2026年11月現在、日本のヤクザ勢力図は大きな転換期を迎えている。警察庁が2026年4月に公表した「令和7年における組織犯罪の情勢」によると、2025年12月末時点の全国の暴力団構成員等は約1万7,600人。このうち、暴力団構成員は約9,400人、準構成員等は約8,200人で、暴力団対策法が施行された1992年以降、最少となった。
現在の勢力構造を読み解くうえで中心となるのは、六代目山口組、住吉会、稲川会、神戸山口組、絆會、池田組の主要6団体だ。なかでも六代目山口組は約6,300人の構成員等を擁し、全国最大の勢力を維持している。一方、2015年の山口組分裂によって生まれた組織間の関係は複雑化し、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウとの接点も新たな治安上の課題になっている。
この記事では、2026年に確認できる警察庁・各都道府県警察の公表資料をもとに、全国の暴力団勢力ランキング、主要組織の規模、分裂の経緯、指定暴力団24団体の現状、警察の対策までを整理する。
【2026年最新】日本ヤクザ勢力図の全体像と全国の暴力団勢力

日本の暴力団勢力を把握する際、最初に理解しておきたいのが「構成員」と「準構成員等」の違いだ。
警察庁の統計では、暴力団の勢力を構成員だけで判断していない。
- 暴力団構成員: 暴力団に所属する正式な構成員。
- 準構成員等: 暴力団と関係を持ち、その威力を背景に不法行為を行うおそれがある者や、組織の維持・運営に協力する者など。
つまり、ニュースで目にする「暴力団員9,400人」と「暴力団勢力1万7,600人」は、同じ数字を指しているわけではない。
2025年末の全国統計は次のとおりだ。
2025年12月末・全国の暴力団勢力17,600人
暴力団構成員
9,400人
準構成員等
8,200人
前年比:構成員500人減、準構成員等700人減、合計1,200人減。数値は概数。
注目すべきは、暴力団の減少が一時的な現象ではないことだ。
警察庁によれば、暴力団勢力は2005年以降、全国的な減少傾向が続いている。2016年末には約3万9,100人だった構成員等の総数は、2025年末には約1万7,600人まで減った。10年間で約55%の縮小である。
指定暴力団は2026年5月末時点で24団体指定暴力団とは、暴力団対策法に基づき、一定の要件を満たす団体として都道府県公安委員会から指定された組織をいう。
2026年4月公表の警察庁資料には25団体が掲載されているが、これは同年3月12日までの公示情報に基づくものだ。
その後、大阪府公安委員会が十代目酒梅組の再指定を見送った。従来の指定期限は2026年5月25日までで、構成員が約10人に減少するなど、組織の勢力衰退が判断の背景にあった。
この変更を反映した2026年5月末時点の静岡県警察の公表資料では、指定暴力団は全国24団体となっている。
現在確認できる24団体は以下のとおり。
1. 六代目山口組
2. 稲川会
3. 住吉会
4. 五代目工藤會
5. 旭琉會
6. 八代目会津小鉄
7. 六代目共政会
8. 八代目合田一家
9. 四代目小桜一家
10. 五代目浅野組
11. 道仁会
12. 二代目親和会
13. 双愛会
14. 三代目俠道会
15. 太州会
16. 極東会
17. 二代目東組
18. 松葉会
19. 四代目福博会
20. 二代目浪川会
21. 神戸山口組
22. 絆會
23. 関東関根組
24. 池田組
ここで注意したいのは、指定解除・再指定見送りは、組織そのものの解散を意味しないという点だ。酒梅組についても、指定暴力団から外れたことと、暴力団としての活動が消滅したことは別問題である。
【全国勢力ランキング】主要6団体の規模を2025年末データで比較
日本の暴力団勢力図を理解するうえで、最も重要なのが主要6団体の比較だ。
警察庁が主要団体等として扱うのは、次の6組織である。
- 六代目山口組
- 神戸山口組
- 絆會
- 池田組
- 住吉会
- 稲川会
2025年末時点では、この6団体の構成員等は合計約1万2,500人。全国の暴力団構成員等の約71.0%を占めている。
主要6団体の勢力比較ランキング以下は、構成員と準構成員等を合わせた勢力の大きい順に並べた比較だ。
単位:人。2025年12月末の警察庁公表値を基礎とした概数。各項目の合計は丸め処理により一致しない場合がある。
1.六代目山口組の規模は依然として突出している
六代目山口組は、構成員約3,100人、準構成員等約3,200人、合計約6,300人。全国の暴力団勢力全体の約35.8%を占める。
2位の住吉会と比較しても、約2倍の規模を持つ。分裂後も最大勢力としての位置を維持していることが分かる。
2.住吉会と稲川会が関東を代表する大規模組織
住吉会は約3,100人、稲川会は約2,600人。六代目山口組に次ぐ規模を持つ2団体だ。
両組織は東京都に主たる事務所を置き、複数の都道府県に勢力範囲を持つ。全国の暴力団勢力を比較するとき、山口組系の分裂組織だけでなく、この2団体の動向も欠かせない。
3.神戸山口組・絆會・池田組は小規模化が進む
分裂後に成立・独立した3団体は、構成員等の合計で神戸山口組約270人、絆會約120人、池田組約70人となっている。
六代目山口組との人数の差は大きい。したがって、分裂後の勢力図は単純な二大勢力の均衡ではなく、六代目山口組が大きく上回る構造へ変化している。
ただし、構成員数だけで組織の影響力や犯罪リスクを判断することはできない。資金獲得活動、傘下組織との関係、地域社会への影響なども考慮する必要がある。
【山口組分裂の経緯】六代目山口組・神戸山口組・絆會・池田組の関係
日本ヤクザ勢力図を大きく変えた出来事が、2015年8月末の山口組分裂だ。
それまで国内最大級の組織だった山口組が分裂し、神戸山口組が結成された。その後、神戸山口組からも離脱組織が生まれ、現在の主要6団体の構造につながっている。
2015年から2021年までの分裂年表2015年8月:六代目山口組が分裂
六代目山口組から離脱した勢力によって神戸山口組が結成された。これが現在まで続く山口組分裂問題の出発点となる。
2016年4月:神戸山口組が指定暴力団に
兵庫県公安委員会が神戸山口組を指定暴力団として指定。両組織の対立は警察の組織犯罪対策における重要課題となった。
2017年4月:任侠山口組が結成を表明
神戸山口組の傘下組織の一部が離脱し、任侠山口組の結成を明らかにした。
2018年3月:任侠山口組が指定暴力団に
兵庫県公安委員会が指定。2020年2月には名称を絆會に変更した。
2020年7月:池田組が神戸山口組から離脱
池田組が神戸山口組傘下からの離脱を表明した。2021年11月には岡山県公安委員会から指定暴力団として指定された。
この流れによって、六代目山口組、神戸山口組、絆會、池田組という4つの組織が分裂問題に関係する主要団体として位置付けられるようになった。
対立抗争と特定抗争指定暴力団等分裂後の対立は、単なる組織の名称変更や人事の問題では終わらなかった。
警察庁は、対立抗争の激化を受けて次の指定を実施している。
- 2020年1月:六代目山口組と神戸山口組
- 2022年12月:六代目山口組と池田組
- 2024年6月:六代目山口組と絆會
これらは暴力団対策法に基づく「特定抗争指定暴力団等」の指定であり、警戒区域を設けて対立組織の構成員による集合や事務所への立入りなどを規制する制度だ。
2025年末時点でも、それぞれの指定は継続していた。六代目山口組と神戸山口組の関係では9府県17市町、池田組との関係では7府県8市、絆會との関係では8府県11市が警戒区域とされている。
一方、2025年中に対立抗争に起因するとみられる事件は全国で1件発生している。事件数の減少は確認できるものの、対立関係そのものが解消したわけではない。
【主要組織の現在】六代目山口組・住吉会・稲川会の組織構成と動向
全国ランキングの上位3団体は、勢力規模だけでなく、組織運営や2025年の動向にも違いがある。
六代目山口組:全国最大の勢力を維持約6,300人
構成員等の合計・2025年末
六代目山口組は、兵庫県神戸市を主たる事務所の所在地とする国内最大の指定暴力団だ。
2025年末の構成員は約3,100人、準構成員等は約3,200人。警察庁が公表する勢力範囲は1都1道2府40県に及ぶ。
組織構成は、組長を頂点に若頭、本部長、若頭補佐などの幹部ポストを置き、傘下組織を持つ階層型の形態が基本となる。
警察庁の2025年情勢資料では、同年に若頭や本部長、若頭補佐などへの昇格人事が行われ、組織の活性化が図られたとされている。
また、神戸山口組、池田組、絆會との特定抗争指定を受け、警戒区域外で執行部会やブロック会議を開催していたことも記録されている。
住吉会:構成員約2,100人の関東系主要組織約3,100人
構成員等の合計・2025年末
住吉会は東京都に主たる事務所を置く指定暴力団で、構成員は約2,100人、準構成員等は約1,100人とされる。
警察庁の公表資料では、勢力範囲は1都1道14県。構成員数だけで比較しても、全国で六代目山口組に次ぐ規模となる。
2025年には、組織運営に関する2つの動きが確認された。
- 6月:東京都公安委員会が主たる事務所を新宿区所在の施設から港区所在の施設に変更した旨を公示。
- 10月:会長の小川修を親とする親子盃式を実施。
これらは組織の代表者や運営体制に関する公的な記録であり、住吉会の現在の組織動向を理解するうえで押さえておきたい出来事だ。
稲川会:2025年に代表者に関する変更約2,600人
構成員等の合計・2025年末
稲川会は東京都に主たる事務所を置き、関東地方を中心に複数の都道府県に勢力範囲を持つ指定暴力団だ。
構成員は約1,600人、準構成員等は約1,000人。勢力範囲は1都1道15県と公示されている。
2025年5月、総裁の辛炳圭氏が死去したことに伴い、東京都公安委員会は会長の内堀和雄氏が代表する者である旨を公示した。
同年10月には、昇格人事に伴う親子縁組盃儀式などが開催されたことも警察庁資料に記載されている。
このように、稲川会では代表者の変更と組織内の人事が2025年の主な動向となった。
絆會・池田組・神戸山口組の現在分裂後の3団体は、かつての山口組系組織との関係を背景に成立したが、現在はそれぞれ独立した指定暴力団として扱われている。
は、2025年末時点で構成員等約270人。六代目山口組との対立関係に伴う特定抗争指定が継続している。
は、任侠山口組から改称した組織で、構成員等は約120人。2025年7月には大阪市所在の事務所に代わり、寝屋川市所在の施設が主たる事務所である旨が公示された。
は、2020年7月に神戸山口組からの離脱を表明し、2021年11月に指定暴力団となった。2025年末の構成員等は約70人だ。
この3団体については、構成員数の減少だけでなく、対立関係や公安委員会による規制の継続状況を併せて見る必要がある。
【トクリュウとの関係】暴力団の弱体化と新しい組織犯罪の実態
2026年の日本の組織犯罪を考えるうえで、避けて通れないのが匿名・流動型犯罪グループ、通称トクリュウの存在だ。
暴力団の構成員数が減少している一方で、SNSや求人サイトを利用した犯罪グループによる詐欺、強盗、窃盗などが問題となっている。
トクリュウとは何かトクリュウとは、匿名・流動型犯罪グループの略称だ。
従来型の暴力団が、組長を頂点とする階層構造や擬制的な血縁関係によって組織を維持してきたのに対し、トクリュウは中核人物を匿名化し、実行犯などのメンバーを流動的に入れ替える特徴がある。
警察庁が指摘する主な特徴は次のとおり。
- 中核人物の実態や身元が表面化しにくい。
- SNSや求人サイトなどを通じて実行犯を募集する。
- 犯罪ごとにメンバーの役割が分かれる。
- 特殊詐欺、組織的窃盗、強盗など多様な犯罪に関与する。
- 暴力団構成員や元構成員などが中核人物となるケースがある。
特に重要なのは、トクリュウと暴力団が完全に別々の存在とは限らないことだ。
警察庁は、暴力団構成員がトクリュウの首領となる例や、トクリュウから暴力団への資金の流れが確認された例を公表している。また、暴力団がトクリュウを実質的に傘下に収め、資金獲得活動の一端を担わせているケースもあると分析している。
ただし、すべてのトクリュウが暴力団の傘下にあるわけではない。両者の関係は、事件やグループごとに異なる。
2025年のトクリュウ関連犯罪は6,679人を検挙2026年4月2日の国家公安委員会・警察庁の公表資料では、2025年中に匿名・流動型犯罪グループによるものとみられる主な資金獲得犯罪の検挙人員は6,679人だった。
罪種別の内訳は以下のとおり。
- 詐欺:46.0%
- 薬物事犯:28.3%
- 窃盗:15.3%
- 風営適正化法違反:5.9%
- 強盗:4.6%
詐欺が全体の約半数を占めていることからも、従来の暴力団対策だけでは対応しきれない組織犯罪の広がりが分かる。
なお、6,679人はトクリュウ関連犯罪の検挙人員であり、暴力団構成員数ではない。両者の統計を混同してはいけない。
暴力団排除条例と警察庁の2026年対策暴力団対策は、構成員の逮捕だけでなく、組織の資金源を断つことにも重点が置かれている。
代表的な制度が、暴力団対策法と各都道府県の暴力団排除条例だ。
暴力団排除条例は、暴力団への資金提供や不当な関係を防ぎ、企業や地域社会から反社会的勢力を排除するための仕組みである。
警察庁の2025年資料では、全国の都道府県において公共事業から暴力団関係者を排除する条項の整備が完了している。
また、2025年中の暴力団対策法に基づく行政命令は次のとおりだった。
- 中止命令:754件
- 再発防止命令:48件
- 請求妨害防止命令:11件
- 賞揚等禁止命令:26件
中止命令のうち、みかじめ料要求に関するものは55件、用心棒料等の要求に関するものは176件だった。
さらに2026年には、トクリュウ対策の専門化も進んでいる。
警察庁は2025年10月に匿名・流動型犯罪グループ情報分析室を設置。2026年4月には、トクリュウの中核人物の摘発を担う「匿流ターゲット取締りチーム(T3)」の人員を200人に倍増したと発表した。
暴力団対策とトクリュウ対策を連携させ、犯罪収益の流れや中核人物の解明を進める方向にある。
【日本ヤクザ勢力図2026年】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、日本で最も勢力の大きい暴力団はどこですか?
六代目山口組です。2025年末の警察庁統計では、構成員約3,100人、準構成員等約3,200人、合計約6,300人で全国最大です。全国の暴力団構成員等の約35.8%を占めています。
Q2:日本の暴力団構成員は9,400人ですか、それとも1万7,600人ですか?
正式な構成員だけなら約9,400人です。約1万7,600人という数字は、構成員と準構成員等を合わせた総勢力を指します。ニュースや統計を読む際には、この違いを理解することが大切です。
Q3:指定暴力団は2026年現在24団体ですか、25団体ですか?
公表時点による違いです。警察庁の2026年4月公表資料では、3月12日までの情報に基づいて25団体とされています。その後、十代目酒梅組の再指定が見送られ、2026年5月末時点の静岡県警察の資料では24団体となっています。
2026年の日本ヤクザ勢力図を読み解くと、従来型の暴力団は明確な縮小局面にある。
2025年末の全国勢力は約1万7,600人、正式な構成員は約9,400人。いずれも過去最少となった。一方で、六代目山口組、住吉会、稲川会を中心とする主要6団体は、依然として全国勢力の約71%を占めている。
今回のデータから読み取れる重要な変化は3つある。
第一に、六代目山口組の優位性は続いている。 分裂によって複数の組織が生まれたものの、勢力規模では依然として大きな差が存在する。
第二に、住吉会と稲川会の存在感が相対的に高まっている。 山口組系組織の分裂や縮小が進むなか、両組織は全国上位の規模を維持している。
第三に、組織犯罪の形態が変化している。 暴力団の構成員が減少しても、トクリュウとの人的・資金的な接点が確認されており、組織犯罪の脅威そのものが消えたわけではない。
日本の暴力団問題を正しく理解するには、単純な人数ランキングだけでなく、組織間の関係、分裂後の変化、資金獲得活動、警察の規制状況を総合的に見る必要がある。
2026年11月時点で押さえておきたいのは、暴力団の弱体化と組織犯罪の消滅は同じ意味ではないという事実だ。今後の勢力図を判断するうえでも、警察庁の年次統計と公安委員会の指定状況、トクリュウを含む新たな犯罪組織への対策が重要な指標となる。