2026年の陸上日本選手権結果は、男子100mの多田修平、女子短距離2冠の井戸アビゲイル風果、そして男子400mハードルで驚異的な48秒09を記録した17歳の後藤大樹ら、世代を超えた選手たちの活躍が際立つ大会となった。第110回日本陸上競技選手権大会は、2026年6月12日から14日まで愛知県名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで開催され、愛知・名古屋2026アジア競技大会の日本代表選考会も兼ねて実施された。
特に注目されたのは、井戸アビゲイル風果が女子100mを11秒44、女子200mを23秒19で制し、2年連続の2冠を達成したことだ。さらに後藤大樹は男子400mハードルで48秒09をマーク。男子100mでは多田修平が10秒17で5年ぶりの優勝を果たし、男子5000mでは森凪也、女子1500mでは田中希実が頂点に立った。
【第110回日本陸上選手権】2026年大会の日程・会場・結果の概要

第110回日本陸上競技選手権大会は、国内の陸上競技日本一を決める主要大会であり、2026年は名古屋アジア大会の代表選考という大きな役割も担った。
会場となったパロマ瑞穂スタジアムは、愛知・名古屋2026アジア競技大会の陸上競技会場でもある。代表選考を兼ねたことで、単に日本一を争うだけではなく、国際大会での活躍を見据えたレースが各種目で展開された。
大会の基本情報
- 大会名:第110回日本陸上競技選手権大会
- 開催日:2026年6月12日(金)~14日(日)
- 会場:愛知・パロマ瑞穂スタジアム
- 主催:日本陸上競技連盟
- 併催目的:愛知・名古屋2026アジア競技大会日本代表選考
日本陸上競技連盟が発表した公式入場者数は、3日間の合計で5万5,598人。内訳は1日目が1万2,818人、2日目が2万5,041人、3日目が1万7,739人だった。前回大会の合計4万1,353人を上回り、国内陸上競技への関心の高さを示す数字となった。
【2026年最新】陸上日本選手権の男女全種目優勝者一覧と記録
ここでは、6月12日から14日までの第110回大会で実施されたトラック・フィールド種目について、男子・女子それぞれの優勝者と決勝記録を整理する。
以下は日本陸上競技連盟の公式リザルトと大会結果を基にした一覧だ。風力の影響を受ける種目については、公式記録に掲載された風力も併記した。
| 男子種目 | 優勝者・記録 | 女子種目 | 優勝者・記録 |
|---|---|---|---|
| 100m | 多田修平 10秒17 | 100m | 井戸アビゲイル風果 11秒44 |
| 200m | 水久保漱至 20秒14 | 200m | 井戸アビゲイル風果 23秒19 |
| 400m | 中島佑気ジョセフ 45秒60 | 400m | 松本奈菜子 52秒94 |
| 800m | 萬野七樹 1分46秒45 | 800m | 久保凛 2分01秒54 |
| 1500m | 飯澤千翔 3分40秒11 | 1500m | 田中希実 4分11秒80 |
| 5000m | 森凪也 13分22秒41 | 5000m | 山本有真 14分59秒89 |
| 110mハードル | 泉谷駿介 13秒17 | 100mハードル | 中島ひとみ 12秒77 |
| 400mハードル | 後藤大樹 48秒09 | 400mハードル | 青木穂花 55秒92 |
| 3000m障害 | 青木涼真 8分18秒63 | 3000m障害 | 齋藤みう 9分30秒30 |
| 走高跳 | 坂井宏和 2m20 | 走高跳 | 髙橋渚 1m86 |
| 棒高跳 | 柄澤智哉 5m50 | 棒高跳 | 諸田実咲 4m25 |
| 走幅跳 | 橋岡優輝 7m89 | 走幅跳 | 秦澄美鈴 6m39 |
| 三段跳 | 宮尾真仁 16m64 | 三段跳 | 船田茜理 13m69 |
| 砲丸投 | 森下大地 18m69 | 砲丸投 | 坂ちはる 16m07 |
| 円盤投 | 湯上剛輝 60m66 | 円盤投 | 齋藤真希 55m56 |
| ハンマー投 | 中川達斗 73m93 | ハンマー投 | 村上来花 68m18 |
| やり投 | 﨑山雄太 82m05 | やり投 | 北口榛花 62m86 |
短距離では井戸アビゲイル風果の2冠、男子では多田修平の復活優勝が目立った。中長距離では森凪也、田中希実、フィールドでは北口榛花や橋岡優輝ら実績ある選手が優勝している。
なお、この一覧は6月12~14日の主要大会で実施された17種目ずつの決勝結果をまとめたもの。1万mは別日程で実施される独立した日本選手権種目で、2026年は12月5日に東京・世田谷で開催予定となっている。
【注目レース詳報】多田修平・井戸アビゲイル風果・後藤大樹の快挙
男子100m:多田修平が10秒17で5年ぶりの日本一男子100m決勝を制したのは、住友電工の多田修平。記録は10秒17(追い風0.1m)だった。
2位には筑波大学の西岡尚輝が10秒20、3位には日本生命の桐生祥秀が10秒24で続いた。連覇を狙った桐生を抑え、多田が5年ぶり2度目の日本選手権優勝を達成した。
多田にとって、この優勝は名古屋アジア大会の代表選考にも直結する重要な結果となった。男子100mは一瞬のスタート反応だけでなく、加速局面から最高速度への移行、終盤のフォーム維持が勝敗を左右する。混戦のなかで決勝を制したことは、国際大会に向けた大きな成果だった。
女子100m・200m:井戸アビゲイル風果が2年連続2冠2026年大会の女子短距離を象徴する存在となったのが、東邦銀行の井戸アビゲイル風果だ。
女子100mでは11秒44(追い風0.1m)で優勝。2位は御家瀬緑の11秒50、3位は君嶋愛梨沙の11秒52だった。
続く女子200mでも23秒19(追い風0.9m)を記録して優勝。2位は鶴田玲美の23秒47、3位は髙橋亜珠の23秒55だった。
これにより井戸は、100mと200mの両方で2年連続の優勝を達成。日本陸連が発表した大会最優秀選手賞でも女子の受賞者に選ばれた。
100mで必要な爆発的な加速力と、200mで求められるカーブ走行・速度維持は異なる技術が必要になる。両種目で安定して勝ち切ったことは、井戸の競技力の幅広さを示している。
男子400mハードル:17歳の後藤大樹が48秒09の衝撃記録大会最大の話題の一つとなったのが、洛南高校の後藤大樹による男子400mハードルだ。
後藤は予選で48秒31をマークし、U20日本記録を更新。決勝ではさらに記録を縮め、48秒09で優勝した。
この記録はU20日本記録、U18日本記録、日本高校記録を更新するもので、U18世界最高記録にも相当する歴史的な走りだった。日本記録の47秒89にも0秒20まで迫った。
決勝の上位3人は次の通り。
- 1位:後藤大樹(洛南高)48秒09
- 2位:黒川和樹(住友電工)48秒84
- 3位:筒江海斗(ST-WAKO)49秒05
日本陸連が公開した優勝者コメントでは、後藤は大舞台での優勝について次のように振り返っている。
「自分でも信じられない」
予選で好記録を出した後も決勝でさらにタイムを縮めた点は特筆すべきだ。若さによる勢いだけではなく、2レースを通して結果を伸ばしたことが、この優勝の価値を高めている。
その後、後藤は9月の愛知・名古屋アジア大会でも男子400mハードルで47秒93をマークし、銀メダルを獲得した。日本選手権での活躍が国際舞台での結果にもつながった。
男子110mハードル:泉谷駿介が13秒17で優勝男子110mハードルは住友電工の泉谷駿介が13秒17(追い風1.0m)で優勝した。
2位は阿部竜希の13秒28、3位は横地大雅の13秒44。ハードル間のリズムとスピードを高い水準で維持した泉谷が、代表選考を兼ねる大舞台で結果を残した。
【中長距離・跳躍・投てき】森凪也、田中希実らの優勝と記録
男子5000m:森凪也が13分22秒41で優勝男子5000mはHondaの森凪也が13分22秒41で優勝した。
2位の中野翔太は13分22秒56、3位の井川龍人は13分22秒97。上位3人が13分22秒台に集まる接戦だった。
優勝と2位の差はわずか0秒15。長距離種目では序盤からの位置取りだけでなく、ラストスパートのタイミングや集団内での駆け引きが重要になる。森は最後まで競り合いを制し、日本一の座を獲得した。
女子1500m:田中希実が7連覇を達成女子1500mでは豊田自動織機の田中希実が4分11秒80で優勝した。
2位は道下美槻の4分14秒49、3位は田島愛理の4分14秒53。田中はこの勝利で日本選手権女子1500mの7連覇を達成した。
レースでは残り2周からペースを上げ、最後まで先頭を守った。日本陸連の優勝者コメントによれば、初日の5000mでは2位に終わっていたため、1500mではレース展開を事前にコーチと相談して臨んだという。
5000mでは山本有真が14分59秒89で優勝し、田中は15分00秒93で2位。複数種目に出場しながら、それぞれの種目で結果を残した点も注目される。
フィールド種目でも大会記録が誕生フィールド種目では、女子ハンマー投の村上来花が68m18を記録し、大会記録を更新した。女子3000m障害の齋藤みうも9分30秒30の大会新記録で優勝している。
男子800mでは、予選で源裕貴が1分45秒76の大会新記録をマークした。決勝の優勝者は萬野七樹で、記録は1分46秒45だった。
ここで注意したいのは、予選や準決勝の大会記録と決勝の順位は別の情報だということだ。女子100mハードルでも、福部真子が準決勝で12秒72の大会新を記録した一方、決勝では中島ひとみが12秒77で優勝し、福部は12秒83で2位となった。
【アジア大会代表選考結果】日本選手権から86名の代表内定へ
第110回日本選手権は、2026年9月に開催された愛知・名古屋2026アジア競技大会の日本代表選考会を兼ねていた。
日本陸連の選考基準では、各種目の派遣設定記録を突破した選手が日本選手権で優勝することなどが、代表内定の重要な条件となった。単純に日本選手権の優勝者が全員代表入りする仕組みではなく、事前の記録や選考条件も関係していた。
日本選手権で新たに内定した選手は23名月刊陸上競技の大会結果報道によると、日本選手権を通じて新たにアジア大会代表に即時内定した選手は、男子14名、女子9名の合計23名だった。
男子では、多田修平、水久保漱至、森凪也、泉谷駿介、後藤大樹らが代表内定を獲得。女子では、井戸アビゲイル風果、田中希実、久保凛、山本有真、中島ひとみらが選考を突破した。
最終的な陸上日本代表は男女合計86名日本陸連は2026年6月15日、愛知・名古屋2026アジア競技大会の陸上競技日本代表内定選手を発表した。
最終的な代表名簿は男子45名、女子41名の合計86名。日本選手権での選考に加え、既に内定していた選手や強化委員会による追加選考なども含まれている。
なお、6月15日の発表段階ではJOCへの推薦と認定手続きが残されていた。日本陸連はその後、9月15日時点の日本代表選手名簿も公開している。
主な関係選手を整理すると次の通りだ。
- 男子100m:多田修平、小池祐貴
- 男子200m:水久保漱至、林明良
- 男子5000m:森凪也、山口智規
- 男子110mハードル:村竹ラシッド、泉谷駿介
- 男子400mハードル:後藤大樹、黒川和樹
- 女子100m:井戸アビゲイル風果、御家瀬緑
- 女子1500m:田中希実、久保凛
- 女子やり投:北口榛花、上田百寧
代表選考の要点は、日本選手権での優勝だけを見て判断しないことだ。派遣設定記録、事前の選考競技会、既に獲得していた代表資格、追加選考などを合わせて確認する必要がある。
【公式リザルトPDF】確定順位・大会記録・歴代優勝者の確認方法
第110回日本選手権の正式な結果を確認する場合は、日本陸上競技連盟の公式大会ページに掲載されたリザルトを基準にするのが確実だ。
公式サイトでは、次の資料が公開されている。
- 全てのリザルト:各競技の詳細な公式記録を確認できる57ページのPDF。
- TOP8リザルト:各種目の上位8人の結果をまとめた資料。
- 1日目リザルト:6月12日の競技結果。
- 2日目リザルト:6月13日の競技結果。
- 3日目リザルト:6月14日の競技結果。
- 気象コンディション:各日の天候、気温、湿度、風向、風速など。
特に全てのリザルトPDFには、決勝だけでなく予選・準決勝の結果、競技別の順位、風力、記録更新の情報などが収録されている。競技者の正式な順位や予選通過記録を調べる場合には、ニュース記事の速報値よりも公式リザルトを優先したい。
歴代優勝者と大会記録は別々に確認する歴代優勝者を調べる際に注意したいのが、「その年の優勝記録」と「大会記録」は同じ意味ではないという点だ。
例えば男子100mでは、2026年に多田修平が10秒17で優勝した。一方、日本陸連の歴代優勝者・大会記録資料に掲載されている男子100mの大会記録は、2019年にサニブラウン・アブデル・ハキームが記録した10秒02だ。
つまり、優勝したからといって大会記録を更新したことにはならない。大会記録は過去の日本選手権で記録された最高水準のタイムであり、優勝者一覧とは別に確認する必要がある。
日本陸連のバーチャルミュージアムでは、歴代優勝者、開催地、最優秀選手などの情報が整理されている。男子100mなど種目別の歴代記録も確認でき、2026年の結果を過去の大会と比較する際に役立つ。
結果を確認するときに間違えやすい3つのポイント1. 予選の記録と決勝の記録を混同しない。源裕貴の男子800m予選の大会新や、福部真子の女子100mハードル準決勝の大会新は、決勝の優勝記録とは別の記録だ。
2. 風力を含めて記録を読む。短距離や跳躍では風の影響が記録の公認条件に関係する。例えば多田修平の10秒17には追い風0.1m、井戸アビゲイル風果の11秒44には向かい風0.1mという条件が付いている。
3. 日本選手権の優勝とアジア大会代表内定を同一視しない。代表選考には派遣設定記録や既定の選考条件が関係する。優勝者一覧と代表名簿は別々に照合するのが正しい。
【プロの結論】2026年の日本陸上界で注目すべき3つの変化
第110回日本選手権の結果を競技全体の視点から見ると、2026年の日本陸上界には3つの大きな特徴が表れている。
1. 若い世代がトップレベルの競争に加わった最も象徴的なのは、17歳の後藤大樹が男子400mハードルで優勝したことだ。高校生が国内トップ選手を抑え、48秒09という世界的にも注目される記録を出したことは、次世代の日本陸上競技にとって大きな出来事だった。
また、女子800mでは2008年生まれの久保凛が2分01秒54で優勝している。年齢や所属に関係なく、実力で日本一を争える競技環境が結果に表れている。
2. ベテラン・実績者も勝負どころで結果を残した一方で、多田修平や田中希実の優勝も見逃せない。多田は5年ぶりに男子100mを制し、田中は女子1500mで7連覇を達成した。
若手の台頭だけではなく、国際大会の経験を持つ選手が高い競技力を維持していることも、2026年大会の特徴である。
3. 国内大会の結果が国際大会につながる選考制度今回の日本選手権では、優勝と派遣設定記録の突破がアジア大会代表選考に直結する種目があった。そのため、選手にとっては日本一を獲得することと、国際大会に出場するための条件を満たすことの両方が重要だった。
観戦する側も、単純な順位だけでなく、選考条件を満たしているか、自己記録や大会記録を更新したかという視点を加えることで、レースの意味をより深く理解できる。
2026年の結果を見る際には、次の判断基準を押さえておきたい。
- 日本一を決める決勝順位を知りたい人は、種目別の確定リザルトを見る。
- 記録の歴史的価値を調べたい人は、日本記録・大会記録・年代別記録を比較する。
- 国際大会の代表選考を知りたい人は、日本陸連の選考要項と最終代表名簿を確認する。
陸上日本選手権結果2026に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年の陸上日本選手権で男子100mを優勝したのは誰ですか?
A1:多田修平です。住友電工所属の多田は10秒17(追い風0.1m)で優勝し、5年ぶり2度目の日本選手権制覇を果たしました。
Q2:女子100mと200mの優勝者は誰ですか?
A2:どちらも井戸アビゲイル風果です。100mは11秒44、200mは23秒19で優勝し、2年連続の2冠を達成しました。
Q3:男子400mハードルの後藤大樹は何秒で優勝しましたか?
A3:48秒09です。洛南高校所属の17歳で、U20日本記録などを更新し、アジア大会代表にも内定しました。
Q4:女子1500mの優勝者と記録は?
A4:田中希実が4分11秒80で優勝しました。これにより女子1500mで7連覇を達成しています。
Q5:男子5000mの優勝者は誰ですか?
A5:森凪也です。記録は13分22秒41で、2位の中野翔太に0秒15差をつけて優勝しました。
Q6:2026年のアジア大会陸上日本代表は何人ですか?
A6:男子45名、女子41名の合計86名です。日本陸連は6月15日に代表内定選手を発表し、その後、正式な代表名簿を公開しました。
Q7:日本選手権の全結果をPDFで確認できますか?
A7:確認できます。日本陸上競技連盟の公式大会ページには、全てのリザルト、TOP8リザルト、開催日別のPDFが掲載されています。予選から決勝まで詳しく調べる場合は、全てのリザルトPDFが適しています。
第110回日本陸上競技選手権大会は、井戸アビゲイル風果の女子100m・200m2冠、多田修平の男子100m優勝、後藤大樹の男子400mハードル48秒09など、記録と話題の両面で充実した大会となった。
中長距離では森凪也が男子5000m、田中希実が女子1500mを制し、フィールド種目でも北口榛花や橋岡優輝らが優勝。若手から実績あるトップ選手まで、それぞれが持ち味を発揮した。
また、アジア大会代表選考を通じて86名の日本代表が決定したことも大きな成果だ。後藤大樹がその後のアジア大会で銀メダルを獲得したことからも、日本選手権が国際舞台への重要なステップになったことが分かる。
2026年の大会結果を詳しく調べるなら、日本陸上競技連盟の公式リザルトPDFを基準に、種目別の確定順位、記録、風力、記録更新の有無を確認したい。歴代優勝者や大会記録と比較すれば、今回の優勝が持つ歴史的な意味も見えてくる。
12月5日に予定されている第110回日本選手権10000mにも注目したい。トラック競技の各種目で生まれた熱戦に続き、長距離種目でも2026年を締めくくる日本一争いが期待される。
主な根拠資料: 日本陸上競技連盟の公式全リザルトPDF、アジア大会代表発表、公式選手コメント、歴代優勝者・大会記録資料、月刊陸上競技の大会結果報道。