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【京都・大原が発祥】しば漬けと建礼門院にまつわる歴史とは?

倉持 玲奈 倉持 玲奈 • 更新: • 公開: • 読了約 9 分
目次

CMで有名になったしば漬けだが、その歴史は1980年代よりはるか昔にさかのぼる。

しば漬けの発祥地として知られるのは、京都市左京区の大原地区。千枚漬け、すぐき漬けと並ぶ「京都三大漬物」の一つに数えられている。

農林水産省の「うちの郷土料理」でも、しば漬けは京都府を代表する伝統食品として紹介されている。

建礼門院が名前を付けたという伝説

しば漬けの由来には、平安時代末期の人物、建礼門院(平徳子)にまつわる伝承がある。

建礼門院は平清盛の娘で、高倉天皇の皇后となった人物。平家が滅亡した後、京都・大原の寂光院に身を寄せたと伝えられている。

その建礼門院を慰めようと、大原の里人が地元の野菜と赤しそを使った漬物を献上した。

美しい紫色と独特の風味を持つその漬物を気に入った建礼門院が、「紫葉漬け(むらさきはづけ)」と名付けたというのが、よく知られる由来の一つだ。

農林水産省の資料では、大原の三千院の僧侶・聖応大師がしば漬けを発案したという伝承も紹介されている。

つまり、建礼門院の逸話は、しば漬けの名前と結びついた歴史的な伝説として受け継がれているのである。

なぜ京都・大原でしば漬けが発展したのか

大原がしば漬けの産地として知られる理由は、土地の自然環境にある。

特に重要なのが、赤しその品質だ。

農林水産省によると、大原地区は赤しその産地として知られ、発色と香りが高く評価されている。盆地という地形や長年の栽培の積み重ねによって、原品種に近い赤しそが維持されてきたという。

土井志ば漬本舗も、大原特産の「ちりめん赤紫蘇」を伝統製法に欠かせない素材として紹介している。

山に囲まれた環境や昼夜の寒暖差が、赤しその品質を守る条件になっているという。

しば漬けは、単なる野菜の塩漬けではない。

大原の風土、赤しその栽培、地域の保存食文化が組み合わさって生まれた郷土料理なのだ。

【原材料と製法を比較】生しば漬けと一般的なしば漬けは何が違う?

しば漬け食べたい

スーパーで見かけるしば漬けと、京都・大原の伝統的な生しば漬けは、同じ名前でも製法や味わいに違いがある。

その違いを理解するには、原材料と乳酸発酵に注目したい。

伝統的な生しば漬けの原材料はシンプル

大原の伝統的な生しば漬けの基本材料は、次の3つだ。

- ナス
- 赤しそ
- 塩

土井志ば漬本舗の製法紹介によれば、同社の伝統的な志ば漬は、ナスと大原産のちりめん赤紫蘇、塩だけを使用する。

余計な調味料で味を整えるのではなく、素材と発酵によって独特の酸味や風味を引き出す製法だ。

乳酸発酵が生み出す独特の酸味

しば漬けの特徴を理解するうえで欠かせないのが乳酸発酵である。

塩と野菜を漬け樽に入れ、重石をして漬け込むと、野菜から水分が排出される。その環境で乳酸菌が働き、発酵が進む。

土井志ば漬本舗の説明では、同社の製法の場合、漬け込みから樽出しまでの期間は季節によって異なるものの、おおむね30日程度。

加えて、漬け込み時に乳酸菌を添加するのではなく、長年使用してきた樽や空気中に存在する乳酸菌の働きによって発酵を進めるという。

この工程によって、しば漬けならではの酸味と深い味わいが生まれる。

生しば漬けと一般的なしば漬けの違い
比較項目 伝統的な生しば漬け 一般的なしば漬け
主な材料 ナス・赤しそ・塩 ナス・キュウリ・ミョウガ・しそなど
製法 塩による漬け込みと乳酸発酵 商品によって異なる
味わい 発酵由来の酸味と深い風味 商品ごとに酸味や甘みが異なる
香り 赤しその香りが豊か しその風味や調味料の味わい
特徴 大原の伝統的な製法 現代の食卓に合わせた多様な商品

農林水産省によれば、現在のしば漬けにはキュウリやミョウガなどを加えることも多い。一方、生しば漬けはナスと赤しそを塩だけで漬け、乳酸発酵させるものとして区別されている。

ここで注意したいのは、すべての市販品が同じ製法ではないことだ。

「しば漬け」という商品名だけでは、伝統的な乳酸発酵なのか、調味液を使った製法なのかまでは判断できない。

本格的な大原の味を楽しみたい場合は、商品パッケージの原材料表示と製造方法の説明を確認するのがおすすめだ。

赤しその役割は色付けだけではない

赤しそは、しば漬けに鮮やかな赤紫色を与える重要な素材だ。

しかし、役割は見た目だけではない。

香りや味わいにも関わり、ナスとの組み合わせによって、しば漬け特有の風味が完成する。

京都・大原の赤しそが高く評価されているのも、色、香り、素材としての品質が重視されてきたためだ。

【2026年の楽しみ方】しば漬けはご飯のお供だけではない!

1987年のCMで印象的だったのは、白いご飯と漬物というシンプルな組み合わせだった。

2026年現在も、しば漬けはご飯のお供として楽しめるほか、料理のアクセントにも活用できる。

1. 炊きたての白ご飯と合わせる

最も基本的な食べ方だ。

しば漬けの酸味と塩味は、ご飯の甘みと相性がよい。細かく刻最初に、そのまま食べることでナスの食感や赤しその香りも楽しめる。

昔のCMの雰囲気を味わいたいなら、まずは炊きたての白ご飯と一緒に食べてみたい。

2. おにぎりやお茶漬けにする

細かく刻んだしば漬けを、ご飯に混ぜておにぎりにするのもおすすめだ。

お茶漬けに添えれば、発酵由来の酸味が味のアクセントになる。

特に、さっぱりした食事を楽しみたいときに取り入れやすい。

3. タルタルソースやポテトサラダに加える

しば漬けを細かく刻み、マヨネーズと合わせると、漬物の酸味と食感を生かしたタルタルソースになる。

また、ポテトサラダに加えると、一般的なキュウリとは違った風味を楽しめる。

揚げ物やサンドイッチに合わせるなど、和食以外にも応用できる。

4. 本格的な京都の味を楽しむなら大原の専門店へ

京都の大原には、伝統的なしば漬けを製造・販売する専門店がある。

代表的なのが、だ。

同社は大原の伝統的な志ば漬を製造し、赤しその栽培から漬け込み、商品化までの工程を紹介している。大原本店では製造工場の見学も案内されている。

伝統的な味を知りたい人は、一般的な調味漬けの商品と食べ比べてみると、発酵による味わいの違いが分かりやすい。

【しば漬け食べたい】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:しば漬け食べたいの元ネタは何ですか?

A1:1987年に放送されたフジッコ「つけもの百選」のテレビCMです。山口美江さんが仕事に追われるキャリアウーマンを演じ、エレベーターで「しば漬け食べたい……」とつぶやく場面が話題になりました。

Q2:しば漬け食べたいのCMは何年に放送されましたか?

A2:1987年です。フジッコの公式企業沿革にも、同年の「つけもの百選」発売とテレビCMによるブームが記録されています。

Q3:山口美江さんは現在どうしていますか?

A3:山口美江さんは2012年3月、心不全のため51歳で亡くなっています。現在も「しば漬け食べたい」のCMは、代表的な出演作として語り継がれています。

Q4:しば漬けはどこの名産品ですか?

A4:京都市左京区の大原地区が代表的な産地です。千枚漬け、すぐき漬けと並ぶ京都三大漬物の一つとして知られています。

Q5:生しば漬けと普通のしば漬けは何が違いますか?

A5:伝統的な生しば漬けは、ナスと赤しそ、塩を使って乳酸発酵させるものです。一般的なしば漬けにはキュウリやミョウガなどを加えたものもあり、商品によって製法や味が異なります。

「しば漬け食べたい」は、1987年のフジッコ「つけもの百選」のテレビCMから広まった、山口美江さんを象徴する名フレーズだ。

仕事に追われるキャリアウーマンが、ふと口にした素朴な願い。その短いセリフには、忙しい日常から解放されたいという気持ちと、慣れ親しんだ食べ物への安心感が込められていた。

一方、しば漬けそのものにも、京都・大原の自然や赤しその栽培、建礼門院にまつわる伝説、乳酸発酵による伝統製法という長い歴史がある。

2026年に改めて振り返ると、このCMが残したものは懐かしい一言だけではない。テレビ広告が食文化を広めた事例であり、地域の伝統食品が全国的に知られるきっかけにもなった。

CMを懐かしむなら、今度は本物のしば漬けを白いご飯と一緒に味わってみたい。山口美江さんのあの一言が、長い年月を経ても人々の記憶から消えない理由が、きっと伝わってくるはずだ。

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倉持 玲奈

テクノロジー分野を担当。一次情報(公式発表・公式サイト)と発表日を必ず確認し、推測は推測と明記する編集方針に従っています。

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