、最も意識したいのは、相手に何を伝えたいのかという点です。
相手の発言を肯定したいなら「左様でございます」、相手の話を受け止めたいなら「左様でございますか」、依頼を引き受けたいなら「承知いたしました」と使い分けます。
また、目上の人に対しても、必要以上に形式的な表現を使うことが必ずしも好印象につながるわけではありません。
丁寧さ、自然さ、意味の正確さ。この3点を基準に言葉を選ぶことが、ビジネスコミュニケーションの質を高めるポイントです。
【左様でございますの意味】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「左様でございます」は目上の人に使っても失礼ではありませんか?
A1:失礼ではありません。丁寧語の「ございます」を使った正しい敬語表現です。上司や取引先、顧客などに使用できます。ただし、親しい上司との日常会話では堅苦しく感じられることがあるため、「おっしゃるとおりです」なども使い分けましょう。
Q2:「左様でございます」と「左様でございますか」は何が違いますか?
A2:「左様でございます」は「そのとおりです」と肯定する表現です。一方、「左様でございますか」は「そうなのですね」という意味で、相手の話を受け止める相づちとして使います。語尾の「か」によって会話上の役割が変わります。
Q3:「左様でございます」は二重敬語ですか?
A3:二重敬語ではありません。「左様」は尊敬語ではなく、「ございます」が丁寧さを加える役割を持っています。そのため、文法上も正しい敬語表現です。
Q4:「左様でございます」の言い換えには何がありますか?
A4:「おっしゃるとおりです」「そのとおりでございます」「ご指摘のとおりです」「その認識で相違ございません」などがあります。相手の意見への同意、事実の確認、指摘への対応など、場面に合わせて選ぶと自然です。
Q5:「そうです」と「左様でございます」はどちらが丁寧ですか?
A5:一般的には「左様でございます」のほうが改まった丁寧な表現です。ただし、「そうです」も「です」を使った丁寧語であり、間違った敬語ではありません。日常的な会話では「そうです」、正式な接客や取引先への返答では「左様でございます」と使い分けるとよいでしょう。
Q6:「左様でございます」はメールでも使えますか?
A6:使用できます。問い合わせへの回答や、相手の認識が正しいことを確認する場面で使えます。ただし、メールでは「ご認識のとおりでございます」「その内容で相違ございません」など、肯定する対象が明確になる表現もおすすめです。
「左様でございます」は、「そのとおりです」という意味を持つ、改まった丁寧な肯定表現です。
「左様」は「そのよう」「そのとおり」を意味し、「ございます」は丁寧語として相手に対する丁寧さを加えます。正しい敬語であり、二重敬語にも当たりません。
ビジネスシーンでは、取引先への確認、顧客対応、電話応対、正式な会話などで活用できます。
一方、相手の話を受け止めるときには「左様でございますか」、意見に同意するときには「おっしゃるとおりです」、依頼を引き受けるときには「承知いたしました」というように、目的に合わせた言い換えも必要です。
2026年のビジネスコミュニケーションでも、敬語は単に難しい言葉を使えばよいというものではありません。
相手との関係性を考え、伝えたい内容に最も合った表現を選ぶこと。 それが「左様でございます」を自然かつ効果的に使いこなすための基本です。
主な根拠資料: 小学館『デジタル大辞泉』、文化庁「敬語おもしろ相談室」、マイナビニュース(2026年7月31日更新)。