契約更改のニュースで「保留」という言葉が登場すると、ファンの間では球団との関係悪化や退団の可能性が気になるものです。
しかし、契約保留は必ずしも退団や移籍を意味しません。
球団と選手の評価に差があり、提示条件を持ち帰って検討したい場合などに、サインを見送ることがあります。
契約更改で保留する主な理由代表的な理由は次のとおりです。
1.年俸評価に納得できない
選手側が考える貢献度と、球団が提示する査定額に差があるケースです。
例えば、出場試合数が少なくても、故障から復帰した後の活躍や重要な場面での貢献を評価してほしいと考える選手もいます。
2.球団との評価基準に違いがある
打撃成績を重視する選手と、守備や走塁、チーム全体への貢献を重視する球団では、評価が一致しないことがあります。
3.契約条件を十分に確認したい
基本年俸だけでなく、出来高、契約期間、起用方針などについて確認する必要がある場合です。
4.代理人と相談したい
提示された条件を持ち帰り、代理人や関係者と検討してから回答するケースもあります。
保留後に再交渉して合意すれば契約更改は成立します。年を越して交渉が続く場合もあります。
プロ野球の年俸調停制度とは?球団と選手の話し合いだけでは年俸が決まらない場合、野球協約に定められた「参稼報酬調停」という制度を利用できます。
日本プロフェッショナル野球協約第94条から第96条に規定されている制度です。
仕組みは次のようになっています。
1. 選手と球団の間で翌年度の年俸が合意に至らない。
2. 選手または球団がコミッショナーに調停を申請する。
3. 参稼報酬調停委員会が設けられる。
4. 選手本人と球団側の担当者から希望額と根拠を聴取する。
5. 調停委員会が年俸を決定する。
協約では、コミッショナーが申請を受理した日から30日以内に調停を終結することが定められています。
ここで重要なのは、年俸調停が単なる再交渉ではないことです。
通常の契約更改は選手と球団が直接合意を目指しますが、調停では第三者を含む委員会が双方の主張を聞き、年俸を決定します。
年俸減額制限は何%?プロ野球には、選手の年俸が大幅に下げられることを防ぐ減額制限があります。
日本プロフェッショナル野球協約第92条では、次の基準が定められています。
前年の年俸が1億円以下25%

同意なしで減額できる上限
前年の年俸が1億円を超える40%
同意なしで減額できる上限
日本プロフェッショナル野球協約第92条。選手が同意した場合は、この上限を超える減額も可能です。
例えば、前年の年俸が8,000万円の場合、同意なしで減額できる上限は2,000万円です。
前年の年俸が2億円の場合は、最大8,000万円の減額までが基準になります。
ただし、これは年俸が必ず25%や40%までしか下がらないという意味ではありません。選手が同意すれば、それを超える減額も成立します。
また、1億円ちょうどの場合は「1億円以下」の区分に該当するため、減額制限は25%です。
【FA宣言・現役ドラフトとの違い】契約更改後の選手の行方にも注目
契約更改と混同されやすい制度に、FA宣言と現役ドラフトがあります。
いずれもオフシーズンに関係する制度ですが、目的や対象選手は異なります。
FA宣言と契約更改は何が違う?FAはフリーエージェントの略称で、一定の条件を満たした選手が他球団と契約交渉できる権利です。
一方、契約更改は、現在の所属球団と翌年の契約条件を決める手続きです。
違いを整理すると次のようになります。
- 契約更改:現在の所属球団との翌年度契約を更新する交渉。
- FA宣言:取得したFA権を行使し、他球団との契約交渉を可能にする手続き。
- FA宣言後の残留:FA権を行使したうえで、元の球団と再契約する選択肢もある。
2026年度のFA有資格者については、NPBが10月19日に公示し、合計105人が対象となりました。
2026年オフのFA宣言期限は11月9日、宣言選手の公示は11月10日、他球団との交渉解禁は11月11日の予定です。
FA権を持っている選手が全員宣言するわけではありません。権利を行使せず、現在の球団に残留する選手もいます。
現役ドラフトの対象選手はどう決まる?現役ドラフトは、出場機会に恵まれない選手の移籍を促すために設けられた制度です。
2022年12月に第1回が開催され、2026年は12月9日に実施されることがNPBから発表されています。
2026年の制度では、主に次の選手が対象外となります。
- 外国人選手
- 複数年契約を結んでいる選手
- FA資格を持つ選手、またはFA権を行使したことがある選手
- 育成選手
- 前年の現役ドラフトで獲得した選手
- シーズン終了後に一定の条件で新たに加わった選手
年俸については、来季の年俸が5,000万円以上の選手は原則として対象外ですが、5,000万円以上1億円未満の選手を1人だけリストに含めることができます。
各球団は原則として2人以上の選手をリストに提出します。今回の制度改定では、対象外となる移籍選手の範囲も変更されました。
ただし、推定年俸が5,000万円未満だからといって、必ず現役ドラフトの候補になるわけではありません。実際のリストは球団が作成するものであり、個々の選手が指名対象になるかどうかは別問題です。
2026年オフに注目したいポイント今後の契約更改では、次の動きに注目すると全体像を把握しやすくなります。
- 若手選手の大幅昇給と支配下登録後の評価
- FA権を取得した主力選手の残留・移籍判断
- 複数年契約が終了する選手の新条件
- 現役ドラフトに関連する選手の契約条件
- 高額年俸選手の減額交渉や現状維持の判断
- 保留者名簿公示後の越年交渉
特にFA宣言と契約更改は、同じ時期に報道されるため混同しがちです。選手の去就を追う際は、まずFA権を行使したのか、それとも通常の契約更改を進めているのかを確認すると理解しやすくなります。
【契約更改プロ野球】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年のプロ野球契約更改はいつから始まりますか?
2026年オフは10月28日に広島が先行し、10月29日には中日やDeNAでも交渉が進みました。11月から12月にかけて各球団の交渉が本格化し、主力選手の契約更改にも注目が集まります。
Q2:契約更改で発表される年俸は本当の金額ですか?
多くは報道各社が取材によって算出した推定年俸です。球団が契約書の金額を正式に公表しているとは限らず、出来高や契約条件も含めた実際の受取額とは異なる場合があります。
Q3:契約更改を保留すると退団することになりますか?
いいえ。保留は提示条件に合意せず、再交渉を行うための手続きです。再交渉で合意すれば同じ球団との契約が成立します。保留しただけで自由契約やFA移籍になるわけではありません。
Q4:年俸調停は選手だけが申請できるのですか?
いいえ。野球協約第94条では、選手と球団の双方に申請する権利が認められています。年俸について合意できない場合に利用できる制度です。
Q5:プロ野球選手の年俸は最大何%まで下げられますか?
前年の年俸が1億円以下なら25%、1億円を超える場合は40%が、選手の同意なしに減額できる上限です。選手本人が同意した場合は、この制限を超える減額も可能です。
Q6:2026年のプロ野球で最も年俸が高い選手は誰ですか?
2026年の推定年俸ランキングでは、巨人のライデル・マルティネスが12億2,000万円で最上位です。これは2026年シーズンの推定年俸であり、2026年オフの契約更改によって決まる2027年の年俸とは区別する必要があります。
2026年のプロ野球契約更改は、2027年シーズンに向けた各球団の編成方針や選手評価を読み解く重要な機会です。
11月5日時点では、12球団の支配下選手696人のうち38人の更改が確認され、中日や広島、DeNAなどで若手選手を中心に具体的な金額が明らかになっています。
特に注目したいのは、次の3点です。
1. 若手の年俸アップ:鵜飼航丞や名原典彦など、成績や役割の変化が評価された選手の動向。
2. 主力選手の契約条件:FA宣言、複数年契約の終了、残留交渉など、来季の戦力構成を左右する判断。
3. 契約制度の理解:保留者名簿、年俸調停、減額制限、現役ドラフトなど、契約更改の背景にあるルール。
契約更改を見るときは、単純に増額・減額の金額だけを追うのではなく、前年の成績、出場機会、選手の役割、契約期間まで合わせて確認することが大切です。
2026年オフは、若手の飛躍を評価する球団の姿勢と、主力選手の残留・移籍をめぐる判断が交錯するシーズンです。12球団の発表が出そろう12月以降には、年俸アップ・ダウンランキングや球団別の総額にも大きな変化が表れる可能性があります。
今後は契約更改の発表だけでなく、FA宣言選手の去就や12月9日の現役ドラフトも含めて、2027年シーズンの戦力構成を見ていきたいところです。