山口組の歴史は1915年に始まる。神戸を拠点に発足した組織は、戦後の拡大期を経て全国規模の暴力団へと成長した。
歴代組長は次の6人である。
1. 初代・山口春吉(1915~1925年):山口組の創設者。神戸港の港湾労働者を背景に組織を立ち上げた。
2. 二代目・山口登(1925~1942年):初代の実子。港湾関係や興行分野への関与を広げた。
3. 三代目・田岡一雄(1946~1981年):山口組の全国的な勢力拡大を進めた人物。組織の歴史における重要な転換期を担った。
4. 四代目・竹中正久(1984~1985年):継承をめぐる対立が深まり、後の山一抗争につながった時期の組長。
5. 五代目・渡辺芳則(1989~2005年):山健組出身。山一抗争後の組織再編を経て五代目を継承した。
6. 六代目・篠田建市(2005年~):司忍の通称で知られる。2026年の警察資料でも代表者として記載されている。
三代目田岡一雄の時代は、山口組が全国に勢力を広げた時期として知られる。
1981年に田岡が死去すると、後継をめぐる問題が浮上した。1984年には竹中正久が四代目を継承したが、これに反発する勢力が一和会を結成。1985年から1987年にかけて山一抗争が発生した。
1989年には渡辺芳則が五代目に就任し、2005年には篠田建市が六代目を継承した。
この歴史から分かるのは、山口組の分裂が2015年に初めて発生したわけではないということだ。組長の継承、人事、組織運営をめぐる対立は、以前から組織の存続に影響してきた。
【2015年の山口組分裂】神戸山口組・池田組・絆會が誕生した経緯

2015年8月末、六代目山口組の内部で大規模な離脱が起きた。
警察庁の資料によると、六代目山口組の直系組長13人が離脱し、神戸山口組を結成した。
背景として報道されてきたのは、弘道会出身者を中心とした執行部の運営、人事への不満、組織内の意思決定や経済的負担をめぐる問題などである。
単純に組長同士の個人的な対立として理解するより、組織の運営方針と主導権をめぐる対立として捉える方が実態に近い。
山口組分裂後の主要な出来事分裂後の動きを時系列で整理すると、現在の4団体の関係が分かりやすい。
- 2015年8月: 六代目山口組から離脱した勢力が神戸山口組を結成。
- 2016年3月: 警察庁が両団体を対立抗争状態と判断。
- 2016年4月: 神戸山口組が指定暴力団に指定される。
- 2017年4月: 神戸山口組の傘下組織の一部が任侠山口組の結成を表明。
- 2018年3月: 任侠山口組が指定暴力団に指定される。
- 2020年1月: 六代目山口組と神戸山口組が特定抗争指定暴力団等に指定される。
- 2020年2月: 任侠山口組が絆會に名称変更。
- 2020年7月: 池田組が神戸山口組からの離脱を表明。
- 2021年11月: 池田組が指定暴力団に指定される。
- 2022年12月: 六代目山口組と池田組が特定抗争指定暴力団等に指定される。
- 2024年6月: 六代目山口組と絆會が特定抗争指定暴力団等に指定される。
この経緯は警察庁の2026年4月公表資料に記録されている。
【関係図を整理】神戸山口組・池田組・絆會との関係は?
2015年以降の分裂を理解するためには、4団体を同じ組織の上下関係として扱わないことが大切だ。
六代目山口組と神戸山口組は、2015年の分裂によって別団体となった。その後、神戸山口組からも一部勢力が離脱し、絆會や池田組が独立した経緯がある。
2026年時点の団体別比較次の表は、警察庁の分裂経緯と、2026年5月末時点の静岡県警察の指定暴力団一覧を組み合わせて整理したものだ。
| 団体 | 成立・離脱の経緯 | 公表されている代表者 | 構成員数 |
|---|---|---|---|
| 六代目山口組 | 2005年に六代目体制へ | 篠田建市 | 約3,100人 |
| 神戸山口組 | 2015年に分裂して結成 | 井上邦雄 | 約110人 |
| 絆會 | 2017年に神戸山口組から分裂。2020年に改称 | 金禎紀 | 約50人 |
| 池田組 | 2020年に神戸山口組から離脱 | 金孝志 | 約30人 |
注:構成員数は2026年5月末時点の警察資料に掲載された概数。準構成員等は含まない。代表者は同資料の「代表する者」の記載。
神戸山口組との関係神戸山口組は、2015年の分裂によって誕生した団体である。
六代目山口組との対立は分裂後も続き、2020年1月には特定抗争指定暴力団等に指定された。
2026年の警察庁資料でも指定の継続が確認されている。2025年末時点の警戒区域は9府県17市町に及ぶ。
池田組との関係池田組は、もともと神戸山口組の傘下にあったが、2020年7月に離脱を表明した。
その後、2021年11月に指定暴力団となり、2022年12月には六代目山口組との対立を理由として特定抗争指定暴力団等に指定された。
2025年末時点の警戒区域は7府県8市である。
絆會との関係絆會は、2017年4月に神戸山口組から離脱した勢力が結成した任侠山口組を前身とする。
2020年2月に絆會へ名称を変更した。六代目山口組との対立を受け、2024年6月に特定抗争指定暴力団等に指定されている。
また、警察庁の2026年公表資料によると、2025年7月には大阪府公安委員会が、絆會の主たる事務所について、大阪市所在の施設に代わり寝屋川市所在の施設を公示した。これは公的な指定情報の変更として注目される。
【警察庁の2026年最新データ】山口組の組織の実態と現状
2026年の山口組を理解するには、組織内の役職だけでなく、構成員数の推移や警察の対策も確認する必要がある。
警察庁が2026年4月に公表した令和7年の確定値では、全国の暴力団構成員及び準構成員等の合計は約17,600人だった。
内訳は次のとおり。
- 暴力団構成員:約9,400人
- 準構成員等:約8,200人
- 合計:約17,600人
2005年以降、全国の暴力団勢力は減少傾向にあり、2025年末の合計は過去最少水準となっている。
六代目山口組の構成員数の変化警察庁の公表値によると、六代目山口組の構成員数は次のように推移している。
| 年末 | 構成員数 |
|---|---|
| 2015年 | 約5,200人 |
| 2020年 | 約3,800人 |
| 2021年 | 約4,000人 |
| 2022年 | 約3,800人 |
| 2023年 | 約3,500人 |
| 2024年 | 約3,300人 |
| 2025年 | 約3,100人 |
2021年に一時的な増加が見られるものの、その後は減少している。2025年末は前年比200人減だった。
ただし、構成員数が減少しているからといって、組織の影響力や犯罪リスクが同じ割合で低下したと判断することはできない。
警察庁は、暴力団が活動を不透明化させ、匿名・流動型犯罪グループとの連携などを通じて資金獲得活動を多様化させている実態も指摘している。
特定抗争指定暴力団等とは何か特定抗争指定暴力団等は、対立抗争が激化した団体に対して、暴力団対策法に基づき公安委員会が指定する制度である。
通常の指定暴力団とは異なり、警戒区域内では一定の行為が禁止される。
例えば、多数での集合、対立組織の構成員へのつきまとい、事務所の新設などが規制対象となる。
2026年の公表資料で確認できる六代目山口組をめぐる指定状況は次のとおりだ。
| 対立する団体 | 指定開始 | 2025年末の警戒区域 |
|---|---|---|
| 神戸山口組 | 2020年1月 | 9府県17市町 |
| 池田組 | 2022年12月 | 7府県8市 |
| 絆會 | 2024年6月 | 8府県11市 |
警察庁によれば、これらの指定は2025年末時点で継続していた。指定期限の延長や警戒区域の見直しも実施されている。
また、2016年から2025年までの対立抗争に起因するとみられる事件の発生件数は累計102件。2025年単年では1件だった。
件数が過去のピーク時より減っていることと、指定が継続していることは、別々の事実として理解する必要がある。
【情報の見極め方】ネット上の山口組組織図で注意したいこと
「山口組組織図」と検索すると、役職名や個人名を階層別に並べた画像、歴代幹部の一覧、分裂後の関係図などが表示される。
しかし、それらをすべて2026年現在の情報として受け取ることには注意が必要だ。
特に次の3点が、情報を見極める際の判断基準になる。
1. 古い役職者名簿を最新情報と混同しない過去の組織図には、当時の若頭や本部長、若頭補佐の氏名が記載されている場合がある。
しかし、2025年には若頭、本部長、若頭補佐などへの昇格人事があったことが警察庁資料に記録されている。
過去の名簿をそのまま2026年版として扱うことはできない。
2. 代表者と組織内の全役職者を同一視しない公安委員会の指定資料に掲載される代表者は、公的な確認対象である。
一方、内部の幹部全員を網羅した一覧は別の情報であり、公開資料だけで全容を把握することはできない。
代表者の名前が公表されているからといって、その下の全階層まで公表されているわけではない。
3. 分裂した団体を現在の傘下組織として扱わない神戸山口組、池田組、絆會は、それぞれ分裂や離脱を経て別団体となっている。
2015年以前の系列関係や、分裂直後の情報を2026年の関係図にそのまま当てはめるのは適切ではない。
現在の関係を調べる際には、警察庁の暴力団情勢や都道府県公安委員会の指定資料を優先することが大切だ。
【山口組の組織図】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在の六代目山口組の組長は誰ですか?
A1:公的資料に記載されている代表者は篠田建市です。司忍という通称でも知られています。警察庁の2026年4月公表資料でも確認できます。
Q2:山口組の若頭や本部長は誰ですか?
A2:警察庁の2026年公表資料では、2025年に若頭、本部長、若頭補佐などへの昇格人事が行われたことが確認できます。ただし、全役職者を網羅した最新の公式名簿は掲載されていません。
Q3:山口組は2015年にどうして分裂したのですか?
A3:執行部の組織運営や人事、組織内の主導権などをめぐる不満が背景として報じられています。2015年8月末に直系組長13人が離脱し、神戸山口組を結成しました。
Q4:神戸山口組と絆會は同じ組織ですか?
A4:別団体です。絆會は神戸山口組から離脱した勢力が2017年に結成した組織を前身とし、2020年に名称を変更しています。
Q5:池田組は六代目山口組の傘下ですか?
A5:いいえ。池田組は2020年7月に神戸山口組からの離脱を表明し、その後、独立した指定暴力団として指定されています。
Q6:山口組の公式組織図は公開されていますか?
A6:代表者や構成員数、指定状況などは警察庁や公安委員会の資料で確認できます。一方、若頭や本部長以下の役職者をすべて掲載した完全な公式組織図は一般公開されていません。
2026年現在の六代目山口組を理解するうえで、最も確かな基準となるのは、警察庁が公表した2025年の暴力団情勢と各都道府県公安委員会の指定資料である。
確認できる主な事実は次のとおりだ。
- 六代目山口組の代表者は篠田建市(司忍)。
- 2025年末の構成員数は約3,100人。
- 2015年8月末の分裂によって神戸山口組が結成された。
- 神戸山口組からの離脱を経て池田組と絆會が独立した。
- 六代目山口組と3団体との特定抗争指定暴力団等の指定は、2026年に公表された警察庁資料でも継続が確認されている。
- 若頭、本部長、若頭補佐などの人事は確認できるが、内部の全役職者を網羅した公式組織図は公開されていない。
重要なのは、組織図を一枚の画像だけで判断せず、代表者・役職・勢力規模・分裂の経緯・法的な指定状況を分けて理解することだ。
暴力団の勢力は減少している一方、活動の不透明化や資金獲得手法の多様化など、新たな問題も指摘されている。
今後の動向を追う際も、警察庁の年次資料と都道府県公安委員会の公表情報を基準にすることで、古い組織図や未確認の幹部情報に惑わされず、山口組の実態を把握しやすくなる。